標的型攻撃対策の米FireEye、日本法人を設立


原田英昭氏

 米FireEyeは7日、同社の日本法人となるファイア・アイ株式会社を2月に設立したと発表、その詳細について記者説明会を開催した。

 FireEyeは、APT(Advanced Persistent Thread)攻撃に対するソリューションを提供する企業として2004年に創業、日本では3年前よりパートナーを通じて製品を販売していた。日本法人は2月7日に米FireEyeの100%子会社として資本金300万円で設立し、同社代表取締役社長 兼 カントリーマネージャーには原田英昭氏が就任している。原田氏は、過去にNetScreen(Juniper Networksに買収)やIronPort(Cisco Systemsに買収)といったセキュリティ企業の日本法人代表を務めた人物だ。

 米FireEye ワールドワイドセールス&ビジネス開発担当バイスプレジデントのJeffrey Williams(ジェフリー・ウィリアムス)氏は、「APTは、現在最も恐れられるべきセキュリティへの脅威で、従来型のセキュリティアプローチでは防ぐことはできない。そこでFireEyeでは、次世代の攻撃防御プラットフォームでAPTに対するユニークなソリューションを提供している」と同社の活動を説明。日本市場参入への意義について、「日本市場はわれわれにとって非常に重要だ。日本法人を設立することで、積極的にこの市場に投資できる環境が整った。顧客やパートナーと物理的にも近い位置にいることで、より直接的なサポートができる」(Williams氏)と述べた。

Jeffrey Williams氏Douglas Schultz氏
ソリューション概要

 FireEyeが提供する製品は、Webゲートウェイからの攻撃を阻止する「Web MPS(Malware Protection System)」、メールの添付ファイルを解析しスピアフィッシング詐欺メールを阻止する「Email MPS」、ファイル共有を介したマルウェアの拡散を防ぐ「File MPS」など。米FireEye アジアパシフィック地域担当セールスディレクターのDouglas Schultz(ダグラス・シュルツ)氏は、「サイバー犯罪者はあらゆる手法を使って攻撃してくるが、FireEyeではこうしたさまざまな感染経路に対応したソリューションを提供する」としている。

 また、攻撃の段階もさまざまだが、Schultz氏は「インバウンドのゼロデイエクスプロイトを検知するほか、アウトバウンドのマルウェアコールバック遮断やマルウェアバイナリペイロードの分析、休止中のマルウェア検疫なども行う」として、マルチステージでの防御が可能だとしている。

 従来のアンチウイルスソフトウェアなどの製品との違いについてSchultz氏は、「アンチウイルス製品は、既知の情報からパターンなどをチェックしていく。われわれの提供する製品は未確認の情報をチェックするものなので、既存のアンチウイルス製品を補完するもだ」と説明する。

 原田氏は、ターゲットとする業界について、中央官庁や地方自治体、研究機関、大手製造業、ハイテク産業、金融、証券、製薬会社、通信事業者、そしてグローバル展開する企業などを挙げている。日本の販売はすべて代理店経由となり、これまでにもFireEye製品の販売を行っていたマクニカネットワークスが一次販売代理店となる。また、マクニカネットワークスの二次販売店としてすでに約10社が契約しているという。ほかにも、標的型攻撃に対応したサービスを展開するNECやSCSKと戦略的パートナーシップを結んでいる。

 現在ファイア・アイの社員は、システムエンジニア2名、セールス担当者2名を含む合計6名。今後2カ月以内に人員の倍増を目指すとしており、大阪にも事務所を構える予定だという。Williams氏は、「全世界の売上の中で約10~15%は日本市場からの売上となるようにしたい」と述べた。

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