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「NFVを本格展開」、ブロケードがCTC・ネットワールドとディストリビュータ契約

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)は19日、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)および株式会社ネットワールドと、ブロケード製品のディストリビュータ契約を締結したと発表した。既存のブロケードの販売パートナーは、両社を通じて、ブロケードの仮想ルータ「Brocade Vyatta vRouter」を販売可能になるという。

左から、米Brocadeのケリー・ハレル バイスプレジデント、ネットワールドの野村栄司常務、CTCの河原塚勉部長、ブロケードの青葉雅和社長

 「Vyatta vRouter」は、仮想アプライアンスとして提供されているが、各ハイパーバイザーに合わせて性能がチューニングされているほか、ルーティング、ファイアウォール、VPN、高可用性などさまざまな機能を提供できる。もともとは、米Brocadeが2012年に買収した米Vyattaがオープンソースベースで開発していたソフトウェアで、ワールドワイドで140万ダウンロードの実績を持つ。

 国内では、Brocadeによる買収前の2011年から、CTCが商用版の販売や保守サービスを行っていたが、CTCではこの契約により販売を継続。一方のネットワールドでは、5月1日の販売開始を目指して販売体制を整備するとした。ラインアップとしては、最大スループット1Gbpsの下位版「Vyatta 5400」と、10Gbpsの上位版「Vyatta 5600」が用意される。

Brocade Vyatta vRouterのラインアップ

 これまでも販売してきたCTCによれば、「(Vyatta vRouterの商用版は)文教、一部のサービスプロバイダで導入されているだけで、まだ発展途上の3年間だったが、これからは、データセンター事業者やサービスプロバイダのインフラへ導入が進むだろう」(エンタープライズ技術推進部 部長の河原塚勉氏)とのこと。

 一方ネットワールドでは、「ブロケードの技術・製品は敷居が低く導入しやすい。オフィスとデータセンター内のサーバーへソフトウェアとして導入すると、容易にトンネルを張って、データセンターのサーバー環境をオフィスから利用できるようになると考えている」(常務取締役 SI技術本部長の野村栄司氏)そうで、市場としては、大企業、キャリアなど大きなところが先に立ち上がると見ているという。

 また、ブロケード 代表取締役社長の青葉雅和氏は「ハードウェアのネットワークを売るのとはずいぶん変わってくるので、サーバーやソフトウェアを扱っているパートナーに参加いただき、新しい市場に入っていきたい」との意気込みを示している。

 なお、Vyattaの元CEOで、Brocade ソフトウェア・ネットワーキング・ビジネス担当 バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのケリー・ハレル氏は、昨今話題のSDN(Software Defined Networking)について「ネットワーク管理に関するもので、ネットワークを操作する側にある」と述べたほか、仮想ルータが含まれるNFV(Network Function Virtualization)を「操作される側、新たなネットワークインフラである」と説明。

 SDNとNFVはお互いに補完する要素であるものの、まだまだ黎明期といえるSDNに対し、「NFVはすでに市場にある成熟した技術をベースにしているので、より早い展開が可能」とし、“枯れた技術”を用いたNFVによって、コスト削減や柔軟性といった価値を積極的に訴求したい意向を示した。

SDNとNFVは相互に補完するものだが、単独での導入も十分可能という

石井 一志