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「サイバーセキュリティ法」可決、中国がサイバー空間の規制をさらに強化

サイバー空間を重要視する当局

 サイバーセキュリティ法が企業に与える影響はまだ不透明だ。The Diplomatは、中国で展開するインターネット企業への影響として、(1)自社プラットフォーム上のコンテンツのモニタリング、管理、保存の責任が重くなる、(2)違法コンテンツ拡散が禁止される――の2つを挙げる。(1)によって、小規模企業は負担増を強いられ、立ち行かなくなるところも出てくると予想する。(2)については、既存の規制を法的に明文化したものとの見方だ。この点はLawfareも指摘している。

 これらに加え、「直接的ではないが」としながら、スマートデバイス、オンラインゲームオペレーターなども影響を受けるとみている。中国のサイバー管理局(CAC)は10月、子供のインターネット安全を強めるためのポリシー強化を提案しており、スマートデバイスには、子供を保護するためのソフトウェアの事前インストールが要求される可能性があるという。

 Reutersは、習近平氏の国家主席就任以来、圧力が強まっている、と流れを分析する。中国政府は2015年、ネットワークインフラと情報システムを安全かつ制御可能にする国家安全法を成立させた。The Diplomatは、4月にライブストリーミングサービスを提供する約20の企業がコンテンツで自主規制に応じた点にも触れている。

 オランダ・ライデン大学の中国の法とガバナンスの専門家、Rogier Creemers氏は「中国政府は、国家保安の全てではないにせよ多くでサイバー空間が急速かつ深くインパクトを与えることに気づいたのだ。サイバー空間とは国の空間であり、軍が行動する空間であり、重要な経済的アクション、犯罪行為、スパイ行為の場所でもあるのだ」とコメントしている。

 Lawfareによると、中国政府は数カ月以内に法の実装に当たっての詳細を公開するというが、現時点では詳細を欠いたまま案じるしかないという。