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日立、ミッションクリティカルなシステムの開発領域に生成AIを適用するための開発フレームワークを整備

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、生成AI共通基盤の一部として、ミッションクリティカルなシステムの開発領域に生成AIを適用するための新たな開発フレームワークを整備したと発表した。

 日立は、Lumada事業での価値創出の加速に向け、生成AIをあらゆる業務で徹底活用するAIトランスフォーメーションを全社で推進しており、システム開発やカスタマーサービスへの適用に取り組んでいると説明。例えば、ソフトウェア開発のコード生成やテストの効率化、安全性の考察などの研究・検証を進めているほか、コールセンター要員や生産設備の保守員などフロントラインワーカーの業務をサポートするカスタマーサービスの高度化にも注力しているという。

 これらの取り組みを支える中核プラットフォームとして、日立では生成AI共通基盤を構築した。同基盤は、グローバルも含め日立グループで生成AIの開発・実証を進めるための環境で、開発・実証されたナレッジを取り込むとともに、成果が認められたものから段階的に実用化・社外提供をしていく計画としている。

 日立は、生成AI共通基盤の機能リリースの第一弾として、システム開発業務を革新し、開発品質とスピードを向上する開発フレームワークの適用を開始する。

 開発フレームワークは、生成AIの特性を踏まえ、ミッションクリティカルシステムにも対応する高い開発品質を実現する。日立ではGenerative AIセンターを中心に、生成AIとシステム開発の双方のスペシャリストが知見を持ち寄り、一般的なエンジニアであれば容易に生成AIを使いこなすことができるソフトウェア開発用ツールと開発プロセスのガイドを独自開発した。

 ハルシネーションなどの生成AIの課題を考慮したツール群とガイドにより、高い信頼性や安定稼働が求められるミッションクリティカルなシステムのコーディングやテスト工程において、生成AIと既存の開発ツールなどを適材適所で組み合わせることで、効果を最大限に引き出すことを可能にする。

 開発環境は、顧客の多様なニーズやプロジェクトの仕様・特性を踏まえて、柔軟かつセキュアにカスタマイズできる。具体的には、MicrosoftのAzure OpenAI ServiceやGitHub Copilotといった生成AIのサービスに加えて、オープンソースLLMも活用できるため、プロジェクトの開発基準に沿って最適な生成AIのモデルやサービスを選択して利用できる。

 オンプレミス環境やハイブリッドクラウド環境にも対応し、顧客の重要なデータはプロジェクトごとに独立した環境に保存できるため、セキュアな活用を実現する。さらに、標準のRAGアーキテクチャーを実装し、顧客業務やプロジェクト固有情報にカスタマイズすることで、独自の知識を用いた回答を生成できる。

 日立は、開発フレームワークを社内や受託開発プロジェクトに適用するとともに、システム開発の効率化に取り組む企業に対しては、知見や実績をもとに、生成AIを徹底活用する上で必要となる仕組み・仕掛けの導入をトータルで支援する。先行実施した社内検証では、開発フレームワークを活用することで、生成AIが生成したアプリケーションのソースコードのうち70~90%の割合で適切に生成できることを確認したという。

さらに、日立は、生成AIを活用したアプリケーション開発の標準化に向けて、株式会社ジェーシービー(以下、JCB)の協力のもと検証プロジェクトを開始した。今後、検証において、生成AIが開発効率化に大きく寄与する結果が得られた場合には、JCBにあわせたアプリケーション開発標準の整備や、業務への適用に向けて、協創を推進していくとしている。

 日立は今後、生成AI共通基盤において、開発フレームワークの社内外プロジェクトへの適用と機能強化、カスタマーサービス向けツールなどの拡充を推進していく。また、米国子会社のGlobalLogicが発表した、エンタープライズグレードのAIソリューションを統合するプラットフォームアーキテクチャー「Platform of Platforms」の採用や、各種パートナーとのアライアンスを強化するとともに、日立が有するIT×OTの独自のナレッジを学習したLLMの開発・実証など、段階的に強化を進めていく。

 なお、生成AIを活用した業務DXを推進する企業には、Lumada Solution Hubなどを通じてツールや利用環境を提供するとともに、DXに向けた課題の解決をトータルで支援していくとしている。

日立の生成AI共通基盤の全体像