特別企画
通信事業者の総合力を結集したNTTコミュニケーションズ「Bizホスティング」の強みとは
「ビジネスクラウド総合評価調査」で2年連続AAA評価を獲得
(2014/3/4 06:00)
MM総研が2月12日に発表した「第2回 ビジネスクラウド総合評価調査」において、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)のクラウドサービス「Bizホスティング」が、最高水準の格付けとなるAAAを獲得した。
今回の調査では、クラウドサービスの基本性能だけでなく、信頼性や安全性、導入・運用管理なども評価項目に追加され、さらに総合的な評価が行われたが、その中でも「Bizホスティング」は最高レベルの総合評価ポイントを獲得。前回の調査に続いてAAA評価となった。
数あるクラウドサービスの中で、「Bizホスティング」が高い評価を得ている理由、そして同サービスを支えるNTT Comの総合力の強みを同社 クラウドサービス部 販売推進部門 担当部長の津田かほる氏に聞いた。
高いレベルで総合力が評価された結果の“最高水準”
「ビジネスクラウド総合評価調査」は、企業の情報システム基盤や災害時に継続運用できる社会基盤に適したサービスを選定するという視点から、クラウドサービスの実力を客観的に評価することを目的に行われるもの。2回目となる今回は、本格的な普及期を迎えるクラウドサービスを適切に評価するために、「パブリッククラウドのサービス機能・品質」、「プライベートクラウドのサービス機能・品質」、「サービス料金」、「導入支援・運用管理」の4つの分野にフォーカス。これに伴い、評価項目についても、サービス機能や導入支援・運用管理、セキュリティ、ハイブリッド環境対応などの項目を新たに追加し、70評価項目まで拡大している。
このように、総合力がさらに問われるようになった今回の「ビジネスクラウド総合評価調査」においても、NTT Comの「Bizホスティング」は最高水準AAA評価を獲得。この理由についてMM総研は、「『Bizホスティング』は、プライベートクラウドのサービス機能・品質、サービス料金、導入支援・運用管理など、各分野で総合的に高い評価を得た。これにより、前回に引き続き、AAAの中でもトップクラスの総合評価ポイントとなった」と説明している。
一方、NTT Comの津田氏は、「Bizホスティング」が総合力で高く評価された背景をこう語る。「当社では、2011年11月にグローバルクラウドビジョンを発表した。このビジョンは、単にクラウドサービスを提供するのではなく、当社の強みであるネットワークインフラやコロケーション、システムインテグレーション、またアプリケーションやセキュリティ、さらには運用管理サービスまで含めて、通信事業者ならではのグローバルトータルICTアウトソーシングの提供を目指すというもの。そして、このビジョンを具現化したものが『Bizホスティング』であり、まさに当社の総合力が結集したクラウドサービスとなっている」と力を込める。
「Bizホスティング」の大きな特徴としては、まず幅広いサービスラインアップが挙げられる。今回の評価対象となった「Bizホスティング Enterprise Cloud」(以下、BHEC)と「Bizホスティング Cloudn(クラウド・エヌ)」(以下、Cloudn)の2つのクラウドサービスを含め、サービスが非常に多岐にわたっているのだ。
「BHEC」では、基幹システムの運用にも対応可能な、柔軟で信頼性の高いプライベートクラウド基盤を提供。一方「Cloudn」では、Webサービスのインフラや開発環境向けに、豊富なAPIを備えた拡張性の高いパブリッククラウドサービスを業界最安価で提供している。これにより企業は、自社のユースケースに合わせて最適なクラウドサービスを選ぶことができる。
信頼性・柔軟性の高いグローバルなクラウドサービスを提供
では、それぞれのサービスについてもう少し詳しく見てみよう。
「『BHEC』は、豊富なメニューから必要なICTリソースを柔軟に組み合わせて、企業のさまざまな要件・システム規模に合わせたシステムを構築できる点が強み。また、セルフマネジメントに対応しており、カスタマーポータルから自由にシステムの管理や設定変更などを行うことができる」と津田氏。
具体的には、ネットワークリソースとしてVPN接続、インターネット接続、ファイアウォール/ロードバランサーなどを豊富に提供するほか、CPU(1GHz単位)、メモリ(1GB単位)、ディスク(50GB単位)などのコンピュートリソースが用意されており、これらを組み合わせて、最小単位から時間従量課金で利用することができる。また、エンタープライズシステムで重要な要素となるデータベースについて、Oracle DatabaseとMicrosoft SQL Serveのライセンスも用意され、用途に応じてシングル構成とクラスタ構成が選べるようになっているのもポイントといえるだろう。
