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NEC、鹿島、NTT東日本の3社、通信用光ファイバーを用いた工事振動の検知に成功

 日本電気株式会社(以下、NEC)、鹿島建設株式会社(以下、鹿島)、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)の3社は24日、光ファイバーセンシング技術を応用し、既に電柱に共架している通信用光ファイバーを振動センサーとして活用する実証実験を行ったと発表した。

 この実験により、通信用光ファイバーによるトンネル掘削工事の振動検知に世界で初めて成功しまし、これにより新たにセンサーを設置することなく、建設工事に伴って周辺の地域で発生する振動状況を、広範囲かつリアルタイムに把握しながらの施工が期待できるとしている。

 都市部や住宅街で建設工事を進めるにあたっては、周辺地域の住民の理解と協力を得ることが重要となり、特に工事による振動が及ぼす影響は常に把握することが求められるが、工事に起因する振動はさまざまで、それらがどの範囲にどの程度の影響を及ぼすかを予測することは難しいのが現状だと説明。また、計測のために現場敷地外に複数の振動計を長期間設置することや、人手による巡回計測にも限界があるという。

 こうした課題に対応するため、3社は、NTT東日本の通信用光ファイバーと、NECおよび鹿島の光ファイバーセンシング技術を用いて、トンネル掘削工事に起因する振動を計測することで、工事振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化する実証実験を行った。

 実証実験では、トンネル掘削工事現場の周辺に敷設されている通信用光ファイバーの上部側終端部にセンシング装置を取り付け、建設機械など(振動源)に起因する振動が、周辺の地盤から電柱を経由して一般通信用光ファイバーに伝わる状況を、2022年1月から2023年6月にかけてモニタリングした。

 通信用光ファイバーを用いたセンシングにより検知した振動から、工事に起因する振動を抽出する処理を行った結果、トンネル掘削工事による振動の影響範囲を常時かつ面的に可視化することに成功した。

 この成果を踏まえ、3社は今後も、さまざまな工事振動を常時計測、可視化する方法の検討を進め、将来的には周辺地域への影響を最小限に抑えた工事の実現に貢献することを目指すと説明。併せて、周辺環境に配慮した安全・安心な建設工事の実現に向けて、共創活動を行っていくとしている。

光ファイバーで測定された施工時と施工停止時の振動分布
振動分布の可視化イメージ