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IBMとAWS、エージェント型AIの新機能提供に向け協業を強化
2025年5月27日 09:00
米IBMは現地時間6日、年次イベント「Think」で、AIエージェントのネットワークを構築・管理するための新しいツールおよびフレームワークと、すぐに使用できる機能を備えた新しい領域特化型の事前構築済みエージェントを発表した。これらは、AWS Marketplaceで利用可能な主要技術と統合されている。さらに、IBM Graniteモデルへのアクセス拡大や、Amazon Web Services(AWS)を通じた自動化ソフトウェアの提供も進めているという。
IBMのエンタープライズグレードの信頼できるAIへの注力と、AWSの技術スタックとの統合は、生成AIのスケーリングを可能にする理想的な基盤を形成すると説明。両社は、Amazon QインデックスとIBM watsonx Orchestrateの新たな統合計画を発表した。
watsonx Orchestrateは、AIエージェントやアシスタントの作成、展開、管理を支援するIBMのエージェント型AIおよび自動化ソリューション。Amazon Qインデックスは、複数のサードパーティーアプリケーションに基づいたデータの中央リポジトリーを作成することを可能にし、AIの意思決定を支援し、さまざまな企業データ・ソースから関連コンテンツを取得するための強力な基盤となる。
watsonx Orchestrateは、人事、調達、営業などの重要なビジネス領域に特化した事前構築済みエージェントも提供している。これらのエージェントにAmazon Qインデックスを組み合わせることで、顧客は各データソースに手動でアクセスすることなく、重要なアプリケーションからのデータを活用して生成AIを強化できる。
Amazon Qインデックスとの統合により、IBM watsonxの各エージェントが、Adobe、Salesforce、Slack、Zendeskなどのアプリケーションからの領域固有のデータを活用することで、顧客はよりパーソナライズされた体験を実現できる。この新しい統合のプレビューがThinkで公開され、2025年後半に利用可能になる予定。
IBM watsonx Agentおよびwatsonx Orchestrateは、現在、米国、欧州、シンガポールで、SaaSおよびAWS Marketplace経由で提供しており、6月にはインドでも提供予定。
さらに、AWS上のエージェント型AIの信頼性を支える基盤を構築するために、IBM watsonx.governanceに新機能を追加し、エージェントのライフサイクルにわたるガバナンス、カタログ化、評価を可能にする。ライフサイクル全体を通じて、責任ある透明で説明可能なAIモデルを実現するために、包括的なモデル評価やバイアス検出、ドリフト管理のためのモニタリングなどの新機能がAWS Marketplaceで提供される予定。
IBMはまた、顧客がエージェント型AIを活用したエンドツーエンドの業務プロセス変革を実現できるよう、AIインテグレーションサービスを設立した。IBMのコンサルタントは、さまざまな業界のビジネス領域やAWS技術に関する専門知識と、IBM Consulting AdvantageのAIを活用した新機能を活用して、AWS上のエージェント型AIによる顧客のプロセス再構築を支援する。
IBM Consulting Advantage for Agentic Applicationsには、カスタマーサービスや財務などの複雑なエンタープライズワークフローを、AWS上で変革するために最適化された事前構築済みのテンプレートのライブラリが含まれている。また、Amazon QやAmazon BedrockなどのAWSネイティブ技術を活用して、エージェント型AIの構築と展開を加速するためのツールも提供している。
IBMのGranite 3.2大規模言語モデルは、現在、Amazon Bedrock MarketplaceおよびAmazon SageMaker JumpStartで利用可能で、顧客は数回のクリックで専用モデルをデプロイできる。さらに、これらのモデルは、2025年第3四半期にAmazon Bedrock Custom Model Import(CMI)を通じて利用可能になる予定。CMIは、基盤となるインフラストラクチャーを管理することなく、顧客が独自のモデルをAmazon Bedrockにサーバーレスでデプロイできるオプションを提供する。
AWS MarketplaceでのIBMソフトウェアの展開拡大予定も発表した。AWS Marketplaceで提供されているIBMの自動化ソフトウェアは、顧客とIBMビジネスパートナーによって広く活用されており、ApptioやKubecostのソフトウェアが新たに加わったことで、これまで以上の選択肢を提供していると説明。IBMの子会社であるHashiCorpのソフトウェアも、2025年後半にAWS Marketplaceを通じてIBMから提供される予定としている。
また、6月には、従来のワークフローをインテリジェントなAPIおよびエージェント駆動の自動化に置き換える次世代統合ソリューション「IBM webMethods Hybrid Integration」が、AWS Marketplaceで提供開始される予定。一方、IBM Concertは、生成AIを活用して脆弱性を特定し、修正策を提案することで、アプリケーションエコシステム全体のレジリエンスを高め、リスクを軽減する。これらはすでに、AWSを通じて利用可能となっている。
IBMは現在、AWS上で89カ国以上にわたり、70以上のIBMソフトウェアソリューションを展開しており、7月からはIBM Partner Plusに参加している22カ国のリセラーが、IBMビジネスパートナー契約の一環として、対象となるIBMソフトウェアをAWS Marketplace上で販売できるようになるとしている。