カスタマーポータルでは、「BHEC」のサービス利用状況(契約情報、設定情報、発生中アラームなど)の確認や、各種設定(仮想サーバー作成、リソース割り当て、データセンター内ネットワークの各種設定/変更など)のオンデマンド変更ができる。
「特に、ファイアウォールやロードバランサーなどのネットワークリソースをカスタマーポータルから柔軟にコントロールできるのは、『BHEC』ならでは。通常、こういった部分の設定変更には数日かかるが、SDN技術を活用することでネットワークを仮想化し、ポータルから自在に制御できるようにした。SDN技術の活用ということでは、国内外のデータセンター間のカスタマーポータルからの帯域拡張機能も実現。一時的に帯域を拡張することで、データバックアップにかかる時間を短縮しつつ、課金を抑えられるようにしている」(津田氏)という。
また「BHEC」は、現在、8カ国10拠点(マレーシア、タイ、イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本、中国[香港]、シンガポール)でグローバル展開しているが、各拠点のクラウド環境をカスタマーポータルで一元管理することも可能だ。各拠点のサービス契約は、いずれの提供拠点でも一括で行えるため、海外展開をする際に現地まで足を運んでデータセンターを探すなどの手間がなくなり、海外拠点でのクラウドサービスを迅速に展開できるという。
カスタマーポータルはどの事業者でも充実化が図られているが、こういったところで差別化が行われているわけだ。
一方、「Cloudn」は、Amazon Web Services(AWS)互換を含む200以上のAPIを備えた、拡張性の高いパブリッククラウドサービス。仮想サーバーの作成・削除を始め、ロードバランサーを利用した負荷分散、高信頼なRDB、大容量データを保管できるオブジェクトストレージ、アクセス集中に対応するオートスケーリング機能、アプリケーションの実行環境を提供するPaaSなど、充実した機能を備えながら、月額945円からという業界最安値を実現。現在、日本3拠点とアメリカ1拠点の計4拠点でサービスを提供している。
ネットワークをはじめ通信事業者ならではのサービスが充実
「BHEC」と「Cloudn」をはじめとする多様なメニューにより、プライベートクラウドからパブリッククラウドまでを幅広くカバーする「Bizホスティング」だが、それだけでなく、NTT Comが保有するネットワークインフラからデータセンター、セキュリティまで、クラウドサービスに欠かせないICT環境をワンストップで提供できる点も通信事業者ならではの大きな特徴といえるだろう。
「ネットワークインフラについては、世界160カ国・地域に展開(欧州50カ国、アジア33カ国、米州30カ国、アフリカ34カ国、オセアニア13カ国)するネットワークサービス『Arcstar Universal One』と連携し、各国の『BHEC』との無料接続を実現している。データセンターについては、全世界143拠点(2013年10月時点)で提供しているグローバルブランド『Nexcenter』と連携。そして、セキュリティについては、グローバルで展開している総合リスクマネジメントサービス『WideAngle』を提供する。独自開発の新セキュリティ運用基盤(SIEMエンジン)と、『グローバルリスクオペレーションセンター』での専門分析官による監視運用体制により、サイバー攻撃などのリスクを最小化することができる」と、津田氏はNTT Comの通信事業者としての総合力を強調する。
さらに、オンプレミスからのマイグレーションサービスやハイブリッドクラウドのサポートが充実している点も見逃せない。「当社では、オンプレミスとデータセンター間に世界で初めてSDNを商用導入し、オンプレミス環境から『BHEC』へのマイグレーションを、IPアドレスやネットワークセグメントを変更することなくシームレスに行えるようにしている。また、クラウドマイグレーション専門チームが、コンサルティングから移行メニューまでスムーズなマイグレーションをサポートする」(津田氏)という。
ハイブリッドクラウドについては、データセンター内およびデータセンター間で、「BHEC」とコロケーション間にSDN技術を導入。これにより、企業のオンプレミス環境とNTT Comのクラウド環境、コロケーション環境をSDNで完全に接続し、各システムをシームレスに管理・操作できる統合ICT環境の実現を目指している。
今後の展開について津田氏は、「『BHEC』の新たなサービス拠点として、4月にドイツ、10月に中国・上海を展開し、今年中に10カ国12拠点へと拡大する。サービスラインアップの拡充では、インターネットVPN接続機能やソフトウェア型のファイアウォール/ロードバランサー機能を提供する予定だ。また、『Cloudn』についても、今年中にAPACに新たなサービス拠点を展開することを計画している」と、NTT Comの総合力をベースにしながら「Bizホスティング」のさらなるサービス拡大に意欲を見せた。