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NTT ComとVMware、次世代のクラウドプラットフォームの提供で協業

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とヴイエムウェア株式会社(以下、VMware)は11月9日、次世代の企業向けクラウドプラットフォームの提供で協業することを発表した。両社は2007年からクラウドプラットフォームの提供を目的として協業を進めており、今回さらに関係を強化することとなった。

 VMwareクラウドプラットフォーム担当副社長のマーク・ローマイヤー氏は、VMwareが次世代プラットフォームとして掲げる目標は「One Cloud、Any Application、Any Device」(1つのクラウド上ですべてのアプリケーションとすべてのデバイスが利用できる)であると述べた。

 さらに同氏は「いまやソフトウェアによるビジネスの変革なしに企業は生き残っていくことはできない。新しいアプリケーション開発モデルを利用できるようにすることがビジネスの成功には不可欠であり、今後はクラウド利用を前提としたクラウドネイティブアプリケーションが増えていく」とした上で、クラウドネイティブアプリケーションの大規模展開を可能にするVMwareの新しいクラウドプラットフォーム「Photon Platform」の優位性をアピールした。

VMwareクラウドプラットフォーム担当副社長 マーク・ローマイヤー氏

 VMwareがこれまで提供してきた「vSphere」が従来型のアプリケーションをクラウドプラット上で動作させる「クラウドイネーブルド・アプリケーション」向けのプラットフォームであるのに対し、「Photon Controller」と「Photon Machine」で構成されるPhoton Platformは、コンテナやクラウドネイティブアプリケーションのために新たに設計されたプラットフォームとなる。なお、Photon Controllerはオープンソースのプロジェクトとして近日中に公開予定であるという。

 さらにVMwareは、既存のvSphereと同じ環境でコンテナ型アプリケーションも稼働させることができる技術「vSphere Integrated Containers」のテクノロジープレビューも発表している。

VMware Photon Platformの概要

 現在NTT Comでは、企業内向けに開発されたクラウドイネーブルド・アプリケーションのプラットフォームである「Enterprise Cloud」と、開発者向けのクラウドネイティブアプリケーションのプラットフォーム「Cloudn」を展開している。同社はこれらの2つのプラットフォームを統合し、新たに「Enterprise Cloud 2.0」として、クラウドイネーブルにもクラウドネイティブにも一体的に対応するサービスを企業向けに提供する予定となっている。

クラウドイネーブル、クラウドネイティブのどちらのアプリにも対応する「Enterprise Cloud 2.0」

 ただし、Enterprise Cloud 2.0はEnterprise CloudをベースとしてCloudnの機能を取り込んだものであり、VMwareのPhoton Platformの技術を取り入れた統合には、まだなっていない。NTT Comクラウドサービス部長の田中基夫氏は今回の協業について「NTT ComとVMwareが一緒に取り組んでいく決意を表明したという段階で、技術的な検証はまだまだこれから」と説明。その上で、「VMwareのクラウドネイティブの技術を積極的に取り入れていきたい」と述べた。

NTT Com クラウドサービス部長 田中基夫氏

 なお、VMwareが他社とクラウドネイティブプラットフォームの提供で協業するのは、世界初であるという。ローマイヤー氏は「NTT Comとの長年にわたるパートナーシップによって、次世代のクラウドプラットフォームを顧客に提供していきたい」と今回の協業に対する期待を表明した。

クラウドプラットフォーム分野において協業関係を一層深めるNTTComとVMware

北原 静香