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ドリーム・アーツ、AI活用の新構想「DAPA」を発表――「SmartDB」にAI融合へ
2025年6月27日 06:30
株式会社ドリーム・アーツは26日、AI活用の新構想「DAPA(DreamArts Practical AI)」を発表した。この構想を基に、同社の大企業向け業務デジタル化クラウド「SmartDB」にAI機能を追加する。
ドリーム・アーツでは、昨年3つの成長戦略を発表し、SmartDBを中心にノーコードで自らの業務を自身の手でデジタル化する「デジタルの民主化」と、ミッションクリティカルシステムの周辺実務エリアをサポートする「Mission Critical System Aid」、日本企業の海外オペレーションを支援する「グローバル・コネクト」の3点に注力するとしていた。今回発表したDAPAは、4点目の注力エリアとなる。
ドリーム・アーツ 代表取締役社長の山本孝昭氏は、「DAPAにより、実用的、実務的、実践的なAIを業務の中に溶け込ませていく。この新構想と、具体的なプロダクトのリリースにより、4つの成長戦略を推進する」としている。
またドリーム・アーツ 取締役 執行役員 CTO サービス&プロダクト開発本部 本部長の石田健亮氏は、今後の生成AIの発展の方向性として、「複雑なタスクをこなすAIエージェントの領域で競争が起こる」と語る。
同氏の考えるAIエージェントとは、ある目的のために自律的に行動する人工知能システムのこと。石田氏自身が利用するプログラミングエディターのエージェントも「やりたいことを伝えるとコーディングからコンパイルまでやってくれる」というが、「企業内のあいまいで複雑な業務がこなせるようになるまでには10年以上かかるケースもあるだろう」という。
「そのような業務がこなせるAIエージェントが登場するまでの実践的なステップとして、DAPAを提唱する。DAPAにより、AIが役に立つことを体験し、徐々にAIエージェントが広がっていく世界観をイメージしている」(石田氏)
DAPAは、実用的で実務的、実践的なAIを実現する構想だ。「大企業に存在する業務プロセスのデジタル化は進展したが、それによって膨大なチェック作業が発生している。AIの得意領域であるアシスト、チェック、サジェストの作業をAIに任せることで、意思決定のスピードが向上する」と石田氏は説明する。
現在ドリーム・アーツでは、DAPA構想をベースとしたプロダクトを設計中だ。その基本ポイントとなるのは、「業務プロセスエンジンにAIを組み込むこと。業務データベースとリアルタイムに連携すること。AIに指示を出すプロンプトのデータベース化と、市民開発者を継続的に育成する仕組みを作ること。複数のAIエンジンを選択できるようにし、柔軟に切り替えられるようにすること。アクセス権限管理と統合設計すること。出力の信頼性を高めるフィルタリングやマスキング機構を実装すること」(石田氏)だという。
SmartDBには、DAPA構想に基づいたさまざまな機能を用意する。AIプロンプト・データベース機能では、市民開発者が業務に最適なAIプロンプトを自ら作成して改善し、そのプロンプトを一元管理する仕組みを提供する。AIプロンプト呼出ロボット機能では、業務プロセスの各ステップに組み込まれたAIが、自動的にチェック、アシスト、サジェストを実行する。セキュリティフィルタリング機能では、プロンプトをリアルタイムで監視し、情報漏えいや不適切な指示などのリスクを自動で検知して遮断する。トークン課金管理・利用モニタリング機能では、AIの利用状況をリアルタイムで可視化し、管理者による利用制御とコスト最適化を実現する。
これらの機能は、年内にテストユーザーに対し、先行プロジェクトとして提供開始する。正式リリースは2026年4月を予定している。価格はオープンで、SmartDBを契約している企業であれば、オプションを申し込むだけでそのまま利用可能となる。
このほかにも、「AIを業務プロセスに溶け込ませるにあたってのコンサルティングや、プロンプト作成を支援するプロフェッショナルサービスも予定している」(石田氏)という。