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ブレインパッドとFairy Devicesなど3社、現場業務のDXを支援する「作業動画解析AIエージェント」を提供へ
2025年3月31日 12:15
株式会社ブレインパッド、Fairy Devices株式会社、株式会社BrainPad AAA(ブレインパッド エーキューブ)の3社は28日、マルチモーダルAI分野で業務提携したと発表した。これに伴い3社は、現場業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する「作業動画解析AIエージェント」を共同で開発。さまざまな現場の技術作業に活用するソリューションとして、2025年夏の提供開始を予定する。
「作業動画解析AIエージェント」は、ブレインパッドが設計し、BrainPad AAAが開発した、産業現場のさまざまな作業動画を解析するAIエージェント。Fairy DevicesのマルチモーダルAIライブラリによって、首掛け型ウェアラブルデバイス「THINKLET」と連携し、「THINKLET」を装着した技術者や作業員が自身の作業を行うだけで、デバイスが記録・配信する音声や映像、各種センサーデータをAIエージェントが処理・解析して、作業に関する手順書・マニュアルや報告書を自動生成できるという。
また緊急時に、作業員に対して遠隔から支援を行う機能を備えているほか、解析結果を蓄積することにより、現場からの問い合わせに対してエージェントが解析結果に基づく回答を提示することも可能とした。
3社では「作業動画解析AIエージェント」について、作業の改善余地の抽出や現場で見落とした異常の検知、作業後に異常が発見された際の原因特定などに特に有効と説明。活用シーンとして、製造業における機器の操作・点検や操作手順の標準化、建設業におけるインフラの年次点検、オフィス設備メーカーにおけるオフィス機器や設備の点検・メンテナンスなど、さまざまな例を挙げている。
なお、「THINKLET」を提供するFairy Devicesは、マルチモーダルAI技術を活用して現場業務のDXを支援する研究開発企業。「THINKLET」は、AIにとって適切な学習・解析データを収集し、AIとの円滑なコミュニケーションを行うために開発された首掛け型のウェアラブルデバイスで、人間工学に基づいた軽量のハンズフリーデザインを採用しているため、頭に付けるタイプのウェアラブルカメラやスマートグラスに比べて、現場作業者の負担が少ない、モバイル回線を通じてクラウドからすべての操作を制御できる、画角が安定し産業現場の騒音環境でも利用できる――、といった特徴を持つ。
一方で今回の新ソリューションには、Fairy Devicesがこれまで培ってきた、マルチモーダルデータ(動画像/音声/GPS/各種センサーなど)やエッジデータの処理、ネットワークを介したデバイスのリアルタイム制御、「人と機械が円滑にコミュニケーションするための各種AI技術」が提供されており、今後は、こうしたマルチモーダルAIを「THINKLET」の既存ユーザーに追加することも可能になる予定という。
またブレインパッドは、データ解析に加えて、ユースケースの探索やコンサルテーションを基軸として、顧客対面で現場の業務調査や課題発見、施策の落とし込みを行い、各産業に特有のユースケースや、各社の事情に即したインプリメンテーションを実行する。あわせて、利用企業がより活用度を高められるよう、データ・AI活用人材の育成を通じた内製化も支援するとした。
最後のBrainPad AAAは、AIエージェント事業に特化したブレインパッドの子会社で、ブレインパッドグループにおいて自律型AIエージェントの開発全般を担っている。今回の新ソリューションでは、「THINKLET」で収集・エッジ処理した現場のマルチモーダルデータを解析し、現場からの問い合わせに回答するAIエージェントの機能開発と、UI・API開発を担当。さらにブレインパッドと密接に連携することで、現場のニーズを吸い上げ、機能の汎用化に向けたアップデートを実行するとしている。