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KDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社、GPUサービスの相互再販などを行うアライアンスを設立

 KDDI株式会社、さくらインターネット株式会社、株式会社ハイレゾの3社は21日、日本におけるGPUコンピューティングリソースの安定供給体制を確立し、国内AI産業全体の発展に寄与することを目的とする「日本GPUアライアンス」を設立したと発表した。

 同アライアンスでは、急速に高まるGPU需要に柔軟かつ安定的に対応するため、KDDIが導入予定の「NVIDIA GB200 NVL72」、さくらインターネットの生成AI向けクラウドサービス「高火力」、ハイレゾの業界最安級のGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN」の相互再販を行い、GPUを活用した高度な計算資源の提供を拡大していく。

 3社は今後、アライアンスへの参加条件を公開することで、より多くの企業・団体の参加を促進し、オープンかつ協調的な協力体制の構築を目指すとしている。

 3社は、経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」について経済産業省から認定を受けており、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発等のための基盤を整備している。

 今後も高まるGPU需要に柔軟かつ安定的に供給できる体制を構築するため、3社は「GPU需要への対応に向けた基本合意書」を4月11日に締結した。市場の需要に応じた多様なGPUサービスの選択肢を提示することや、業界全体のシームレスな連携を可能にすることを目的として、アライアンスの設立に至ったという。

 アライアンス参加企業は、顧客のニーズに応じて最適なGPUを相互再販する。生成AI開発などで高まるGPU需要に対し、複数事業者が連携することで、顧客に高性能なGPUリソースを柔軟かつ安定的に供給する。

 顧客のモデル規模やコスト要件に応じて、アライアンス参加企業のサービスの中から最適なGPUを選択できる体制を整備し、開発効率とコストパフォーマンスの向上に寄与する。

 アライアンス参加企業は国産クラウドを提供し、データの国内保持を重視する顧客にも安心して利用できる環境を整備する。

 また、GPUに関する最新情報や需要予測を定期的にアライアンス参加企業間で共有し、柔軟かつ安定的なサービス提供体制を強化する。新規参加条件を公開し、幅広い企業・団体の参加を促進することで、オープンかつ協調的な協力体制の構築を目指す。

 3社によるGPU相互再販の事例として、一般社団法人AIロボット協会に対して、さくらインターネットが提供する生成AI向けクラウドサービス「高火力 PHY」をKDDIから提案し、ロボット分野における基盤モデルの開発に活用されている。「高火力 PHY」に加え、大容量ストレージも合わせて提供することで、国内ロボット業界におけるAI開発力強化に寄与し、産業競争力強化に貢献していくとしている。

 また、株式会社AIdeaLabに対しては、ハイレゾが提供するAI開発向けGPUクラウドサービス「GPUSOROBAN AIスパコンクラウド」をKDDIから提案し、時空間MoE(Mixture of Experts)を用いた動画生成AI基盤モデルの開発や、動画生成プラットフォーム「AnimeGen」の満足度検証におけるモデル開発・推論に活用されている。コストを抑えた開発環境が必要なケースにおいて、業界最安級の価格帯で展開する「GPUSOROBAN」が採用されたことで、持続可能な研究開発を実現し、動画生成AI基盤の社会実装に寄与しているという。