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ヴイエムウェア、クラウドから利用する仮想デスクトップサービス「VMware Horizon Air」国内提供開始

 ヴイエムウェア株式会社は20日、同社のハイブリッドクラウドサービス「VMware vCloud Air」から利用できる仮想デスクトップサービス「VMware Horizon Air」について、日本および豪州の提供を開始することを発表した。すでに米国や欧州ではローンチされているパブリッククラウドベースのDaaS(Desktop as a Service)だが、アジア太平洋地域の重要拠点である日本と豪州でのDaaS提供を開始することで、クラウドプロバイダとしての差別化を強化していく構えだ。

 VMwareは現在、デバイスを問わずにビジネスアプリケーションをシームレスに利用できるビジネスモビリティ分野の製品ラインアップを「VMware Workspace Suite」として構成しており、デスクトップ仮想化の「Horizon」、モバイルデバイスおよびアプリケーションを管理する「AirWatch」、コンテンツ管理の「Content Locker」という3つのコンポーネントを含んでいる。

 今回提供が開始されたHorizon Airは、その名の通りHorizon製品群のひとつであり、パブリッククラウドのvCloud Airからデスクトップアプリケーションを配信するサービスだ。VMwareはこれまでオンプレミスでの利用を前提とした仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)サービスを提供してきたが、クラウドベースで配信されるHorizon Airはオンプレミスに比べスケールしやすく、またデータ使用量に応じたサブスクリプションベースであるためコストを大きく削減できるというメリットがある。

 Horizon Airによって提供されるのは以下の3つのサービスとなる。

・仮想デスクトップサービス(Desktop as a Service)の「Horizon Air Desktops」
・アプリケーションサービス(Application as a Service)の「Horizon Air Apps」
・仮想デスクトップのディザスタリカバリサービス(Desktop Disaster Ricovery as a Service)の「Horizon Air Desktop DR」

 対応OSはWindows XP、Windows 7、Windows 8 x64、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2012となっており、エディションは「Standard(ナレッジワーカー)」「Advanced(パワーユーザー)」「Enterprise(開発エンジニア)」「Host Apps Server(特殊な業務、共有デスクトップ)」の4つが用意されている。

Horizon Airを構成する3つのサービス
Horizon Airの4つのエディションとそれぞれのスペック
Horizon Airの日本向けパッケージ

 ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏は、Horizon Airのユースケースとして「従来のオンプレのVDIと大きく違わないが、ワークスタイルの多様化にともなって、契約社員や臨時の作業員、あるいは外部のスタッフに期間限定で利用してもらうケースが増加すると見られており、そうしたニーズにはクラウドベースのHorizon Airが応えやすい」と説明する。

 「同じひな型を使って数百台規模で一斉にデプロイすることができるので、製造業がグローバルに進出する際や、分散した拠点を一元的に管理するにも向いている」(本田氏)。

 なお、ディザスタリカバリ用のHorizon Air Desktop DRは火災や地震、あるいは停電といった不測の事態に見舞われた際、利用不能になったデバイスの代わりに仮想デスクトップサービスを提供するサービスであり、「アプリケーションを含め、すぐに使える状態で仮想デスクトップを用意するが、ユーザー側のデータを保管/復元するサービスではない」(本田氏)という。ディザスタリカバリ以外にも一時的なテストなどの用途に使うことができる。

ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 本田豊氏
ディザスタリカバリサービスは契約プランによって復旧時間に差が出る

 またヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長 巨勢泰宏氏は、パブリッククラウドから使うことができるデスクトップサービスとして、Horizon Airには次の5うつの価値があると説明している。

1.すぐれたユーザーの使用環境――オンプレミスと変わらない環境でストレスなくあらゆるアプリケーションを利用できる。iOSやAndroidといったモバイルデバイスからのアクセス、さらに3Dグラフィックスの高速処理なども可能
2.運用の簡素化――インフラをすべてVMwareが提供することで、運用負荷を大幅に軽減。導入に必要な手順も3ステップ(仮想デスクトップの作成→ユーザーの割り当て→ユーザーのログイン)のみ
3.予測可能なコスト――使用量に応じたサブスクリプションベースなので、サービスレベルを下げることなく、無駄のないデスクトップ管理を可能に。初期投資や運用管理などに当てる人件費を不要に
4.セキュリティと管理の統合――単一ダッシュボードによる集中的なデスクトップ管理および権限付与、データセンターとVMware間の通信保護、Active Directoryを含むオンプレミス環境とのシームレスな接続
5.ハイブリッドクラウドの柔軟性――世界各地にサービスを展開しているので日本だけでなく複数のリージョンにまたがったデスクトップ構成が可能

 Horizon AirのSLAは99.9%を保証しており、巨勢氏は「仮想デスクトップサービスとしては十分なレベルだと思っている」としている。

Horizon Airの管理ダッシュボード。シンプルな画面から一元的な管理が可能
ヴイエムウェア ハイブリッドクラウドサービス本部 本部長 巨勢泰宏氏

 またヴイエムウェアは、今四半期(4月~6月)中までに、Horizon Airに「IT管理コンソールのアップデート」「新APIによるプログマラブルな管理」という2つの新機能を追加すしたうえで、同サービスの提供を開始すると発表している。

 Horizon Airの利用はいずれのエディションも50デスクトップからとなっており、契約期間は1カ月、12カ月、24カ月、36カ月から選択可能。12カ月のサブスクリプション契約を選択した場合の1台あたりの利用金額は月額4300円(税別)からとなっている。

五味 明子