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Oracle、AMD EPYCプロセッサを採用した「Oracle Exadata X10M」を発表

 米Oracleは22日、アプライアンスサーバーの新製品として「Oracle Exadata X10M」(以下、X10M)を発表した。第12世代のプラットフォームと位置づけるX10Mは、第4世代AMD EPYCプロセッサを搭載。Oracle Exadata Cloud@CustomerおよびOracle Exadata Database Machineで利用できる。数カ月以内にOCI(Oracle Cloud Infrastructure)でも利用できるようになるという。

Oracle Exadata X10M

 従来モデルと比較して、データベースサーバーのコア数が最大3倍となる96コアになり、ストレージサーバーのコア数は最大2倍、トランザクション処理は最大で3倍向上し、アナリティクスクエリーでは最大3.6倍の高速化を実現。データベースサーバーのメモリ容量を50%増加させるとともに、メモリ速度は2.5倍に高速化されている。また、NICカードを5枚搭載でき、データセンターにおける接続性を高めたほか、100Gb/sのRDMAにより、データベースサーバーとストレージサーバーを低遅延・広帯域で接続可能にしている。

前世代から大きく性能が向上

 さらにストレージサーバーでは、HDD容量は22%拡大されて264TBまでの搭載が可能であり、オールフラッシュストレージサーバーの容量は従来モデルの51.2TBから2.4倍となる122.88TBに拡大。1.25TBのDDR5を搭載しているほか、フラッシュストレージのIOPSは、書き込みで50%、読み込みでは15%速度が向上した。第4世代AMD EPYCプロセッサの搭載により、コア数は従来の2倍となる1ソケットあたり32コアに拡張したという。

拡張性も大きく向上している

 米Oracle ミッションクリティカル・データベース・テクノロジー プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのアシッシュ・レイ(Ashish Ray)氏は、「Oracle Databaseワークロードに対して圧倒的な拡張性と、コストパフォーマンスの向上を実感してもらえる進化である。全世界でExadataを活用しているユーザーからの厳しい要件を反映している。拡張性のあるデータベースサーバー、低遅延および広帯域のネットワーク接続、超並列処理が可能なストレージサーバーで構成しており、OLTP、アナリティクス、データベース統合、モダンアプリ、セキュリティにおいて高度化と高い価値を提供し、それを従来モデルと同等価格から利用できるようにしている」と語った。

OLTP、アナリティクス、データベース統合、モダンアプリ、セキュリティにおいて高度化と高い価値を提供
米Oracle ミッションクリティカル・データベース・テクノロジー プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのアシッシュ・レイ氏

 OLTPワークロードでは3倍の性能を発揮し、アナリティクスでは2倍以上の性能向上を実現。インメモリアナリティクスでは、2.4倍の性能向上を実現できるという。「特に、OLTP、アナリティクス、データベース統合の3つの領域においては、大きな性能向上を実現しており、お客さまのビジネスに大きなメリットを提供できる。性能向上による事業効率の向上、リアルタイムでのデータからの洞察を得ることで事業成長を支援し、コスト削減にも貢献できる」とした。

OLTP、アナリティクス、データベース統合の3つの領域で大きな性能向上を実現

 コンピューティングとストレージの密度向上によって、必要なシステムのサイズが抑えられ、電力や冷却、床面積といった観点でのデータセンターのコスト削減を可能にする一方、Exadata Cloud@Customer X10Mでは、大規模化と拡張性を持つとともに、クラウド利用価格の設定により、サーバーやシステムを追加することなく、開発環境やテスト環境、本番環境といった形で段階的な導入が容易にできるという。

 「Exadata Cloud@Customer X10Mは、データをオンプレミスに保持したいというエンタープライズ企業のニーズに対応することができる。お客さまのデータセンター内で、Oracle Autonomous Databaseを活用でき、チューニングやパッチ適用、プロビジョニングなどのデータ管理タスクを自動化可能だ」とした。

 さらに、データベースサーバーやストレージサーバーを個別に追加することでスケールアウトを実現できるので、ニーズが変化した時点で拡張が可能であり、Oracle Real Application Clustersテクノロジーにより、ミッションクリティカルなOLTPと、データウェアハウスワークロードの両方において、データベースがフルに稼働している状態でも拡張と計画的メンテナンスを実行できるという特徴も持つ。

 「最新のソフトウェアを通じて、Exadataの可用性や拡張性を実現できる。管理の自動化により、コスト削減にも効果を発揮する。さまざまなデータ管理のニーズに対応できる」と述べた。

 なお、今回のExadataにAMD EPYCプロセッサを搭載したことについては、「市場で入手可能なすべてのCPUを評価した結果、データベース関連のワークロードにおいては、AMDファミリーが最も高い性能を発揮することがわかった。コア数が多いこと、拡張性が高いことが要因である。Oracleではこれまでにも、Exadata Cloud Infrastructure X9Mに搭載したり、OCIやMySQL HeatWaveで利用したりといったように、AMDのCPUを採用した実績がある。性能の高さや拡張性については体験をしている」と語った。

 またExadataの特徴として、Oracle Databaseに理想的なハードウェアコンポーネントであること、スマートなシステムソフトウェアを搭載していること、自動化された管理を実現している3つを挙げたほか、オンプレミスやOCI、Cloud@Customerに加えて、Azureなどのマルチクラウド環境でも利用できる柔軟性についても強調した。

 銀行では世界上位10行のすべて、通信事業者でも上位10社のすべてにExadataが採用されるなど、さまざまな業界において大手企業に採用されていることも示した。

さまざまな業界の大手企業に採用されているという

 「Exadataは、15年以上の歴史を持ち、毎年のように、エンジニアリングイノベーションを積み重ねてきた。ハードウェアとソフトウェアの両軸で進化を遂げている点は、Oracleならではのユニークな部分である」と語った。