ニュース
富士通、コンサルティング事業「Uvance Wayfinders」の進捗を説明 Data & AIの活用が今後のポイントに
2025年6月27日 12:51
富士通株式会社は26日、コンサルティング事業「Uvance Wayfinders」の進捗状況に関する説明会を開催した。Uvance Wayfindersというコンサルティング事業ブランドを発表し1年4カ月になるが、当初からグローバルでのビジネス展開を前提に、各業種のエキスパートをグローバルで集めるなど、従来の富士通のビジネスとは異なるスタンスでビジネスを進めていることを明らかにした。
Uvance Wayfindersは、2024年2月にコンサルティング事業ブランドとして立ち上がった。2025年4月1日にはコンサルティング専門組織のグローバルコンサルティングビジネスグループを設立し、Uvance Wayfindersの専門性や実行力を強化し、クライアント企業の課題解決と変革支援加速を進めている。
富士通の執行役員副社長CROの大西俊介氏は、「最初に発表した2024年2月から1年4カ月が経ち、この取り組みの責任者として、当初から進めてきたポイントを2点紹介していく」とUvance Wayfindersのポイントを紹介した。
まず1つ目のポイントとして、「11万人の社員がいる富士通の中で、子会社のような形ではなく、11万人の全社員の中にこのコンサルチームを作っている。長い目で見ると、お客さまのフロント組織としてケーパビリティを持ってもらうことも、重要な要素となると考えた」(大西副社長)とあくまで富士通全組織の中で稼働する組織であると強調した。
また、「当初からグローバルな組織にすることを意識した。日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジアを当初から対象とした、グローバルなチームとしてデザインした」(大西副社長)と述べ、グローバルな取り組みであることが2つ目のポイントだとした。
この2つのポイントを踏まえ、Uvance Wayfindersの価値向上として、次の4つのキーワードで顧客の価値向上を実現していく。
まず、「One Fujitsu」として、フロント営業、ソリューション、テクノロジーデリバー、R&D等、富士通の総合力をまとめ顧客に提供する要として位置づけている。2点目の「End-to-End Delivery」では、経営・事業・業務の課題出し、改革案作りから詳細設計・PoC・実装・継続的開発・運用の全体を支援することや、価値に見合ったプライシング等も積極導入することを示した。
3点目は「Industry Expertise」で、Uvanceのバーチカル(業種やエコシステム)の課題に対し、常に仮説を持ち、顧客のアドバイザーとして支援するとしたほか、4点目の「True Global Team」では、グローバルで共通の組織体制、人事・採用・評価制度、コンサルメソッド、文化、オペレーティングモデルを導入し、一貫した経営を遂行することを挙げている。
4つのキーワードについて、Global CEO & Senior Managing Partner, Uvance Wayfinders 習田晋一郎氏は、「One Fujitsuは、富士通の力を結集し、上流から富士通得意の運用支援までお客さまの全体支援をしていくことが要となってくる。業種については、その道の専門家を集め支援を行う体制を作っている。現段階では、営業でなく、コンサルタントによるお客さまへの提案を行うことで価値を作り出していく」と富士通の強み、コンサルティングビジネス、業種など専門知識を持ったメンバーによる事業であることをアピールした。
その上で顧客への価値向上ポイントとして、次の4点を挙げた。
1)フジトラのインサイトを体系化:ここ5年から7年の富士通自身の全社改革の経験を惜しまず体系化。それらを公開・提供し、経験値を元にお客さまの課題に挑む
2)業務改革へ踏み込み:SE中心でお客さまの課題に挑む場合、業務自体を変えていく、事業を変えていくという発想に結びつきにくい。コンサルティング部隊が入ることによって、上流の議論が広がり、より良い解決方を見いだすことが可能に。
3)最新技術を活用:技術を研究所にとどめず、自信を持って新技術をお客さまの課題解決に応用していく。AIにおいては他社AIも使っていくが、他社にはできないところを識別して開発していく。
4)富士通の文化を継承:前例がないソリューションに勇気を持って挑む。最後まで逃げずにお客さまと共に創り、継続的な運用まで責任を持つ。
なお、顧客に最適なコンサルティングを行うため、テクノロジーに精通する専門家集団、特に各業種の知識を持ったエキスパートをグローバルに招集。「お客さまと今後の業界の見通しについてきちんとした議論ができる。さらに、その見通しに適したテクノロジーをデリバリーできるエキスパートを各業界から集めていることが、我々の大きな特色となっている」(習田Global CEO)とも説明した。
こうした特徴を持ってビジネスを進めた中で実現した代表的なプロジェクトとして、「ECM、SCM、ERPデータを写像した製造業のデジタルツイン」。「フジトラの実践事例とコンサルタントの客観性を統合し、DX実践を促すカルチャー変革を実施した、DXとカルチャー変革」。インフラ提供を起点とした案件に、大きな構想や技術の将来を見据えて10年後の未来を描く、Trusted Society」の3つを挙げた。
Head of Japan, Managing Partner, Uvance Wayfindersの工藤晶氏は、「デジタルツインを実現するために、最初の開発部分から最終的なところまで実践している企業はなかなかないのではないか。また、富士通自身の実践例についても聞かせてほしいというお客さまが多数いらっしゃる」と富士通が手掛けてきたビジネスと、富士通自身の変革の取り組みがコンサルティングビジネスにもプラス影響を与えていると説明した。
AIやデータを使った提案については、Head of Global Technology Practice, Managing Partner, Uvance Wayfindersの三原哲氏が、「Data & AIがビジネス変革のエンジン」と説明。さらに、富士通グループの能力を研修することで、Enterprise Agentic Foundation実現のアプローチとして、エージェント指向型の業務変革、AI ReadyなITアーキテクチャー、AIを活用したSecurity Everywhereなどへの変革を進めていく方向を示した。
なお、「2024年2月の発表時のコンサルティング人材1万人体制が目標という数字が一人歩きしたが、現在はコンサルタントの人数、売上目標が重要ではない」として売上目標やコンサルタントの人数については明らかにしなかった。
日本の既存ユーザーへのコンサルティングビジネス定着については、「幅広い、さまざまなお客さまがいらっしゃることを考えると、まだ訴求が足りない部分はある」とさらにコンサルティングビジネス定着をアピールしていく必要があるとした。