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NECと東京科学大学、仮想空間上で医療関連データの流通を可能にするバーチャル医療・ヘルスケアシステム実現に向け協定を締結
2025年7月23日 15:13
日本電気株式会社(以下、NEC)と国立大学法人東京科学大学は23日、患者中心の医療と医療従事者の能力を最大限に発揮できる業務環境の実現に向けて、仮想空間上で医療関連データの流通を可能にするバーチャル医療・ヘルスケアシステム構築に関する協定を締結し、研究開発を開始したと発表した。
NECと東京医科歯科大学(現:東京科学大学)は2020年に、「ヘルスケア領域における新たなサービス事業の創出・推進に関する連携協定」を締結し、一人ひとりの健康状態に合わせた身体のケアサービスを提供する「NECカラダケア」の運営や、AIによる慢性腰痛のセルフケア支援技術の開発などを行ってきた。
この連携を発展させ、NECが有する最先端AI技術や医療情報システムの構築およびサービス提供ノウハウと、東京科学大学が有する医療・ヘルスケアの知識や工学的知識を融合し、バーチャル医療・ヘルスケアシステムを構築する。これにより、予防医療から急性期、慢性期、介護までをシームレスにつないだ疾患ごとに異なる患者中心のサービスや、医療従事者の能力を最大限に発揮できる業務環境の実現を目指す。
具体的な取り組みとして、病院内外に存在する医療・ヘルスケア情報への容易なアクセスと安全な情報共有を実現するデータ基盤や、データ収集用デバイスの開発などを行う。また、将来的には、蓄積したデータを製薬企業や医療関連のセンサー開発企業などに提供する事業も検討していく。
併せて、取り組みを推進するための共創コミュニティを2025年度内に立ち上げ、医療関連の研究者やスタートアップに、研究フィールドや企業とのパートナリングおよび市場・顧客へのアクセス機会を提供するなど、効率的な事業参入を支援する環境を整備していく。
具体的なテーマとして、NECカラダケアや、東京科学大学、綜合警備保障株式会社(ALSOK)グループ、株式会社エヌジェイアイが出資して設立した慢性期(在宅、施設内)の医療・介護サービスの研究フィールドを提供する株式会社科学的看護・介護研究機構(通称:カガクル)などを通じて、両者が取り組んでいる既存のサービスの高度化や、医療的ケア児や難病患者にかかるサービスの提供から始め、データの収集と活用を進めていく。これらを通じて事業性を見極めながら、新しいテーマや領域にも取り組んでいく。
NECは、病院や施設での医療サービスから生活者中心のホームケアへのシフトに対応し、疾患リスク予測や、患者のコンディション可視化や予兆検知により行動変容や適時介入を支援するサービスを提供し、患者と医療機関を結ぶ取り組みを進めている。今後、共同研究の成果などをもとに次世代の医療・ヘルスケアモデル構築を目指し、生活者一人ひとりに寄り添う社会の実現に貢献していくとしている。
東京科学大学はこうした取り組みを通じ、予防、急性期、慢性期、看取りを包括的に研究できる研究フィールドを構築し、医工連携や産学連携のさまざまな取り組みにより、患者中心の医療・ヘルスケアサービスの創出に貢献していくとしている。