特別企画

データ仮想化で企業のデータ活用を一新 アクティフィオのエンタープライズ データ アズ ア サービス(EDaaS)とは?

 ビジネスのあらゆる活動がデジタルで行われ、リアルの世界と融合していく。いわゆるデジタルトランスフォーメーションの進展とともに、企業が保有するデータ量は爆発的な勢いで増大しており、本番データから作られる複数のコピーデータ量が、本番データ量よりはるかに大きいと言われている。

 そうした中で、エンタープライズ データ アズ ア サービス(EDaaS)という考え方を提唱しているのがアクティフィオだ。複数作られるコピーデータを1つのゴールデンコピーに集約することで、データ管理の負荷を軽減し、ストレージ容量を削減する。また、ゴールデンコピーは、その複製である仮想コピーを活用することで、目的のデータを即座に利用できるため、企業内でのデータ活用シーンを劇的に改善する。

コピーデータ管理の新たな考え方「エンタープライズ データ アズ ア サービス(EDaaS)」を提唱

 企業内のデータが増大すると、それにともなって必然的にコストが増大していく。大容量データを保存するためにストレージの増設が必要となり、データ管理の負担も増していくためだ。

 だが、あらためて考えてみると、そこには膨大な無駄が存在している。主要データの定期的なバックアップはもちろん、本番サイトと遠隔サイト間で同期をとりながらデータを冗長化して保持するBCP(業務継続性計画)やDR(災害復旧対策)などのために、同じ本番データからコピーを繰り返し作成しているのが実態だ。

 加えて、スナップショットやリモート・リプリケーションなど、ストレージ装置に依存した機能が使われていることが多く、結果としてベンダーロックインから抜け出せなくなる。

 どこかでデータ管理とストレージ利用の効率化・合理化を図らないことには、データ保護にかかるコストが巨額になり、肝心のデジタルトランスフォーメーションに手が回らなくなるという、まさに本末転倒の事態に陥ってしまう。

これまでのデータ管理

 そうした中で、エンタープライズ データ アズ ア サービス(EDaaS)というコピーデータの管理と活用に新たな考え方を提唱しているのがアクティフィオだ。2009年に創業し、米国マサチューセッツ州フォルサム(ボストン)に本社をおく同社は、現在そのビジネスを北米から欧州、アジアまで世界40カ国に拡大。エンタープライズ企業のほかに事業者の提供するサービスとしてアクティフィオを利用している企業を合わせると、同社のユーザー数は、すでに2300社に達しているという。

アクティフィオによる「コピーデータ管理」

 そして同社は、日本でも2012年より事業を開始。日本法人であるアクティフィオジャパン 代表社長の勝俣正起氏は、「セールス、コンサルティング、ソリューションアーキテクト、プロフェッショナルサービスエンジニアのほか、日本全国をカバーする24時間365日の保守体制をすでに整えています。一次代理店もCTCSP、ネットワールド、丸紅情報システムズ、NTTデータ先端技術、ニッセイ情報テクノロジー、パナソニックインフォメーションシステムズの6社に広がっており、今後さらに積極的な攻勢をかけていきます」と意欲を示す。

アクティフィオジャパン代表社長の勝俣正起氏

単一のゴールデンコピーから仮想的なコピーを多用途に展開

 エンタープライズ データ アズ ア サービス(EDaaS)を実現するアクティフィオとはいかなるものなのか、さらに詳しく見ていきたい。

 先ほど、バックアップやBCP、DRのために行われているデータコピーが無駄を生じさせていると述べたが、実際には企業内で作られるデータコピーはそれだけではない。アプリケーション開発、テスト、アナリティクスなど、さまざまな用途で本番データのコピーが次々に作られ、サイロ化した環境が乱立しているのが実態だ。

 簡単に言えばアクティフィオはこうした次々に作られるコピーデータの代わりに仮想コピーを提供する。アクティフィオジャパンCTOの高峰康氏は、「アプリケーションやOSからポイントインタイムコピーを取得し、ゴールデンコピーと呼ばれる単一のマスターイメージを作成します。データの活用には、ユーザーが必要なタイミングのデータ(例えば、昨日の15時のデータ)を仮想コピーとして提供することができます」と説明する。

 一般的なバックアップデータ(ポイントインタイムコピー)は、書き戻し(リストア)を行わなければ利用できない。これに対してアクティフィオは、「任意の世代の仮想コピーデータを、目的のデータベースやアプリケーションにマウントしてすぐに利用できる」(高峰氏)という点で大きな違いがある。また、仮想コピーは、書き込み変更可能なデータである。

