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値下げ合戦は終わった パブリッククラウドは機能競争へ向かう
2016年11月28日 10:08
大手3社が激しい競争を繰り広げるパブリッククラウド分野。数年前は1社が値下げを発表すると、すぐに競合が対抗して値下げするといった「価格競争」が繰り広げられたが、これも落ち着きつつあるという。機能で差別化を図るというユーザーと事業者の両方にとって健全な市場にシフトが進むのだろうか――。
AWSの53回目の値下げ
AWSは11月に入って、コンピューティングの「Elastic Compute Cloud(EC2)」、クラウドストレージ「Simple Storage Service(S3)」、バックアップ用のストレージサービス「Glacier」と主力のパブリッククラウドサービス3種の値下げを続けざまに発表した。
11月14日に発表したEC2の値下げは、C4、M4、T2の各インスタンスの価格を下げるもので、値下げ率はリージョンにより異なるが、5~25%の下げ幅となる。S3とGlacierは11月21日に発表し、やはりリージョンにより異なるが、S3は16~28%、Glacierは最大43%の引き下げとなる。
EC2の値下げを発表した公式ブログに、AWSのJeff Barr氏は「値下げは53回目」と記している。EC2の値下げは今年1月以来10カ月ぶりだ。
Barr氏はS3について、2006年にローンチした当初の価格はGBあたり月額が15セントだったと振り返る。その後全リージョンに拡大するのと並行して、価格を80%も下げたと述べている。機能面でもVPCの統合、IPv6のサポートと拡充し、新たにS3 Infrequent Accessなどオプションも加わった。Glacierについては、2012年のローンチ当初は1GBあたり月額1セントだったが、2015年秋に30%カットし、今回の最大43%の値下げになったと説明している。
だが、こうした値下げ攻勢にも変化の兆しが出ている。
Barr氏は「顧客がAWSを信頼して数兆単位のオブジェクトを預けてくれたので、スケールが得られた。低価格は、その直接の結果だが、恩恵の一つに過ぎない」と言う。そして「クラウドストレージプラットフォームの本当の価値は、迅速、着実な進化であり、それは新機能の追加ごとに寄せられる顧客からのフィードバックに基づいている」と強調する。