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CA、統合バックアップ新製品「arcserve UDP」~既存3製品を機能統合

 CA Technologiesは13日、統合バックアップ・リカバリソフトの新製品「CA arcserve Unified Data Protection(以下、CA arcserve UDP)」を発表した。6月9日から出荷を始める。新製品の発表と同時に「ARCserve」から「arcserve」へブランドも変更する。

統合バックアップの新製品

 CA arcserve UDPは、イメージバックアップ製品「CA arcserve D2D」の後継製品。ただし、物理・仮想バックアップ・リカバリソフト「CA arcserve Backup」、レプリケーションソフト「CA arcserve Replication/High Availability(以下、CA arcserve RHA)」の機能も統合しているのが特長だ。簡単にバックアップが行え、仮想環境や災害対策のニーズにも幅広く対応する。

 CA arcserve D2Dの「ブロックレベルのバックアップ」「継続的な増分バックアップ」「ベアメタル復旧」「エクスプローラを使った簡単ファイルリストア」といった基本機能をそのまま継承し、加えて「iSCSIボリュームのサポート」「詳細なスケジュール設定」「ジョブ・監視ツールとの連携」「Windows/Linuxの同一画面上での管理」にも対応した。

CA arcserve D2Dから継承した基本機能
そのほか新機能も多数実装
スケジュール設定は曜日や月次・週次・日次の指定が可能に

 「Windows/Linuxの同一画面上での管理」については、物理サーバー(Windows)、物理サーバー(Linux)、仮想マシン(エージェントレス)、CA arcserve RHAにそれぞれ個別に提供されていたWeb GUIを一本化した統合コンソールが実装されている。

 将来的には、バックアップ製品としてCA arcserve UDPに一本化する方向性のようだが、現時点ではCA arcserve BackupとCA arcserve RHAの新バージョンも開発され、単体提供が継続される。

仮想統合基盤への対応

 CA arcserve UDPでは、CA arcserve Backupで提供されている「物理・仮想マシンの統合管理」「仮想マシンに対するエージェントレスバックアップ」機能が利用でき、「仮想化統合基盤のシステム保護にかかわる要件にまとめて対応できる」という。

 エージェントレスバックアップでは従来のVMware vSphereに加えてMicrosoft Hyper-Vもサポートしている。

 また、「バックアップ設定のメニュー化」の考え方を採り入れたのが特長。システム保護方法(バックアップポリシー)を「プラン」としてあらかじめ決めておき、ユーザー部門にシンプルに提示するものだ。ユーザー部門は新規システムの重要度に合わせてプランを選択するだけで良く、管理者がそのプランにシステムを割り当てるだけでバックアップを開始できるという。

 「仮想統合基盤においてシステムや仮想マシンごとにバックアップ要件を設定する手間がなく、ユーザー部門・管理者双方にとってバックアップの設定が簡易になるメリットがある」とアピールする。

システム保護方法を「プラン」としてあらかじめ型決め
バックアップの設定が簡単になるのがメリット

 このほか、上位ライセンスの「Premium/Premium Plus」では、「OracleやNotesなどアプリケーション単位のバックアップ」「UNIXサーバーのバックアップ」「テープライブラリのサポート」など、CA arcserve Backupのすべての機能が利用可能。

仮想統合基盤に求められる多くの機能を盛り込んだ
Premium/Premium PlusではCA arcserve Backupのすべての機能が利用可能

災害対策を適切なコストで実現

 CA arcserve RHAの災害対策機能も利用できる。具体的には「バックアップデータの重複排除」「バックアップデータの転送」「仮想スタンバイサーバーの自動作成」「マルチテナントストレージ機能」などだ。

 もともとブロック増分バックアップによりバックアップ容量の少ないarcserveだが、重複排除によってさらに少ない容量で多くの世代管理が可能となる。重複排除はエージェント側で行うため、ネットワークへの負荷も少ない。

 「バックアップデータの転送」については、「バックアップデータを遠隔地に保管する機能だが、この場合も転送元で重複排除が利用できる。また、たとえば本番サイトは30世代まで、リモートサイトは5世代までと、転送先での世代数を個別に設定可能。ストレージコストを抑えた災害対策が実現する」という。

 「仮想スタンバイサーバーの自動作成」によって、障害が起きた仮想マシンをバックアップデータをリカバリするより迅速にリモートサイトで立ち上げることも可能だ。

バックアップデータの転送
仮想スタンバイサーバーの自動作成

 バックアップサービスを提供する事業者向けには「マルチテナントストレージ機能」も新たに提供する。A社、B社と複数のバックアップ先を共有するもので、二次バックアップ先を共有する上で必要なセキュリティ機能などを備える。

マルチテナントストレージ機能も実装

 こちらも「Premium/Premium Plus」では、「ファイル単位のレプリケーション」「Hype-V仮想マシンの災害対策」「アプリケーションの可用性向上」といったCA arcserve RHAの全機能が利用できる。

災害対策を適切なコストで実現する機能
Premium/Premium PlusではCA arcserve RHAのすべての機能が利用可能

利用可能な機能に応じた5種類のライセンス

 ライセンスは「Workstation」「Standard」「Advanced」「Premium」「Premium Plus」の5種類が用意される。「Standard」が従来のCA arcserve D2D相当で、価格もCA arcserve D2D単体で購入した場合と同額となっている。ライセンスの課金対象は「バックアップ対象」にのみ左右され、仮想環境、テープ環境、リモートサイトへのレプリケーションとバックアップ環境を拡張しても必要なライセンス数が増えることはない。

 Standardの価格は、1物理サーバーあたり8万円(税別)。

利用可能な機能ごとに5種類のライセンスを用意

川島 弘之