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さくらインターネット、石狩データセンターの商用環境で直流給電システムが稼働開始
NTTデータ先端技術のHVDC DC 12V方式を採用
(2013/3/21 17:37)
さくらインターネット株式会社とNTTデータ先端技術株式会社は21日、さくらインターネットの石狩データセンターの商用環境で、NTTデータ先端技術が提供する直流(DC)給電システム「HVDC(High Voltage Direct Current) DC 12V方式」が稼働開始したと発表した。なお両社によれば、HVDC DC12V方式の商用データセンター環境における採用実績は、世界で初めてという。
【お詫びと訂正】
初出時、直流給電で稼働するデータセンターは世界初としておりましたが、正しくは「HVDC DC12V方式の商用データセンター環境における採用実績は世界初」となります。お詫びして訂正いたします。
石狩データセンターでは、北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房の採用により、消費電力の40%削減に成功しているが、さくらインターネットはさらなる省エネルギー化を目指して、電源ロスを徹底的になくした給電方式「直流給電」を採用。いち早く直流給電を実用化していた、NTTデータ先端技術の「HVDC DC 12V方式」を導入した。
一般的なデータセンターの給電方式である交流(AC)では、受電からサーバーなどのIT機器へ給電するまでの過程で、交流→直流の変換を合計で3度行っているが、変換時には必ず電力ロスと発熱が伴うため、70~80%程度の効率にとどまってしまう。
しかし、HVDC DC12Vシステムでは、受電からの給電までの過程で、交流→直流変換が1回のみで済むことから、90%以上の効率を実現する点がメリット。電気代に換算すると、年間で数千万円のコスト削減につながるほか、UPSやサーバー内部の電源ユニットが不要となるなど設備構成もシンプル化され、信頼性の面でもメリットがあるとのこと。
ただし、HVDC DC12Vシステムの実用化においては、交流→直流の変換回数を減らし電力ロスと発熱を抑える技術、そして安全性とコストが課題となっていた。これに対してNTTデータ先端技術では、変換の冗長性排除の仕組みや、保護回路による安全対策を実施するとともに、データセンターのx86サーバーのほとんどを、内部電圧12Vで動作する実情に最も適したHVDC DC 12V方式とすることによって、課題を解決したという。
さくらインターネットとNTTデータ先端技術では実際に、河村電器産業、日商エレクトロニクスと4社合同で、2011年11月より2012年8月まで、石狩データセンターのコンテナヤードにおいて、コンテナを利用したHVDCのランニング試験を実施した結果、電源の効率性、システムの安全性、機器の信頼性が実証され、今回、商用環境での採用に至った。
設置場所は石狩データセンターのサーバールーム。サーバーラック19基分のスペースで2012年9月から構築準備をはじめ、3月12日より稼働が開始された。この環境では、DC12V方式対応機器として、NECと日本IBMのサーバー、日立電線とアライドテレシスのスイッチを採用している。
なお直流給電は、消費電力の削減効果だけでなく、太陽光や燃料電池など直流との親和性の高いエネルギーソースの活用においても高い評価を得ていることから、さくらインターネットは、今回のHVDC DC 12V方式の採用を契機に、さらなる省エネルギーデータセンターを目指す意向だ。