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KDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社、各社が保有するGPUの相互利用に向け基本合意

 KDDI株式会社、さくらインターネット株式会社、株式会社ハイレゾの3社は4月11日、各社が保有するGPUを相互に利用していくことに関して共同検討することで合意し、基本合意書を締結した。

 今回の3社は、経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」について経済産業省から認定を受けている事業者だ。これにより、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発のための基盤を整備している。

 3社では、今後も高まるGPU需要に柔軟に対応するため、安定かつ迅速にGPUの利用が可能な体制の構築を目指し、合意締結に至った。

3社は経産省から「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」の認定

 同日オンラインで開催された3社の記者会見では、今回の合意締結について、KDDI株式会社の中島康人氏(ビジネス事業本部プロダクト本部 AI ビジネス推進部部長)が説明した。

 中島氏はGPU需要について、GPUの需要が年々高まっており、今後も増え続けると見ていると説明。同時に、大規模生成AIモデルを高速に開発したい、あるいは利用料金を抑えて利用したいというように、用途に応じて最適なGPUを提供していくことが求められていると説明した。

 そこで、三社三様の特徴を持ったサービスを持った3社が協力することで、GPU需要に柔軟に対応していくと中島氏は語った。

CPU需要に安定して柔軟に対応する必要
三社三様の特徴を持ったサービスを持った3社が協力

 これによる利用者のメリットとして、「GPUの相互利用が可能な体制を構築する」「用途に応じた最適なGPUを安定的に提供する」の2点を中島氏は挙げた。

 より具体的なメリットの1つめは、利用者から見た調達窓口の広がりだ。「たとえばKDDIの窓口を通して、さくらインターネットのGPUリソースを使うというケースもできるようになるかと考えている」(中島氏)

 2つめは、ラインアップの拡充。GPUのチップは年々リリースされ、用途も変わってくる。「そのラインアップを1社ですべてそろえていくというのは、なかなか難しいと考えている。われわれが手を取り合って、お互いのリソースで客さまに対して提供していくということを考えている」(中島氏)

 3つめは、安定的な提供。「これまでGPUの納期でご迷惑をおかけしたことがある。3社が組むことによって、互いのリソースを融通しあったりといった形で、ニーズに対して迅速に応える安定的なGPUの提供を実現できればと考えている」(中島氏)

利用者にとってのメリット

 なお、相互利用の具体的イメージについての質問に対して、中島氏は「3つの方針で今後協議を進めようと思っている」として「営業連携」「AIインフラとしてGPUを相互利用する」「プラットフォームの相互接続ができないかの議論」の3点を挙げた。

 また、さくらインターネット株式会社の霜田純氏(執行役員)は、「世にいろいろな形のGPUインフラの使い方を提供したい。その裾野を広げるための今回のアライアンス。使われる可能性のバラエティが広がっていければという思いで本件を進めている」と今回の合意について説明。「この1年数カ月間、H100を提供してきて、いろいろなユーザーと相対してきた中で、同じH100何枚という需要であっても、使い方や体制、サービス事業者に求められるサービスはバラエティに富んでいることが分かった。その要望にいかに対応するかが重要になると思っている」と語った。

 株式会社ハイレゾの小堀敦史氏(取締役)は、「日本全体のAIのインフラと利用を同時進行で育てていかないと世界に勝てない」と述べた。そのために、まずは3社で計算力を安定して供給できるように整備していくと説明。「その先は、日本の企業のAIへの意識を改革してレベルアップさせていくことが重要な課題。今回の取り組みがそのトリガーになればと考えている」と語った。

KDDI株式会社の中島康人氏(ビジネス事業本部プロダクト本部 AI ビジネス推進部部長)
さくらインターネット株式会社 霜田純氏(執行役員)
株式会社ハイレゾ 小堀敦史氏(取締役)