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ブロケードが「オンデマンド・データセンター」構想を発表~仮想アプライアンスなどを強化
(2013/5/23 11:39)
ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)は22日、物理・仮想ネットワークを組み合わせ、さらなる自動化を進める「オンデマンド・データセンター」構想を発表した。
「オンデマンド・データセンター」構想では、物理・仮想の両ネットワーク環境を融合したインフラ上で、サーバー、ストレージ、ネットワーク、サービスといったコンポーネントのキャパシティが、自在に追加・変更できるようになることを目指している。そのためにブロケードでは、物理インフラ、仮想インフラ、コントローラ、オーケストレーションの各レイヤにおいて製品を強化しているが、特に、仮想インフラの取り組みが大きく進展してきた。
その1つが、米Brocadeが買収した米Vyatta製品をベースにする、ソフトウェアによる仮想ルータである。
物理インフラ、つまりネットワーク機器はそれぞれ個別のハードウェアで提供されてきたが、仮想化の進展によって、さまざまなソフトウェアベースのアプローチが生まれてきた。劇的に性能が向上しているインテルアーキテクチャのサーバーとソフトウェアの組み合わせで製品を提供すれば、「ハードウェアのコストは最適化できるし、ライセンスを追加するのみで容易にシステムを拡張していけるなど、ソフトウェアベースのネットワーク製品では、多くのメリットが得られる」(SDNビジネス開発本部 執行役員の尾方一成氏)ようになってきたからだ。
また、サービスをテンプレート化していくことにより、デプロイの時間を短縮できる点もソフトウェア製品のメリットで、こうした特徴を生かすため、各社ではネットワーク機能の仮想化を進めている。
前述のVyatta製品は、現在はブロケードブランドにリブランディングされ、仮想アプライアンス「Brocade Vyatta vRouter」として提供されているが、各ハイパーバイザーに合わせて性能がチューニングされているほか、1つのソフトウェアイメージからルーティング、ファイアウォール、高可用性の各機能を提供できる点が特徴。さらに買収後初の新バージョンとなる「Vyatta OS Release 6.6」(2013年秋提供予定)では、マルチキャストルーティングとダイナミック・マルチポイントVPNを新たにサポートする。
なお、Vyatta vRouterには無償のオープンソース版と有償の商用版があり、商用版はCTCが国内で販売しているが、ブロケードのほかの代理店で取り扱われるかなど、買収後の国内展開は計画中とのこと。
仮想アプライアンスでは今回はもう1つ、アプリケーションデリバリ(ADC)製品群「Brocade ServerIron ADX」において、仮想アプライアンス版の「Brocade Virtual ADX」が追加されている。従来、ハードウェアプラットフォームに搭載されたアプライアンスサーバーとして提供されていたが、初めて仮想アプライアンス版が発売されるもので、提供開始は6月26日より。
このほかADC関連では、仮想サーバー環境をリアルタイムでモニタリングし、ServerIron ADXとの連携で、動的なサーバーリソースの割り当てを可能にするソフト「Brocade Application Resource Broker(ARB)」についても、新版の「同 2.5」が提供された。この新版では、GSLB(グローバルサーバーロードバランシング)との連携により、データセンター外のネットワークを使ってもリクエストの分散が可能になったほか、Virtual ADXを自動的に起動/縮退するような連携もサポートしている。
また物理ネットワーク環境との連携については、イーサネットファブリックを構成するブロケードのスイッチ「Brocade VDX」を、OpenStackからコントロールできるプラグインを提供。OpenStackによるシンプルなプロビジョニング機能とイーサネットファブリックを組み合わせることで、従来のネットワークアーキテクチャ、プロビジョニングツールと比べて、より迅速にネットワークをデプロイできるようになるとした。
この機能は、現在のOpenStackの最新リリースであるGrizzlyを通じて、すでに提供されており、今後についても、ADX、Virtual ADX、Vyatta vRouterのプラグインを、2013年下期に予定されている次期OpenStackを通じて提供するとのこと。