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ピュア・ストレージ、最新オールフラッシュアレイや管理プラットフォームを発表

 ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は9日、フラッシュアレイの新製品として、「FlashArray//m」を発表。さらに、ストレージ調達などの新たなビジネスモデルである「Evergreen Storage」、クラウドベースのストレージ管理とサポートのためのプラットフォームである「Pure1」を発表した。

今回発表された新製品

 米Pure Storageは、企業向けオールフラッシュストレージ専業ベンダーで、2009年に、チーフアーキテクトのジョン・ヘイズ氏と、CTOのジョン・コルグローブ氏により創設。現在は27カ国で展開しており、日本法人は2013年2月に設立された。

 ピュア・ストレージのフラッシュアレイ製品は、インラインでの重複排除とデータ圧縮を行うことで、高速なI/O処理を標準的なディスクストレージ並みのコストで実現する。「2015年度の売上高成長率は300%以上になっており、ガートナーによるソリッドステートアレイのマジッククアドラントでは、独立系ストレージベンダーとして唯一、リーダーのポジションにある。ビジネスモデルにおいてもイノベーションを実現していく企業である」(米Pure Storageのデビッド・ハットフィールド社長)などとした。

 今回発表した「FlashArray//m」は、同社のフラッシュアレイ製品の第4世代となるもので、「オールフラッシュアレイとしては初めて、完全なエンド・トゥ・エンドの統合ハードウェア、ソフトウェア製品として提供するものであり、密度、効率、コストパフォーマンスを実現するものになる」とした。

FlashArray//m
FlashArray//mの実機
米Pure Storageのデビッド・ハットフィールド社長

 従来のフラッシュアレイ製品に比べて、パフォーマンスは50%向上するとともに、密度は2.6倍、1TBあたりの電力効率は2.4倍に向上。「ストレージサイズを小型化できること、モジュラー型としていること、インテルのHaswellを採用したことによる高いパフォーマンスを実現していること、そして、シンプルな構成、といった4つの特徴を持つ」という。

 また、「従来のディスク型ストレージラックを3Uサイズに統合し、冷蔵庫数台分のサイズであったストレージアレイを電子レンジ1台のサイズにまで小型化した。消費電力は、住宅10戸分を、オーブントースター1台分にまで削減できた」(米Pure Storage マット・キックスモーラー製品担当副社長)とした。

 最大120TBの有効容量を持ち、15万 32K IOPSの「//m20」、最大250TBの有効容量で22万 32K IOPSの「//m50」、最大400TBの有効容量で30万 32K IOPSの「//m70」と、3つのコントローラオプションを用意。パフォーマンスと容量のニーズに応えることができるという。

小型であることが重要な理由
小型サイズとモジュラースケール
米Pure Storage マット・キックスモーラー製品担当副社長

 また「Evergreen Storage」は、同社のフラッシュアレイ製品と、ソフトウェア制御アーキテクチャ、標準メンテナンスプログラムの「Forever Flash」を組み合わせて提供するもので、「リプレースの必要をなくし、一度ストレージを導入すれば、何世代にもわたって、インプレース・アップグレードが可能になる。顧客は3年から5年に一度、ストレージを買い換え、そのたびにデータを入れ替えなくてはならなかったが、そうした痛みがなくなる」(キックスモーラー副社長)とした。

 Evergreen Storageには、ソフトウェアおよび定期的なハードウェアのアップデートが含まれており、フラッシュアレイを最新の状態で利用できる。また、フラッシュアレイのコントローラハードウェアをアップグレードするとともに、既存のコントローラへの投資に対する下取り価格を得られる「Upgrade Flex Bundles」も提供する。

一度ストレージを導入すれば何世代にもわたってインプレース・アップグレードが可能になる

 一方、「Pure1」は、IT担当者が、iPadやiPhoneなどのモバイルデバイスを通じて、ストレージを監視できるもので、生産性向上を図ることができるという。

 管理とサポートのプロセスをクラウド上に集約することで、顧客、パートナー、ピュア・ストレージの3者が共同で、シームレスな調整と、プロアクティブなサポート環境を提供。フラッシュアレイが設置されている各環境のストレージ専用サーバーを不要にすることでコストを削減する。仮想化およびクラウドコンピューティング環境において、アプリケーションとの統合を簡素化できるという。

 Pure1は、Webブラウザで管理を行い、世界中に分散しているFlashArray製品をどこからでも単一の画面で監視できる「Pure1 Manage」、障害発生時にダイレクトな対応を行うとともに、潜在的な問題をプロアクティブに検出して警告する「Pure1 Support」、構築済みの環境への統合と自動化を図ることができる「Pure1 Connect」、コミュニティとの連携や情報共有が可能な「Pure1 Collaborate」の4つの要素で構成している。

 「Pure1は、すでに大規模な試験運用が開始されており、日本でも数社が参加している。これが7月には本番環境で利用できるようになる。第3四半期から本格的な展開を開始する」(キックスモーラー副社長)とした。FlashArray製品を導入しているユーザーは、現在有効な保守サポート契約があれば、追加費用なしで利用できるという。

Pure1の特徴

 ピュア・ストレージ 代表取締役の山田秀樹氏は、「技術の先頭を走っており、それに対して、多くの顧客の賛同を得ている。オールフラッシュストレージの技術革新だけでなく、従来のストレージに縛られないビジネスモデルやカスタマエスペリエンスなどを通じて、顧客の課題を総合的に解決する会社でありたい。今回の発表は新たなマイルストーンになる」などと述べた。

 また、米Pure Storage 創設者兼チーフアーキテクトのジョン・ヘイズ氏は、「自らハードウェアまで作っているのは、ハードウェアの製品サイクルを待つことなく、独自に設計を行う環境を作り上げることで、最新の技術を活用してソフトウェアを最適化し、パフォーマンスの向上を図れると考えたからである。製品投入の迅速化も図れる」と語ったほか、「Pure1では、データはクラウド上には置かない。データは顧客のもとにあるのが特徴である」などと述べた。

ピュア・ストレージ 代表取締役の山田秀樹氏
右から、米Pure Storage 創設者兼チーフアーキテクトのジョン・ヘイズ氏、キックスモーラー製品担当副社長、ハットフィールド社長

大河原 克行