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電通総研、自治体のゼロカーボン化を支援する「脱炭素デジタルダッシュボード」を提供

 株式会社電通総研は29日、自治体のゼロカーボンシティ実現を支援する「脱炭素デジタルダッシュボード」を開発し、コンサルティングサービスと合わせて提供開始した。

 脱炭素デジタルダッシュボードは、温室効果ガスの現況推計から、施策効果の試算、将来推計の可視化、脱炭素化に向けた取り組みシナリオの比較シミュレーションができるダッシュボードで、収集されたデータを活用し、自治体の地球温暖化対策計画策定を支援する。

 電通総研では、現在、国内の1000を超える自治体が、2050年までに二酸化炭素の実質排出量ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明しており、地域資源を最大限活用し、自立・分散型の持続可能な社会を目指す地球温暖化対策計画の策定に取り組んでいると説明。しかし、多くの自治体にとって、地域特性に見合う温室効果ガス削減効果の高い施策を、複数の取り組みシナリオで比較検討し、予算や地域住民の意見も考慮して実現可能な計画として策定することは非常に難しいのが現状だという。

 こうした状況の中、電通総研は企業向けの脱炭素コンサルティングや自治体向けのDX推進など、これまで培ってきたノウハウを生かし、温室効果ガス排出量の部門・エネルギー源別推計、地域特性に応じた将来推計、さらに多角的な深堀分析を可能にする脱炭素デジタルダッシュボードを開発した。さらに、脱炭素デジタルダッシュボードで可視化したデータを用いて、現状分析や複数の取り組みシナリオの比較シミュレーションを行い、自治体の地球温暖化対策計画策定を支援するコンサルティングサービスも提供する。

 脱炭素デジタルダッシュボードは、部門・エネルギー源別に二酸化炭素排出量とエネルギー消費量の現況推計を実施し、さらに人口将来推計や地域特性に応じたシナリオを基に、それらの将来推計も実施できるツール。ツールを活用することにより、自治体は実効性の高いシナリオを選択し、持続可能な社会の実現に向けた効果的な地球温暖化対策計画を策定できる。

 また、脱炭素デジタルダッシュボードには、エネルギー統計データや地域活動量に関する統計データ(事業者数、製造品出荷額など)をプリセットしており、自治体に適した算定手法で現況推計を実施する。また、部門・業種別に二酸化炭素排出量とエネルギー消費量を多面的に可視化・分析できる。

ダッシュボード(現況推計)イメージ

 国の地球温暖化対策計画の施策体系と削減原単位がプリセットされており、地域特性を考慮した省エネルギー・再生可能エネルギー導入実績や導入目安を追加設定することで、複数の取り組みシナリオによる将来推計が可能。これにより、地域ごとに最適なシナリオを検討できる。

 部門別・エネルギー源別の深堀分析や、取り組みシナリオのシミュレーションが可能なダッシュボードを構築。集計数値の詳細を確認するためのドリルダウンや、さまざまな分析軸でのデータ閲覧が可能であることに加え、ローコード開発されているため、自治体職員が集計方法の修正も容易に行える。

 静岡県藤枝市では、同市の「令和5年度 温室効果ガス排出量算定調査業務委託」において、脱炭素デジタルダッシュボードの現況推計機能を実証した。排出量の推計から部門・分野・業種別、エネルギー源別にエネルギー消費量や活動量を深堀分析することで、増減要因や藤枝市ならではの排出量、エネルギー消費量の特徴を分析した。ダッシュボードには、当該実証で得た知見も組み込まれている。

 電通総研は、今後も脱炭素デジタルダッシュボードをはじめとした脱炭素ソリューションの拡充を図り、自治体の環境基本計画、地方公共団体実行計画、エネルギービジョンの策定を支援していくとしている。