週刊海外テックWatch

Microsoftが「現場投入型AI実装部隊」を立ち上げ 「FDE」がAI業界のトレンドに
2026年7月13日 11:20
Microsoftが、企業のAI導入を支援する新たな事業組織「Microsoft Frontier Company」の立ち上げを発表した。25億ドルを投じ、6000人規模の専門家・エンジニアを顧客企業に送り込むという大規模な体制だ。企業へのAIの浸透が思うように進まない中、AI企業やクラウド大手は、顧客企業の現場で実装を支援する「FDE」型モデルに軸足を移し始めている。
Microsoftが25億ドルを投じる「Frontier Company」とは
Microsoftの7月2日付公式ブログなどによると、Frontier Companyは、既存の「FDE(Forward Deployed Engineer)」やテクニカルコンサルタント、業界特化の営業チームを束ねた組織だ。業界専門家・エンジニアを顧客企業に常駐させる体制をとる。指揮をとるのは、Microsoftアジアの社長などを務めたRodrigo Kede Lima氏だ。Microsoftは、顧客のデータやIPをモデルの学習に用いない方針を掲げ、「Intelligence(顧客固有のデータとワークフローの累積)」と「Trust(データ主権やガバナンスの保証)」の両立を打ち出している。
FDEとは、顧客企業の中に入り込んで顧客のデータや業務フローに直接触れながらシステムを構築するエンジニアのことだ。Palantirが2000年代に広めた手法として知られる。要件定義書を書いている間に状況が変わってしまうような現場に、ベンダー側のエンジニアを直接送り込み、動くシステムをその場で作り上げるという発想だ。
Microsoftコマーシャル部門CEOのJudson Althoff氏は発表文で、新組織は「これまでの『フォワード・ディプロイド・エンジニアリング』の範囲を超え、業界で最大かつ最も能力が高く、成果主導型のエンジニアリング組織になる」と述べた。また、その背景については、CNBCの取材に「顧客はAIをどう捉えるべきか模索している」と述べ、単一モデルに頼るか複数モデルを組み合わせるか、また技術起点で考えるか既存の業務プロセスで考えるか、判断を迫られていると説明した。The New Stackは、Althoff氏が、Copilotを開発した当初にOpenAIのモデルのみにひも付けたことは誤りだったと認めた、と伝えている。
GeekWireによると、Frontier Companyの人員の大半は既存のMicrosoft社内のエンジニアリング・FDE組織から集められるという。「既存の取り組みをより大きく、よりうまくブランディングし直したものに過ぎない」との見方を伝えている。
初期の顧客にはLSEG(ロンドン証券取引所グループ)、Land O'Lakes、Unilever、Novo Nordiskが名を連ね、Accenture、Capgemini、EY、KPMG、PwCといった大手SIerともFDEでの連携を進めるとしている。