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JBSの2024年9月期上期連結業績、増収も当期純利益は74.1%減 買収企業に関連した特別損失を計上
2024年5月15日 12:45
日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)は14日、2024年9月期上期(2023年10月~2024年3月)連結業績を発表した。それによると、売上高は前年同期比15.7%増の539億3700万円、営業利益は同13.4%増の25億700万円、経常利益は同13.9%増の24億7000万円、当期純利益は同74.1%減の3億7000万円となった。
また、2024年9月期(2023年10月~2024年9月)の通期業績見通しは、売上高が前年比12.4%増の1268億円、営業利益が同21.6%増の51億円、経常利益が同17.3%増の51億円と、いずれも据え置いたが、当期純利益は前年から19億5000万円減額し、前年比55.2%減の15億円に下方修正した。
JBSの牧田幸弘社長は、「2022年12月に買収したネクストスケープにおいて、大型の受託案件が長期化し、計画以上にリソースを投下したことなどによって、事業計画から乖離(かいり)した状況が続いており。のれんとして計上している未償却金の全額を、特別損失として計上することを決定した。通期の純利益が期初想定を下回ることになったため修正を行った」とした。
さらに、牧田社長をはじめ、取締役専務執行役員、取締役常務執行役員が、報酬月額の10%を自主返上することも決定した。期間は2024年7月~9月までの3カ月間。牧野社長は、「特別損失の計上、それに伴う当期純利益の減少について責任を痛感している。グループの連携強化および業績改善に注力していく」と述べた。
ネクストスケープの買収後間もない状況での特別損失計上に至った経営責任を真摯(しんし)に受け止め、役員から申し出があったという。
また、2025年度(2025年9月期)を最終年度とする中期経営計画で掲げていた営業利益の目標を取り下げた。売上高は、2025年度の目標を、今年度に前倒しで達成する見通しだ。だが、営業利益は年平均成長率で30%増となる89億円を目標にしていたが、これを見直す。牧田社長は「市場環境の変化を踏まえ、再検討することにした」と説明した。
クラウドインテグレーション事業におけるエンジニアの月単価の上昇、クラウドサービス事業でのサービス契約数の拡大、ライセンス&プロダクツ事業での契約単価の拡大を課題に掲げている。現時点では、Microsoft 365のID数は、2025年度の目標値を大きく上回っているが、案件単価の向上は期待ほどの伸びがないという。また、クラウドにおける需要の変化、生成AIによる新たな需要の創出、賃上げの影響などによる市場環境の変化などを踏まえて再検討するとしている。
牧田社長は、同社を取り巻く事業環境について説明。「DX関連需要は旺盛であり、案件数も拡大傾向にある」とし、「大手企業へのMicrosoft365の導入は一巡したが、クラウド活用が拡大し、セキュリティ強化のニーズが高まっている。また、Microsoft Copilotが、日本を代表する企業を中心に多くの引き合いがある。この流れをとらえたい」とした。
生成AI支援体制の強化に向けて、2024年4月にData&AI室を新設し、分散していた生成AIに関するエキスパートを集約。さらに、全社にMicrosoft Copilotを導入したことも報告した。
このほか、「エンジニアの確保と育成が最重要課題であり、体制強化に取り組む」とも述べた。
2024年4月には189人の新卒社員が入社。キャリア採用も進んでいるという。2024年5月に、虎ノ門ヒルズステーションタワーに本社を移転しているが、旧本社の虎ノ門ヒルズ森タワーのオフィスも陣容拡大に向けて継続的に活用するという。
2024年9月期上期のセグメント別業績では、クラウドインテグレーション事業の売上高が前年同期比7.6%増の116億3300万円、セグメント利益が同4.8%増の16億400万円となった。JBS 取締役専務執行役員の後藤行正氏は、「売り上げは順調に拡大しているが、一部大型案件の期ずれの影響があり、セグメント利益が下がっている。だが、この影響は今期中に解消できる。ネクストスケープについては、長期化している案件の収束にフォーカスし、来期以降の成長に向けた足がかりにしたい」と述べた。
また、生成AIについては、「Microsoft Copilotをはじめとした業界共通のAI製品の利活用支援を行い、業界ごとの課題解決に必要なデータとAIの活用の支援に挑戦していく」と述べた。
クラウドサービス事業の売上高は、前年同期比17.9%増の90億3600万円、営業利益は同36.0%増の14億9600万円となった。顧客のIT人材不足と、クラウド活用の拡大という要素が重なり、常駐サービスの需要が拡大。また、上流コンサルティングを含めた案件が増加しており、単価上昇と利益拡大に貢献しているという。また、自社パッケージであるファイル転送サービス「metis fiebie」が前年同期比で2倍以上の成長を遂げたのに加え、Microsoft 365関連サービスも1.3倍に増加。マネージドクラウド for Microsoft Azureやリモートサービスデスクで大型案件を獲得できているという。
セキュリティサービスでは、マイクロソフト製品に付随するセキュリティサービスの提供を拡大。複雑化するセキュリティニーズに対応するために、エンジニアのリスキリングを進めるという。
ライセンス&プロダクツ事業は、売上高が前年同期比18.3%増の332億6100万円、営業利益は同21.1%増の9億8300万円。既存ユーザーのライセンスの利用が拡大したのに加え、上期中に大型案件のライセンス更新が集中したという。物販は第2四半期に大口案件を獲得したことで大きく伸長したという。「Windows 11への切り替えに向けた受注活動も徐々に本格化してきた。下期の受注に結びつけたい」と語った。
また、金融や製造などのグローバル企業から、Microsoft 365ライセンスのグローバルでの一括契約のニーズが増加。技術サポートを組み合わせた提案が増えているという。ノルウェーのCrayonとの提携によって、日系企業のグローバル展開をクラウドでサポートしていく体制を構築しているほか、シンガポールや米国拠点から、日系企業にアプローチする体制も強化するという。