NTT Com、OpenFlowを活用した「Bizホスティング Enterprise Cloud」


 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com) は6月11日、ネットワーク仮想化技術「OpenFlow」などを活用した企業向けクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」を、6月29日より提供開始すると発表した。価格は、最小セットで月額7350円(税込、以下同)から。

必要なICTリソースを最小単位で利用可能な時間従量課金制

NTTコミュニケーションズ株式会社 クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門長の関 洋介氏

 「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、2011年10月に発表した「グローバルクラウドビジョン」に基づくサービス第1弾。「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、ネットワーク仮想化技術をデータセンター内だけでなく、データセンター間のネットワークにも採用した。

 「Bizホスティング Enterprise Cloud」は、NTT Comが提供する企業向けグローバルネットワークサービス「Arcstar Universal One」と直結。これにより、顧客はサービスの利用に必要なクラウドへの接続回線を無料で利用できる。また、データセンター内へのネットワーク仮想化技術の導入により、サービス運用の大幅な効率化を実現し、提供料金は最大で従来の半額となったという。

 仮想サーバーはVM単位ではなく、VR(バーチャルリソース)をCPUは1GHz単位、メモリは1GB単位、ディスクは50GB単位で必要なだけ購入できる。CPUは1GHzあたり1分0.092円、月上限額が2625円。メモリは1GBあたり1分0.073円で、月上限額が2100円。ディスクは50GBあたり1分0.092円で、月上限額が2625円。

 インターネット接続はベストエフォート型で10Mbpsあたり1分1094円、月上限額が3万1500円。同じくベストエフォート型で100Mbpsあたり1分2.188円で月上限額が6万3000円。帯域保証型は1Mbpsあたり1,058円で月上限額3万4501円。ベストエフォート型は、NTT Comのレイヤ2仮想プライベートネットワークソリューションVLinkを採用しており、IPバックボーンを利用している。

 このほか、イントラネット接続とvファイアウォールが標準サービスとなっており、イントラネット接続は無料、vファイアウォールは1リソースごとに1分1.021円、月上限額が2万9400円。1リソースは40Mbps相当となる。

 オプションで1リソース20Mbps相当ごとに購入できるvロードバランサー機能、作成した仮想サーバー情報をテンプレートとして保存できる領域を提供するプライベートカタログ機能、仮想サーバーのデータを遠隔地に保存できるグローバルデータバックアップ機能を提供。OSライセンスもオプションとして用意、Red hat Enterrise Linux 5.8/6.2(64bit)、Windows Server 2008 R2 Enterprise(64bit)を提供する。

 「Bizホスティング Enterprise Cloud」はすべてOpenFlow対応の機器で構成する。スイッチはNEC製。コントローラもNEC製だが、NTT Com側でかなりオリジナルなカスタマイズを行っているという。

 カスタマーポータルでは、仮想サーバーやネットワークなどのICTリソースの利用状況を一元的に把握し、自由自在に設定することができる。リソースの利用状況に応じて、リアルタイムで適切なリソースに設定変更が可能。カスタマーポータルは、標準で日本語・英語をサポートする。

 また大きな特徴として、グローバル共通仕様・品質で全世界にサービスを展開。6月29日提供開始の日本、香港のデータセンターを皮切りに、2012年12月に米国2拠点、英国、シンガポールで提供開始。さらにオーストラリア・マレーシア・タイで2013年3月までに提供を開始する。

 米国、英国、シンガポールなど8カ国9拠点の各クラウド拠点間はNTT Comの広帯域バックボーンで接続され、さらにネットワーク仮想化技術を導入することで、世界中のICT基盤をシームレスに、ひとつのカスタマーポータルから同じ操作で細かく設定できる。

 「Bizホスティング Enterprise Cloud」のカスタマーポータルは今後、NTT Comが提供するネットワークやデータセンターなどの各種サービスにも対応する予定だ。NTT Comでは、「顧客は今回のカスタマーポータルを通して、利用中の各種サービスを一元的にコントロールできるようになる」としている。

