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ブロケード、イーサネットファブリック製品を強化~性能を高めた仮想ルータの新製品も
(2013/10/4 16:55)
ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(ブロケード)は4日、同社の「オンデマンド・データセンター」戦略に基づく、ネットワーク製品の強化を発表した。イーサネットファブリック分野でソフトウェアの機能強化や新スイッチの販売を行うほか、NFV(Network Functions Virtualization:ネットワーク機能の仮想化)戦略で中核となる仮想ルータでも、新製品を提供する。
「オンデマンド・データセンター」は、物理・仮想ネットワークを融合したインフラにおいて、サーバー、ストレージ、ネットワークといったリソースを自在に追加・変更できるようにしようというもの。こうした作業を簡素化・自動化することで、各リソースの性能や利用効率を向上させ、より効率のよいデータセンター運用を行えるようにしようとしている。
ブロケードでは、そのネットワークのインフラとしてイーサネットファブリックを中核に据えており、今回はその機能の拡充が発表された。1つ目は、VLANの運用において問題となるID数の制限(4096)を、TRILL Fine-Grained Labelsベースの技術によって緩和した「Brocade VCS Virtual Fabric」。これを利用すると、同じVLAN IDを使っていたとしても、論理的に分かれたネットワークとして構成できるため、より大規模のネットワーク環境を収容できるようになる。当初は8000ネットワークをサポートし、順次この数を拡張していく方針だ。なお、理論上は16万ネットワークをサポートできるという。
2つ目は、「Brocade VCS VXLANゲートウエイ」。これはその名の通りVXLANとのゲートウェイ機能であり、仕様上、どうしてもVXLANをサポートできない機器でも、ゲートウェイを通すことでVXLAN環境へ接続できるようになる。
3つ目は、IPストレージのトラフィックを自動優先制御する「VCS AutoQoS」。NAS(CIFS/NFS)やiSCSIといったIPストレージのトラフィックを自動認識し、ファブリック内の全ノードが、ほかのベストエフォート型のトラフィックに対して優先制御を行ってくれる。これによって、IPストレージのネットワークと他のネットワークを併用している場合でも、ストレージの性能をある程度確保できるという。
これらの機能は、ソフトウェアのバージョンアップにより、2014年1月ごろから提供開始となる予定。
一方ハードウェアでは、イーサネットファブリックに対応したボックス型スイッチ「Brocade VDX 6740シリーズ」が9月より提供開始されている。インターフェイスは、ノンブロッキングの10Gigabit Ethernet(GbE)を48ポート、40GbEを4ポート搭載。ブレイクアウトケーブルを利用すると、1つの40GbEポートを4つの10GbEポートに分割できるため、最大64ポートの10GbEスイッチとして利用することも可能だ。
ラインアップには、10GBASE-Tモデルの「6740-T」と、SFP+モデルの「6740」が用意された。なお、前述の「Brocade VCS Virtual Fabric」「Brocade VCS VXLANゲートウエイ」は、搭載しているASICの関係でBrocade VDX 6740シリーズ以降の製品のみ対応するとのこと。例外として、シャーシ型の「VDX 8770」は今後の対応が予定されている。
またNFVの強化として、仮想ルータ機能を提供するソフトウェアの新版「Brocade Vyatta 5600 vRouter」(以下、Vyatta 5600)が発表された。ブロケード SDNビジネス開発本部 執行役員の尾方一成氏によれば、「従来の『Vyatta 5400』などでは、ルータのコントロールプレーンとフォワーディングプレーンがソフトウェア上で一体となっていたため、CPUのリソースをすべて使い切ることができず、1~2Gbps程度で性能が頭打ちになっていた」という。
しかしVyatta 5600では、x86コアあたり10Gbpsのスループットを実現するvPlane技術により、「両プレーンが使うリソースを分離し、頭打ちが起きないようにすることで、既存の10倍を超えるパフォーマンスを実現できるようになった」とのこと。
ブロケードではこの製品によって、BGPルーティング、ACLのオフロードといった市場を新たに狙っていく考えで、提供開始は12月を予定する。なお、価格についてもその際に決定するとのことだ。