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GMOインターネット、NTT東西、QTnet、GPUとストレージ間の遠隔利用に関する実証を開始

 GMOインターネット株式会社、NTT東日本株式会社、NTT西日本株式会社、株式会社QTnetの4社は2日、共同実験協定を締結し、AI開発基盤となるGPUとストレージ間の遠隔利用に関する技術実証を開始すると発表した。GPUと大容量ストレージ間をIOWN APNを活用して県間接続する、初めての取り組みになるという。

 実証では、通信遅延を大幅に低減するIOWN APNを活用することで、これまで物理的な隣接配置が必須とされてきたGPUと大容量ストレージを分散配置し、「分散型データセンター」の構築と社会実装を目指す。2025年11月から12月にかけて、福岡(GPU)と東京(ストレージ)間にIOWN APN実回線を敷設し、商用実装に向けた実用性評価を実施する。

 4社は、データセンター内の物理的な設置スペースの制約を超えて柔軟に処理能力を拡張させたいというニーズや、学習用データや演算結果を自社施設内に格納・保管したいというニーズがある一方で、現状では通信遅延の問題からGPUとストレージの隣接配置が必須とされており、装置増設の制約や、ストレージを自社拠点など特定の場所に保管したいという地理的制約に対応できないなど、柔軟なAI開発基盤の構築に将来的な課題が懸念されると説明。このため、高速大容量かつ低遅延で接続できる仕組みを導入することで当該課題を解決できると考え、連携して実証を行うとしている。

 事前検証として、7月に福岡-東京間の距離約1000kmを想定した疑似遠隔環境でGMO GPUクラウドの性能テストを実施したところ、2つの試験タスクを安定的に完遂することが確認できたという。

 実証では、福岡のデータセンターと東京のデータセンターをIOWN APNで接続。GMO GPUクラウドを利用して、画像認識と言語学習の2つの試験タスクを実行し、タスクの完了時間の変化を測定する。従来の拠点内の隣接時、一般的なイーサネット専用線接続時、IOWN APN接続時のタスク完了時間を比較し、商用実装に向けた実用性評価を実施する。実回線を利用することで、より商用実装に近い環境での実用性評価が可能になるとしている。

 この技術実証の成功は、今後のAIインフラのあり方に大きな転機をもたらすとともに、IOWN構想が目指す、現状のICT技術の限界を超えた新たな情報通信基盤の実現に向けた重要な一歩となると説明している。また、IOWN APNを活用することで、高速大容量かつ低遅延な通信が可能となり、従来のクラウドサービスの枠を超えた新たな価値創造を実現し、GMO GPUクラウドのサービスの柔軟性や多様なAI活用ニーズに対応した革新的なソリューションを提供できるとしている。

 今後は、実際の拠点間を結ぶIOWN APNの実回線を用いた本格的なフィールド検証を進め、GMO GPUクラウドの性能評価および商用実装への可能性を探っていく。実証の成果を踏まえ、将来的には、世界最高水準かつ持続可能なAI基盤を実現し、全国のさまざまな拠点や施設がIOWN APNで接続されるとともに、当該AI基盤によって有機的に結ばれ、どこからでもAI基盤にアクセスできる分散型情報社会の構築を通じて、全国規模でのAIリソースの最適配置や災害に強い分散型社会基盤の実現など、新しい社会の礎となるインフラの共創を目指すとしている。