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iPhoneがAR普及の起爆剤に Appleの深謀遠慮

ライバルに先行

 ライバルはどうだろう。Googleは2013年に「Tango」を発表して、スマートフォン向けARプラットフォームの提供を開始したが、測距機構を持つ深度カメラなど、専用のハードウェアが必要で、対応は2機種だけ。普及には遠い状態だ。

 結局、ARKitの発表の2カ月後の8月末、一般的なスマートフォンで動作する「AR Core」を発表して、Appleに似た方式に移行した。Tangoでは発売済みの2機種のみのサポートを残して撤退し、AR Coreに注力する方針だ。

 現時点ではAppleのリードは圧倒的だ。GoogleはAR Coreで「プレビュー期間内に1億台のデバイス」との目標を掲げたが、当面対応するのは「Samsung Galaxy S8」と「Pixel phone」だけ。対するAppleは、iOSのアップデートが始まる9月19日には、数億人にリーチ可能になる。

 また、VentureBeatはAndroidには断片化という大きな問題があると指摘する。Androidには7つの異なるバージョンで動作する2万4000種類のスマートフォンデバイスがあり、開発者がそれぞれのバージョンでアプリのテスト・最適化を行うのは非常に困難なことだと指摘。また、ハードウェアでライバルとの差別化を争っているスマートフォンメーカーがAR Coreのために、統一標準仕様をまとめるのは、ますます難しいとも言う。