ニュース

明治安田生命と日本IBM、ITシステムの開発効率化・高品質化を目指して生成AIを活用した検証を実施

 明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田生命)は3日、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)と、明治安田生命のITシステムの開発と運用プロセスの効率化および高品質化を目指し、日本IBMが提唱する「IT変革のためのAIソリューション」を活用した2種類の実証実験を行ったと発表した。

 明治安田生命では、ホストシステムのモダナイゼーションを推進する中で、生成AIの活用が有力な解決策になると考え、企業のAI活用に対して豊富な実績を持つ日本IBMと実証実験を実施した。

 実証実験で、明治安田生命と日本IBMは、ITシステムの開発と運用プロセスの効率化および高品質化を目指し、現行の状況を分析しながら、生成AIの活用対象を検討した。その結果、両社の今年度の取り組みとして、1)一連の開発工程の効率化の検証、2)各工程のトレーサビリティーチェックの検証――の2種類の実証実験を行った。

 1つ目の実証実験では、AIソリューションの「コード生成のためのAI」と「テスト自動化のためのAI」を活用し、メインフレーム開発の「内部設計、コーディング、単体テスト」の作業項目において、単体検証ではなく、一連の作業に対して生成AIを活用する検証を行った。例えば、個人保険システムや企業保険システムの実業務の成果物を利用し、生成AIで作成した内部設計書をインプットに、生成AIがコーディングやテストケースを作成するなど、各作業を連携させた。その結果、「内部設計、コーディング、単体テスト」の一連作業において、約25%の効率化を実現した。

 2つ目の実証実験では、「コード生成のためのAI」を活用し、要件定義から外部設計、テスト工程のトレーサビリティーを確認する作業に対し、生成AIの活用を試行した。要件定義書や外部設計書、テストケースなどで利用されている保険業界特有の用語についても、補足情報を付加することで生成AIの精度向上を実現したという。

 これら実証実験の成果を受け、明治安田生命と日本IBMは、2025年4月から実業務環境でのパイロット運用を開始する。

 明治安田生命は、今回の実証実験をシステム開発体力増強に向けた重要な取り組みの一つと位置付け、日々進化するテクノロジーを今後も積極的に活用していく方針だと説明。4月以降も、要件定義や外部設計の影響調査作業などの上流工程や、結合テストやシステムテストのケース作成など、対象工程やユースケースを広げて検証を続け、さらなる生成AI活用を推進する予定。また、将来的には、生成AI活用をベースにしたシステム開発プロセスの改革を目指し、日本IBMと共創していくとしている。

 日本IBMは、「IT変革のためのAIソリューション」の提供により、基幹システムを含むITシステムの開発と運用のあり方を抜本的に変え、顧客と共に、IT変革の加速を目指していくとしている。