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日本オラクルが「Exadata X11M」を発表、最新ハードウェアの採用で価格性能比が向上

 米Oracle Corporationは7日、Oracleデータベース専用システム「Oracle Exadata」の最新世代となる「Oracle Exadata X11M」を発表した。価格は前世代の「X10M」と同じで、パフォーマンス向上や省エネなどを実現しているという。

 オンプレミスの「Exadata Database Machine」と、オンプレミスにてクラウドと同様のマネージドで使う「Exadata Cloud@Customer」、OracleのクラウドサービスOracle Cloud Infrastructure(OCI)で同時に提供開始となった。OCIでは、まず米国西部(Phoenix)リージョンなどから順次展開し、他社クラウド(Azure、Google Cloud、AWS)にも展開していく。

 日本においても、Oracleの日本法人である日本オラクルが、Exadata X11Mを1月17日に発表した。

Oracle Exadata X11M

CPUやメモリ、ストレージが高速化。1ソケットサーバーも用意

 1月17日にオンラインで開催された記者説明会では、日本オラクル 執行役員 事業戦略統括の首藤聡一郎氏が、Exadata X11Mについて解説した。

 まずはハードウェアの進化だ。Exadataでは前世代のX10Mにおいて、CPUをIntel製からAMDのEPYCに変更している。そしてX11Mでは、最新の第5世代EPYCを採用。データベースサーバー(96コア・2ソケット)ではX10Mより最大25%高速に、ストレージサーバー(32コア・2ソケット)では最大11%高速になった。またメモリもそれに合わせて最大33%高速化した。

 ストレージサーバーについては、X10MではバスとしてはPCIe 5.0に対応していたものの、PCIe 5.0対応フラッシュストレージが出荷前で搭載できなかったのに対し、X11MではPCIe 5.0対応フラッシュストレージを搭載した。これによりスループットが2.2倍高速化したという。

 また、ストレージサーバーもデータベースサーバーと同様にメモリが33%高速化。ストレージのキャッシュとして使われるメモリのXRMEM(Exadata RDMA Memory)についても、読み取りレイテンシが21%高速化したとのことだ。

 オンプレミス版のシステム構成としては、1/8ラック構成がなくなり、1/4ラック構成(データベースサーバー×2ノード、ストレージサーバー×3ノード)からとなっている。

 その代わりに用意されるのが、32コア・1ソケットのCPUを搭載する比較的小規模向けサーバーの「Database Server X11M-Z」と「High Capacity X11M-Z Storage Server」だ。1/4ラック構成でノード数が増えても、コンピューティングリソース量を1/8ラック構成と同程度に抑えるものだという。

 「1/4ラックは大きすぎるので従来の1/8ラックがいいというような、『より小さなモデルでも十分』というニーズに応えるもの」と首藤氏は説明した。また、1/8ラックの上が1/4ラックになるという決まった構成ではなく、ノード単位で追加できるという。

Exadata X11Mのハードウェアの変更点
Exadataのハードウェアの進化
日本オラクル 執行役員 事業戦略統括 首藤聡一郎氏

AIのためのベクトル検索も高速化

 Exadata X11Mでは、従来のトランザクション処理(OLTP)や分析処理(OLAP)に加え、AI検索のワークロードでも高いパフォーマンスを実現するという。

 AI検索としては、RAG(生成AI+情報検索)などで使われるベクトル検索(テキストや画像などを数値の組で表して意味的な近さを検索する技術)を高速化した。

 ベクトル検索を高速化する検索インデックスの手法としては、比較的小規模なデータをオンメモリで処理する「HNSW」や、大規模なデータを処理する「IVF」がある。X11Mでは、HNSWについてはデータベースサーバーのCPUとメモリの性能向上でクエリをX10Mから43%高速化、IVFではストレージサーバーにベクトル検索をオフロードすることでクエリをX10Mから55%高速化したという。

 アルゴリズム面でも、ストレージサーバーにおいて、上位項目を求めるTop-Kアルゴリズムの処理を最大4.7倍に高速化、ベクトル検索クエリを最大4.6倍高速化した。さらに、ベクトルの1次元を1ビットで表すBINARYベクトルに対応し、精度よりもデータサイズと高速化を重視する用途に対応した。

 もちろんAIだけではなく、従来のOLTPやOLAPも、ハードウェア性能の向上により高速化している。

ベクトル検索でのインデックスのクエリを高速化
Exadata X11Mのアルゴリズムでのベクトル検索の高速化
Exadata X11Mでのトランザクション処理(OLTP)の高速化
Exadata X11Mでの分析処理(OLAP)の高速化

電力を抑制する設定機能を搭載。一元管理にも対応

 Exadata X11Mでは、電力消費を制御して抑制する機能も搭載された。

 例えば、AMD EPYC CPUの1ソケットあたり96のコアのうち、利用していないコアを停止することで消費電力を抑えることが可能になっている。また、消費電力の最大値を設定してそれ以上にならないようにする機能も用意されている。

 そのほか管理効率の面でも、これまで1筐体に対して1管理コンソールだったのを、複数台の管理を1コンソールに集約して一元的な管理できるようになったという。「地味ではあるが、運用効率を上げ、お客さまにとって大きな価値になると考えている」(首藤氏)。

電力効率や管理効率の向上も
新たな電力管理技術