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Trump大統領ショック テクノロジー企業を襲う不安

 次期大統領の選挙では、共和党のDonald Trump氏がサプライズ勝利した。泡沫かと思われながら、広範囲の米国人の不満に訴えての大逆転だ。だが、民主党のClinton氏を期待したテクノロジー業界には困惑と不安が広がっている。Trump大統領は、ハイテク産業にどんな変化をもたらすのか――。

シリコンバレーは圧倒的にClinton支持

 次期大統領が決まった11日9日、ポルトガル・リスボンでインターネット技術とビジネスの会議「Web Summit」が開催されていた。Trump大統領の報に、参加したベンチャーキャピタリストの一人は「まるで葬式だ」と匿名を条件にCNBCに語ったという。Summit参加者のアンケートでは、9割がClinton氏に投票し、その勝利を信じていた。

 テクノロジー企業は、圧倒的に民主党Clinton支持だった。例えば、NBC Newsによると、Apple、Alphabet、Microsoft、Facebook、Amazonの5社の従業員たちは、計300万ドルを民主党に献金したが、共和党への献金額は5万ドルに過ぎなかった。さらにICT、エレクトロニクス業界全体の献金額は、Clinton氏側の5570万ドルに対し、Trump氏側へは55分の1の100万ドルだったという。

 そんな業界の中で、PayPal共同創業者でFacebook役員のPeter Thiel氏は、Trump支持を公言していた。政治資金管理団体を通じて個人で125万ドルの献金を行うとともに、「(Trump氏の暴言はさておき)“沿岸部エリート”だけが裕福になり、大多数が疎外されるようなシステムを改革しなければならない」と主張した。

 Thiel氏のようなベンチャーキャピタリストはシリコンバレーでは超少数派で、シリコンバレーの同業者には評判が悪かったが、結局のところシリコンバレーが嫌ったTrump氏が勝利した。

 New York Timesは、Thiel氏が新政権のテクノロジーアドバイザーを務める見込みしている。その後、同氏が新政権移行チームに参加する、と複数のメディアが伝えている。