週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】マイグレーションとは

 英語の「Migration」は移住・移転などを意味するが、ITの世界においてのマイグレーションとは、既存システムを別の環境へ移行させることを指す。例えば、社内やデータセンターで運用していたオンプレミス環境をクラウドへ移行させるための一連の工程は「クラウドマイグレーション」と呼ばれる。

 企業や組織体はほぼ例外なく、業務遂行にあたってなんらかのITシステムを利用している。だが開発から年月が経てば、ハードウェアが老朽化するだけでなく、社会事情的にも要求される機能や性能要件も変わってくる。災害をきっかけにサーバー設置拠点を分散させたり、コロナ禍の在宅勤務でリモート接続へ急遽対応するといったケースだ。

 業務用ITシステムはその性質上、24時間365日体制で運用されるのが一般的で、ハードウェアの増設や交換、ソフトウェアの部分的修正のためにシステムを停止させる時間は最小限にせざるを得ない。とはいえ、10年超~数十年の単位では根本的なシステム刷新を行う必要がある。その際には、既存システムを業務に支障のないように稼働させたまま、かつデータ移行をさせるかが極めて大きな課題になってくる。

 マイグレーションは、システム管理者にとって特に難度の高い業務だと言える。年単位で準備し、入念なリハーサルを行っても、それでも失敗する可能性がゼロではない。なぜマイグレーションが必要なのか、どんなメリットとリスクがあるかの説明など、関係者の理解促進・啓蒙活動といった視点もまた必要だろう。