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日立、静岡銀行と共同開発したシステムをベースとするオープン勘定系パッケージ「OpenStage」を提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は12日、地域経済や社会を支える金融機関のデジタルシフトとサステナブルな成長の実現に向け、勘定系システム事業を強化すると発表した。日立が株式会社静岡銀行と共同開発し、2021年1月に稼働した次世代勘定系システムをベースとするオープン勘定系パッケージの新名称に「OpenStage」を採用し、静岡銀行での稼働ノウハウとともに新たに提供を開始する。

 日立では、1980年代の第3次オンラインシステムの稼働以降、メインフレーム上で稼働を続けてきた勘定系システムは、現在ではシステムの全体像を把握できない「ブラックボックス化」や、最新技術との接続のしにくさが問題になっていると指摘。また、メインフレームのIT技術者は、高齢化とともに減少傾向が指摘されており、今後、基幹系システムの維持・継承やIT技術者減少に伴うコスト上昇なども課題として挙げられてるという。

 こうした課題に対して、日立と静岡銀行では、OSにLinuxを採用したオープン勘定系パッケージとなるOpenStageを共同開発した。原型となる勘定系システムは、静岡銀行のシステムを全面刷新する形で稼働を開始し、デジタル技術を活用したビジネスモデルや業務プロセスの改革、イノベーションの創出など、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の実現を支援する基盤になるとしている。

 OpenStageは、内部機能と外部サービスを柔軟かつ迅速につなぎ、タイムリーなデータ連携・利活用を実現できるスマートシステムをコンセプトとしており、さらにオープンアーキテクチャーを生かし、経営戦略に合わせたシステム開発のスピードアップ、将来にわたるシステム保守・運用コストの低減、API機能により多様な外部サービスとも容易な接続を可能とするなど、低コストで高生産性、多様かつ迅速な変化への対応を可能にするとしている。

 また、単純なシステム更改では、経年により複雑化と肥大化を繰り返す懸念があるが、OpenStageは業務機能や配置を抜本的に刷新しているため、持続可能な勘定系を実現すると説明。部品化して組み合わせるコンポーネント化により、プログラムの複雑化を回避し、プログラム構造をシンプル化してブラックボックス化を抑止するほか、業務処理はパラメータ化して、商品の追加や廃止時における開発スピードの向上に貢献するなど、新たな設計思想に基づき、徹底的にシンプルなシステム構造を追求したという。

 これらの特徴により、静岡銀行では、システムの運用・保守面において、システムのブラックボックス化の解消に加えてシンプルなシステム構造により、プログラム開発生産性の25%以上の向上、業務仕様変更や商品の追加など改修作業を20分の1に低減するなどの導入効果を試算している。

 静岡銀行では、金融庁が金融機関の基幹系システムに関する先進的な取り組みを支援する「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」において、第1号案件として2020年4月から2021年11月まで支援を受けた。

 日立では、静岡銀行との新規共同開発・稼働・安定保守運用を経て得たノウハウと実績をもとに、本格的に拡販へ注力していき、持続的な機能拡充とさらに広範なニーズに応えるため、パブリッククラウドでの稼働実現性を検証していくとしている。