ヴイエムウェア、デスクトップ仮想化製品を拡充~「VMware View 5.1」などを提供へ


 ヴイエムウェア株式会社は7日、デスクトップ仮想化ソフトウェアの新版「VMware View 5.1」を発表した。TCOの削減や管理機能の強化、USBデバイスのサポート強化などが行われているという。

 VMware Viewは、Windowsデスクトップ環境を仮想化するためのソフトウェア。デスクトップ環境を仮想化してサーバー側に集約し、ユーザーはリモートのシンクライアント端末などから、この環境を利用することになる。

 新版となるVMware View 5.1では、TCOの削減に寄与する機能がさまざま導入されている。まず、「View Storage Accelerator」機能が搭載され、共有ストレージの負荷を軽減可能になった。これは、VMware ViewのホストになっているVMware vSphere側で共通のイメージブロックをキャッシュする機能。仮想デスクトップOSをキャッシュから起動するため、共有ストレージへのアクセスを省略でき、一度に多くの仮想デスクトップを起動しようとしても、共有ストレージへの負荷を軽減できるという。


VMware View 5.1の機能強化View Storage Acceleratorの概要

 また、各ユーザーのプロファイルと仮想デスクトップ環境を動的にひも付ける「VMware View Persona Management」が、物理デスクトップの管理に対応。仮想・物理の両Windows環境でユーザー設定を集中管理できるので、物理環境から仮想環境への移行がスムーズに行えるようになった。

 さらに、運用管理ツール「vCenter Operations」向けのアドオン「vCenter Operations for View」が提供され、仮想デスクトップのパフォーマンス状況を一元的に把握可能とした。ヴイエムウェア ストラテジック アライアンス部長の名倉丈雄氏は、「仮想環境を把握して、エラーが起こった時だけでなく、障害が予測される状況も含めてプロアクティブに通知してくれるため、ある一定のサービスレベルを確保できる。また、ある環境でのデプロイが適切かどうかも自動判断するので、インフラ環境の最適化も実現できる」と、その価値を説明する。


ヴイエムウェア ストラテジック アライアンス部長の名倉丈雄氏vCenter Operations for Viewの概要

 このほか今回は、シンクライアント端末にUSBデバイスを接続し、サーバー側で動作している仮想マシンでそのデバイスを用いるリモートUSBにおいて、対応デバイス数を増加させたほか、MacおよびLinux向けのViewクライアントの提供、画面転送プロトコル「PCoIP(PC over IP)」のパフォーマンス強化なども行われた。

 VMware View 5.1の想定価格は、同時接続ユーザーあたり1万6000円からで、VMware Viewの既存ユーザーは無償でアップグレードできる。vCenter Operations for Viewは、同時接続ユーザーあたり1万2500円から。

 提供は2012年第2四半期中を予定している。

 

アプリケーションポータル「Horizon App Manager 1.5」も

 また今回は同時に、“パーソナルクラウドブローカー”の「VMware Horizon App Manager」についても、新版「VMware Horizon App Manager 1.5」が発表された。

 Horizon App Managerは、企業内で利用可能なアプリケーションをカタログ化し、ユーザーに提供するポータルソリューション。アプリケーションへの入り口が集積されるとともに、各アプリケーションへのログインはシングルサインオンで行えるため、ユーザーの利便性が向上する。

 もちろんセキュリティも確保されており、そのユーザーに与えられた権限に基づいて、利用可能なアプリケーションだけが提示される仕組み。また、WindowsだけでなくMacやスマートデバイスにも対応する。アプリケーション側は、WebアプリケーションとSaaS、Windowsアプリケーション(Windows端末のみ)をサポートした。

 新版では、従来は、管理機能のみが仮想アプライアンスで提供され、このサービス自身はSaaSで提供されていたが、今回よりVMware vSphereベースの仮想アプライアンスでも提供されるため、ユーザー企業のオンプレミス環境などでのシステム構築が可能になった。

Horizon App Managerの概要Horizon App Managerの画面イメージ

 なお、これらの製品は、ヴイエムウェアが注力する「エンドユーザーコンピューティング」分野での中核となる。同社の代表取締役社長 三木泰雄氏は、「当社の調査によると、71%が『会社支給のノートPCの自宅持ち込みが禁止されている』と回答したほか、個人所有端末を業務で利用しているのも22%にとどまっており、リモートで仕事をしている率が他国よりも低い」という点を指摘。

 「セキュリティのこともあるので、多いことがいいのか悪いのかはともかく、日本では活用されていない。ただし、多様なワークスタイルや有事対応の観点から、リモートでの仕事のニーズが高まっているのも現実。これを、技術的に少しでも解決しようというのが、当社のエンドユーザーコンピューティングの考え方だ」と述べ、VMware ViewやHorizon App Manager、今後製品化が予定されているProject Octopusなどによって、企業を支援していくとした。


代表取締役社長 三木泰雄氏個人所有の端末は22%しか仕事で利用されていないという
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