 データセンター間のネットワーク仮想化技術を活用した新たなサービスメニューとして、海外のデータセンターへのバックアップを可能とする「グローバルデータバックアップ」を提供。通常は必要最小限の帯域を用いてバックアップを実行し、大量データをバックアップするときにだけ、カスタマーポータルからの操作により柔軟に帯域を拡張することで高速なデータ転送が可能になる。

ネットワーク仮想化技術を採用した世界初のプライベートクラウドサービスネットワーク仮想化技術のメリット



「BizホスティングEnterprise Cloud」の特長ネットワークと一体になった通信事業者ならではのクラウド。イントラネット接続は無料



必要なICTリソースを最小単位で利用できるグローバルに共通の仕様・品質で提供する


DC間も仮想化し、顧客が直接コントロールできる世界初のサービス

 NTTコミュニケーションズ株式会社 クラウドサービス部 ホスティング&プラットフォームサービス部門長の関 洋介氏は、「データセンターの間、WANも含めてかなり詳細な形で顧客企業が直接設定できる。グローバル展開も意識しており、グローバルでも均一のメニューを世界8カ国で提供する。従来サービスの仮想化はデータセンター内までで、データセンターの外側に仮想化技術を採用し、かつ顧客が直接コントロールできるサービスとして提供するのは、世界でもこれが初となる」と説明。

 「サーバー側の仮想化技術は非常に進展しているが、ネットワークの設定・変更については、たとえば回線を増速するといった変更で、数日から数週間作業にいただくというのがいままでの通常だった。またファイアウォールの設定は数カ月前から細かい条件を詰め発注をいただくといったことをこれまでやってきたが、これらの作業が増速の設定を選んだり、ファイアウォールの設定を選択するだけで変更が完了する」とした。

 また関氏は、「震災以後、遠隔地にバックアップする需要が増大しており、1カ所ではなく複数のデータセンターにまたがってバックアップしたいという要望が多いが、バックアップは、普段は差分バックアップを行うため帯域はさほど必要としないが、まとめてバックアップを取る際などは帯域が広くないと時間がかかりすぎるなど、帯域のニーズが変化する。細いといざというときに遅いし、太いと普段はさほど使わないのにもったいないということになるが、通常は余裕を見て契約することになる。分単位で必要なだけ帯域も買えるため、無駄なく利用できる」と説明、バックアップにおいてはグローバルで最小課金単位が細かいサービスのメリットが大きいと述べた。

 クラウドへの移行で大きな課題となるのがオンプレミスからの移行だ。関氏は、オンプレミスから移行する顧客も十分使えるメニューにすると述べた。課題となるセキュリティとマイグレーションについては、セキュリティは専門チームを新設し、クラウドセキュリティを強化。「詳細は別途発表するが、アプリケーションフィルタリングやWebアプリケーションファイアウォール(WAF)など、メニューをどんどん追加する」とした。

 マイグレーションについても特別なコンサルチームを作り、移行についても極力メニュー化していけるように今後作り込んで行くという。

 コスト面でも、TOTO株式会社とHOYA株式会社など先行ユーザー数社が導入しているが、「先行ユーザーの場合では40%コストが削減できている」。(関氏)

 なお、NTT Comは6月13日から15日まで3日間にわたって幕張メッセで開催される「INTEROP Tokyo 2012」に出展。「Bizホスティング Enterprise Cloud」の展示およびデモを行う。

ポータルから自由にシステム構築ができる企業向けに豊富なオプションを提供。コンサルやマイグレードなどの導入支援も用意


クラウドセキュリティ機能も強化、今後どんどんサービスをリリースするというクラウドマイグレーションサービス


サービスのトップメニュー。海外拠点も一括管理でき、様々なリソースが確認できるFireWallの設定


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