さくらインターネット、HVDC 12V給電で電力効率90%超を達成


従来のAC方式とHVDC 12V方式の違い。AC方式と比べ約20%の電力削減が実証された

 さくらインターネット株式会社は4日、石狩データセンターでの実運用に向けた高電圧直流(HVDC)給電システムの検証結果を発表した。総合効率90.394%を達成したとして、今後、コンテナ型の実地検証環境を現地のコンテナヤードに構築し、実運用への最終的な確認を進める。

 300Vを超える高電圧直流を集中電源で12Vへ降圧した上でそのままサーバーに給電する「HVDC 12V方式」について、さくらインターネット、NTTデータ先端技術、河村電器産業、日商エレクトロニクスの4社で実施した評価検証。5月~7月に西新宿データセンターで実施された。

 結果、変圧器への入力からHVDCへの変換、集中電源(12V)によるサーバーの給電までの総合効率は、90.394%を計測。従来のAC方式(電力効率70~80%)と比べ、消費電力の削減が可能であることを実証した。

 また、HVDC導入によるエネルギー効率の改善によって、どのような省エネ効果が生まれるか、簡易的なモデルケースを作成。AC方式との電力効率差を20%とした場合、合計利用電力1000kW、サーバー負荷率50%のケースにおいては、CO2削減量が530トン、電力料金の削減額は2579万円と予測されるという。

コンテナを利用した石狩データセンターでの実地検証環境

 このほか、HVDC 12V方式にはさまざまなメリットがあるとして、高価なUPSやサーバー内の電源ユニットが不要になり、ケーブル設備の簡素化も可能であるため、データセンターの電源設備に関するコストを削減できるとしている。さらに将来的な自然エネルギーの活用を視野に入れると、太陽光などの自然エネルギーは直流であるため、交流に変換不要のHVDCには大きな優位性があると説明した。

 今後、実運用への最終確認を行うため、石狩データセンターのコンテナヤードにコンテナを利用した実地検証環境を設置。20フィートコンテナに外気空調ユニットを備え付け、内部に6ラック規模のHVDC設備を用意し、さまざまな試験・測定を行う予定。2011年秋の石狩データセンター竣工に合わせて、設備の外部公開も検討している。

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