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デル・テクノロジーズ、NVIDIA GB200 NVL72ベースの「Dell PowerEdge XE9712」など「Dell AI Factory」の新機能を発表

 米Dell Technologies(以下、デル・テクノロジーズ)は現地時間15日、「Dell AI Factory」に、ラックが拡張可能な新しい統合システム、サーバー、ストレージ、データ管理の革新的なソリューションを追加したと発表した。これらは、高密度コンピューティングとAIワークロードの大規模な展開を強力に支援するとしている。

 「Dell Integrated Rack 7000(IR7000)」は、Open Compute Project(OCP)標準ベースの21インチサーバーラックで、スケーラブルな電力管理機能を実装した液冷式の高密度コンピュートアーキテクチャーを提供する。最新かつ物理サイズも大きいCPU/GPUアーキテクチャーをサポートした、従来より横幅と高さのあるサーバースレッドに対応し、液冷に特化した設計で、最大480KWまでの冷却ニーズに応え、発生する熱をほぼ100%回収できるとしている。

 また、シンプルでエネルギー効率に優れた展開を実現する「Dell Integrated Rack Scalable Systems(IRSS)」は、AIワークロード向けに最適化されている革新的なラックスケールインフラストラクチャーで、完全に統合されたプラグアンドプレイ式のラックスケールシステムにより、シームレスで効率的なセットアッププロセスを実現するとしている。IR7000は、2025年第1四半期に全世界で提供開始予定。

 さらに、IR7000向けに設計したAI対応プラットフォームも提供する。「Dell PowerEdge XE9712」は、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングと、リアルタイム推論のための、AI GPUクラスタ向けのNVIDIA GB200 NVL72ベースのプラットフォーム。「Dell AI Factory with NVIDIA」の一部で、大規模なAI展開における大規模言語モデル(LLM)トレーニングと、リアルタイム推論のためのハイパフォーマンスで高密度のアクセラレーションを提供する。

 NVIDIA GB200 NVL72アーキテクチャーをベースとしたこのプラットフォームは、高いGPU密度を実現できるように構築されており、単一のラックスケールデザインで最大36基のNVIDIA Grace CPUと、72基のNVIDIA Blackwell GPUを接続する。72基のGPUによるNVIDIA NVLinkドメインは、単一のGPUとして機能し、数兆規模のパラメーターを持つLLM推論のリアルタイム性能を、最大30倍高速化する。また、液冷式のNVIDIA GB200 NVL72は、空冷式のNVIDIA H100ベースのシステムよりも最大25倍の効率を実現する。PowerEdge XE9712は、現在指定の顧客向けにサンプルを提供している。

 「Dell PowerEdge M7725」は、研究調査、政府・官公庁、フィンテック、高等教育機関などの環境に適した、ハイパフォーマンスで高密度なコンピューティングを提供する。PowerEdge M7725は、IR7000ラックへの実装を想定して設計されており、より多くのコンピュートをより少ないスペースで提供する。第5世代AMD EPYCプロセッサーを搭載した64台または72台の2ソケットサーバーノードにより、ラックあたり2400コア~2700コアというスケーラビリティーを実現する。

 フロントI/Oスロットが高速I/O接続を実現するとともに、高い要件が求められるアプリケーションへのシームレスな接続を提供する。このサーバーは、エネルギー効率に優れたフォームファクターを持ち、CPUのための直接液冷方式(DLC)と、クイックコネクト方式で連結された統合ラック全体の空冷方式の両方をサポートすることで、より持続可能なサーバー導入を可能にする。PowerEdge M7725は、2025年第1四半期に全世界で提供開始予定。

 NVIDIA DGX SuperPOD認定イーサネットストレージの「Dell PowerScale」については、機能強化により、容量の増加、AIワークロードパフォーマンスの高速化、データの発見可能性の向上を実現する。

 PowerScaleにおけるメタデータと「Data Lakehouse」を活用することで、データに埋もれているインサイトを発見し、質の高い意思決定をより迅速に行うことが可能になる。また、近日提供予定の、NVIDIA NeMoサービスとRAGフレームワーク向けのオープンソースドキュメントローダーは、顧客におけるデータの取り込み時間を短縮すると同時に、コンピュートとGPUコストを削減できるように設計・構築されている。

 より大容量で高い効率を実現する新しい61TBドライブを使用することで、データセンターでのストレージのフットプリントを半減させるとともに、より大規模なデータセットでモデルのトレーニングを実行し、AIモデルを微調整できる。また、フロントエンドNVIDIA InfiniBandの各機能と200GbEイーサネットアダプターのサポートにより、AIワークロードのパフォーマンスを強化し、スループットを最大63%高速化する。PowerScaleのアップデートは、2024年第4四半期に提供開始予定。

 「Data Lakehouse」データ管理プラットフォームの新たな機能強化では、災害復旧や自動スキーマの検出、包括的な管理API、セルフサービス式のフルスタックなアップグレードといった新機能により、時間を節約しながら運用効率を高める。「Optimization Services for Data Cataloging」と「Implementation Services for Data Pipelines」によって、顧客はデータ主導のプロセスを簡素化するとともに、AIおよびビジネスユースケースを迅速にスケールアップできる。Data Lakehouseのアップデートは、2025年上半期に提供開始予定。

 さらに、Dell AI Factoryの一部である「Dell Generative AI Solutions with Intel」は、DellとIntelが共同で開発、テスト、検証したプラットフォームを提供し、シームレスなAI展開を実現すると説明。事前構成済みソリューションは、「Dell PowerEdge XE9680」とインテル Gaudi 3 AIアクセラレーター、デル・テクノロジーズのストレージ、ネットワーク、サービス、オープンソースソフトウェアスタックで構成され、コンテンツ作成、デジタルアシスタント、デザインおよびデータ作成、コード生成など、幅広い生成AIのユースケースをサポートするとしている。Generative AI Solutions with Intelは、2024年第4四半期に提供開始予定。