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岡山大学病院と両備システムズ、 胆道がんの診断をAIで支援するシステムを開発
2024年7月24日 16:38
株式会社両備システムズと国立大学法人岡山大学は24日、岡山大学病院の研究グループが、胆道がんに対して行う経口胆道鏡検査(POCS:peroral cholangioscopy)において、AIを用いて白色光画像を疑似色素散布画像へと変換することで病変範囲を明瞭化し、胆道がんの内視鏡的範囲診断の精度向上に役立つ技術を、両備システムズと共同開発したと発表した。診断を支援する医療AIで、胆道がんが対象となるのは国内初だという。
胆道がんは粘膜を表層進展することが大きな特徴で、胆管内を直接観察可能なPOCSを用いてこれまで白色光観察や狭帯域光観察が行われてきたが、病変範囲の診断は容易ではなかった。同研究で開発したAIによる疑似色素散布画像変換技術により、病変部の境界が明瞭化され、内視鏡専門医による範囲診断の精度が向上することが示された。開発した技術は、胆道がん範囲診断のための新たな技術で、適切な術式決定を行うことで、胆道がんの予後延長に寄与することが期待されるとしている。
研究では、胆道がんに対するPOCSにおいて、「Cycle GAN(Cycle-Consistent Generative Adversarial Networks)」と呼ばれるAIを用いた画像変換技術を使用し、白色光画像から疑似的な色素散布画像への変換を行った。AIの学習には、消化管内視鏡で得られた白色光画像と実際の色素散布画像のデータセットを用いた。
40人の胆道がん患者に対してPOCSを行い、白色光画像、狭帯域光画像、疑似色素散布画像を記録した。3名の内視鏡専門医が、各画像の表面構造、表面微小血管、病変境界の視認性を評価したところ、AIによる疑似色素散布画像は、白色光画像および狭帯域光画像と比べて表面構造と病変境界の視認性が有意に優れており、病変の範囲診断に有用であることが示された。
岡山大学と両備システムズでは、胆道がんはいまだ予後不良の難治がんであり、根治のためには正確な範囲診断が重要だと説明。今回の研究で開発した、AIによる疑似色素散布画像は、胆道がんの範囲診断精度を高める有用な技術で、適切な治療方針決定に貢献することが期待されるとして、今後は、より多数例での検証を行うとともに、AIによるリアルタイム診断の開発や良悪性診断プログラムの開発なども視野に入れて研究を進めていく予定としている。
また、岡山大学病院と両備システムズは、他部位の疾患についても製品化に向けて研究を推進しており、大腸や膵臓分野でのAI画像診断支援や、内視鏡染色検査でのAI技術活用を進めて、社会実装化を目指すとしている。