週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】レジリエンスとは

 英語表記は「Resilience」で、「回復力」や「弾性(復元力)」のこと。ITやデータセンターの分野では、システムを障害から回復させたり、順応する能力ないし体制などを意味する。例えば「我が社のシステムは設計から20年が経過しており、レジリエンスが低い」といったかたちで用いる。

 銀行ATMネットワークのあり方からも分かるように、多くのITシステムは、一瞬でも停止すると社会的影響が大きい。その結果、「停まらない」「部分的に障害が発生しても全体としては常に機能し続ける」といった方向性が志向されてきた。

 だが現実問題として、突発的な災害であったり、複数のネットワークが複雑に接続しあう環境、悪意ある第三者のサイバー攻撃などにより、一切停止しないシステムの実現性は限りなく低くなってしまっている。例えば大規模クラウドはその構成上、障害に強いと考えられていたが、実際には長時間にわたって停止する事態も頻発している。

 そこで、安定稼働を第一としながらも、障害発生時に被害を最小化するためにネットワークを切り離せるようにしたり、パブリッククラウドについても複数を並行利用するなど、回復・復旧のための体制構築にも注目が集まっている。

 天災への対応・復旧という意味ではディザスターリカバリー(DR)という表現が用いられるが、レジリエンスは日常的に発生し得る一般障害からの回復能力、というニュアンスも含まれるようだ。

 ちなみに、似た用語の「レジデンシー(Residency)」は、「(クラウドにおける)データの所在地」のことであり、意味合いは全く異なる。