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freee、「freee人事労務」を“ピープル・エンパワーメント”プラットフォームとして展開

さまざまな新サービスの提供も

 フリー株式会社(以下、freee)は10日、クラウド型人事労務システム「freee人事労務」の新コンセプト「ピープル・エンパワーメント」を発表した。人と組織の可能性を引き出すことを狙い、「ピープル・エンパワーメント・プラットフォーム」から人事管理だけでなく、ウェルネス、成長支援、人材マッチング新サービスを提供し、人材に関連するトータルサービスを提供していくという。

 この事業を担当する、常務執行役員 従業員プロダクトCEOの髙村大器氏は、「ピープル・エンパワーメント・プラットフォームから提供する1つ1つのサービスは、すでに世の中にあるものもあるが、これらが統合されたことに大きな意味がある。小規模企業には、専門の人事部門担当者がいないケースが多いが、人事労務DXなど絶対にやらなければいけないことを進めていくために必要な取り組み、考え方なのではないか」と統合人事サービスを提供する狙いを説明した。

フリー株式会社 常務執行役員 従業員プロダクトCEOの髙村大器氏

freee人事労務の歴史

 freeeではちょうど10年前の2014年10月6日に、freee人事労務の前身となる「給与計算フリー」の提供を始めた。

 「当時、目指していたのは、スモールビジネスが人の可能性を引き出すこと。ただ、この目標、このビジョンを達成するには大きなハードルがあった。2014年当時の人事は、複雑で非効率な業務が多く、労務コンプラも立ちはだかった。働き方改革っていう言葉はまだない時代だった。まず複雑な人事、労務をシンプルに、誰もが安心して働ける――まずはここを目指してやろうとフォーカスし、ここまで来た」(髙村常務執行役員)。

 その後、電子政府の総合窓口e-Gov APIへの対応、「法廷三帳簿」と言われる労働者名簿・賃金台帳・出勤簿への対応、クラウドで給与・人事・労務一気通貫への対応を実現。さらに変更された法制度などへの対応、スマートフォンでの利用に対応し、SlackやLINEといった外部アプリケーションとの連携も実現した。

スモールビジネスのクラウド化と業務効率化をリードしてきたという
スマホでもさまざまな業種・働き方に対応

 「利用企業も、当初はほとんどが10名以下の小規模なお客さまだったが、現在では従業員数が100名を超え、そして300名を超える、いわゆる中堅企業カテゴリーのお客さまも多くいらっしゃる状況となっている。導入企業の業種も、幅広くなってきた。10年前、SaaS・クラウドサービスへの認知がなかったため、ほとんどのお客さまはIT系の企業だった。現在では、導入伸び率が高い業種は、不動産、建設、医療/福祉といったさまざまな業種、業界に広がっている」(髙村常務執行役員)。

より幅広い「規模」のお客さまに展開
より幅広い「業種」のお客さまに展開

 そして2024年1月には、freee人事労務のユーザーコミュニティ「camp」をスタートし、月間300件のコミュニケーションが行われているなど、ユーザー間の情報共有も進んでいる。

新しいコンセプトとしてピープル・エンパワーメントを採用

 freeeではこのように、freee人事労務自身の機能強化も進めてきたが、今回、新しいコンセプトとしてピープル・エンパワーメントを採用し、小規模事業者が効率的に働き、労働生産性を上げるためのサービスを拡充する。

 小規模事業所の場合、専任担当者がいないことから人事労務に関連する新しいサービスを導入できないという現実がある。そこで人事労務に関連するサービスをピープル・エンパワーメント・プラットフォームから一元的に利用できる環境を作る。人事労務DX関連としては、給与計算・勤怠管理・労務管理・年末調整・雇用契約。新しい機能としては、ユーザーからの要望が一番多かった「統合カスタム権限」を新たに追加する。担当者ごとに従業員情報・勤怠・給与に関する閲覧、編集の権限を付与し、現場担当者が付与された権限に基づいて作業ができるようにする。

統合カスタム権限

 ウェルネス領域では、健康管理・福利厚生などを提供。10月2日からは「freee福利厚生」ベネフィットサービスの提供を開始した。人材マッチング領域では、人材不足の解消と正社員も活躍しやすい環境作りを行うことを念頭に業務委託、スポットバイト機能などを提供。成長領域では人材情報の見える化で人が成長しやすい環境を作る。新たに統合人事レポートを提供する計画で、人事ダッシュボードをさらに統合的に活用できるようにする。

freee福利厚生

 従業員DX領域は、従業員の成長とデジタル活用によっての進化を実現するために、シフト管理、契約管理に加え、従業員ポータルの開発を進めている。また、シフト管理をより効率的に行うために、10月10日から「AIシフト管理β版」提供を始めた。

 「最近、導入が増えている医療/福祉業界では、シフト希望回収と転記作業、複雑になっている条件の考慮、勤怠ソフトへの転記など作業が多く、シフト決定が容易ではないという声があがっている。デジタル化も遅れ、1拠点あたり、シフト作成に月間9時間かかっているという調査も出ている。そこでAIを使ってシフト作成にかかる作業時間を軽減する新サービスをまずβ版で提供する」(業種特化 事業開発部部長の田井野佐介氏)。

 AIシフト管理は、各自の希望は紙ではなくアプリから提出。提出されたデータをもとに、AIが最適な配置を自動作成する。シフトについては、freee人事労務に自動連携し、管理も容易に済ませることができる。

 テスト導入したユーザーからは、従来7時間から8時間かけて行っていた作業が約5分間で完了したという声が出ているという。

AIシフト管理β版