アクティフィオのコピーデータ管理
仮想コピーデータをマウントしてすぐに利用できる

 取り込み可能なデータも、VMwareやHyper-Vなどの仮想化プラットフォーム、Oracle Database、SQL Serverなどのデータベース、SAP、SharePoint、Exchangeなどのアプリケーションと幅広い。Windows、Linux、AIX、HP-UX、SolarisといったほとんどのエンタープライズOSのファイルシステムにも対応している。また、ストレージ独自のデータ管理機能には依存しないため、ベンダーロックインに陥る心配もない。

 「例えば開発テストの環境構築にアクティフィオを利用した場合、従来はストレージ調達に約2か月、ストレージ設計・構築に約2週間、データコピー/移行に約1週間を要していたリードタイムを、わずか1時間程度に短縮することが可能です」と高峰氏は語る。

 アクティフィオの特長は、ゴールデンコピーと永久差分でコピーデータを管理するだけでなく、データの保管の効率化のためにスナップショットプールとアクティフィオ独自の重複除外の機能を利用したデデュププールを組み合わせたことにある。

 「業務でアクセスするデータの大半は、過去3日以内に生成された新しいデータと言われています。アクティフィオは、データベースやアプリケーションから取り込んだデータを元の形式のままでスナップショットプールに保持することで、迅速にアクセス要求に対応。同時に、週次、月次、年次といった長期保存が必要なデータは重複除外を適用した長期保存のプール領域に格納します。これにより無駄なストレージの消費を抑えることができます」と高峰氏は語る。

さまざまな環境からデータの取り込みが可能。時間が経過したイメージは重複除外を適用した長期保存のプール領域へ

 スナップショットプールとデデュププールに格納したデータは、重複除外転送機能(Dedup Async Replication)を使って、遠隔地のアクティフィオアプライアンスに対して効率よく転送することができる。保存先として重複除外された仮想コピーデータ長期保存のプール領域としては、パブリッククラウドを利用することも可能だ。アクティフィオの製品形態としてハードウェアアプライアンス「Actifio CDS」、ソフトウェアアプライアンス「Actifio SKY」に加え、Amazon Web Service(AWS)やMicrosoft AzureのマーケットプレイスからSaaS型アプライアンス(Actifio SKY for AWS / Actifio SKY for Azure)としても提供されている。

 「Dev(開発、テスト、ステージング)とOps(運用)の双方で必要なデータをひとつの物理コピーを元にした仮想コピーとして提供し、ユーザーによる即時アクセス、コンプライアンスや災害対策を含めたデータガバナンスの強化、ハイブリッドクラウド化を同時に実現することが、アクティフィオの提唱するこれからのデータ管理のあり方です」と高峰氏は強調する。

アクティフィオジャパンCTOの高峰康氏

新たな動向として、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)と組み合わせた導入も拡大

 国内企業においてもアクティフィオは、着実な成果を上げている。

 例えば、あるマルチベンダー環境の生保向け共同基幹システムは、バックアップおよび災害対策をアクティフィオに集約したことでシンプルな運用管理を実現。重複除外や圧縮機能によって回線帯域のボトルネックを解消し、ユーザーのRPO(目標復旧時点)要件に対応するとともに、そのコピーデータを即時利用した開発・テスト環境への転用を推進している。

 また、ある建材メーカーはグループ経営統合に伴う数百台の業務サーバーの効率的なデータセンター移行にアクティフィオを効果的に活用することによって実現。移行作業工数を80%以上削減するとともに、仮想マシンを短時間で移行することで業務影響を極小化した。

アクティフィオによるDRの実現

 こうした成功事例は枚挙にいとまがない。アクティフィオジャパン 事業戦略兼ビジネス開発本部長の小川高寛氏は、「デジタルトランスフォーメーションにおけるアプリケーション開発環境での活用が目立ちはじめた中で、仮想化技術やハイブリッドクラウドとの親和性の高さからHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)とアクティフィオを組み合わせる導入も増えています」と、最近の動向を示す。

 なお、アクティフィオは、9月21日に東京カンファレンスセンター品川で「actifio LIVE Tokyo」の開催を予定しており、共同創業者でソリューション開発担当上級副社長のデビット・チャン氏やCMO(最高マーケティング責任者)のブライアン・リーガン氏など、米国本社のエグゼクティブの来日も決まっている。「アクティフィオのビジネス戦略からテクノロジーの方向性、お客さまの事例など、アクティフィオの最新動向をお伝えすべく準備を進めています」と小川氏は語る。

 幅広い業種への導入が進み、市場における認知の高まりとともに、アクティフィオは日本市場においてもさらに加速的な需要の広がりを見せていくことになりそうだ。

アクティフィオジャパン 事業戦略兼ビジネス開発本部長の小川高寛氏

(協力:アクティフィオジャパン株式会社)