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Box Japan、2025年1月期の事業戦略を説明 “Box AI元年”としてインテリジェンスを加速

写真左から:Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏、米Box 最高製品責任者(CPO)のディエゴ・デュガキン氏、Box Japan 専務執行役員の佐藤範之氏

 株式会社Box Japanは4月17日、新年度(2024年2月~2025年1月)の事業戦略に関する記者説明会を開催した。

 説明会では、まず米Box 最高製品責任者(CPO)のディエゴ・デュガキン氏が、グローバルの事業方針について説明した。「当社は創業時、クラウド上でのファイル共有とストレージサービスからスタートし、次の第2章では、さまざまなコンテンツの管理と安全確保に取り組み、外部とのコラボレーションや電子サインのワークフローなどをサポートしてきた。そして現在は、最先端のAI技術を活用し、ワークフローの自動化とコンテンツインテリジェンスに注力している。これはBoxの新たな第3章の幕開けであり、世界で最も先進的なコンテンツクラウドの開発を進めている」と述べた。

米Box 最高製品責任者(CPO)のディエゴ・デュガキン氏

 製品戦略に関しては、「コンテンツプロセスのクラウド移行を推進するため、多様なプロセスツールへの投資を行っている。その中核製品として、ビジネスプロセスを構築するノーコードアプリビルダー『Crooze』を買収した。このほかに、ドキュメントをダイナミックに生成する『Box Doc Gen』や、ドキュメントビジネスプロセスを容易に開始できる『Box Forms』、レビューおよび承認プロセスを自動化する『Box Relay』などをラインアップしている」とした。

多様なプロセスツールに投資

 今後の展開についてはAIの取り組みにフォーカスを当て、「従来は非構造化データからメタデータを抽出し、ミッションクリティカルなワークフローに適用させるには膨大な労力とコストがかかっていた。Boxでは、AIを活用することで、このプロセスを大幅に改善することが可能となった。また、Boxのアーキテクチャは最新のAIモデルに対応しており、顧客のAIコンテンツ戦略の将来を保証するコンテンツプラットフォームとなっている。今後は、顧客自身のLLM(大規模言語モデル)とも連携しながら、システム全体でさらにAIを活用できるプラットフォームを目指していく」との考えを示した。

 次に、Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏が、日本市場におけるビジネス概況について説明。「日本市場の売り上げは引き続き絶好調で推移している。昨年度(2023年2月~2024年1月)の世界全体の売り上げは10億ドル超となったが、そのうち日本の占める割合は21%まで拡大した」という。

Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏

 「国内では、年度末のTotal Account Value(年間契約金額)が堅調に増加しており、年間新規受注高の7~8割がupsellとなっている。特に最上位プラン『Enterprise Plus』が急増した。また、Box Consultingの受注高も対前年32%増と急成長を続けている。導入支援に加えて、受注前の活用ケース開拓や文書管理コンサル、受注後の長期支援が伸長した」と昨年度のビジネスハイライトを振り返った。

年度末のTotal Account Value(年間契約金額)推移

 新年度の事業戦略としては、「製品」「市場」「組織」の3つの注力分野を挙げた。「製品」については、“Box AI元年”として、インテリジェンスをさらに加速していく。「現在提供している単一ドキュメント用の『Box AI for Document/Note』に加え、新たに提供する複数ドキュメントに対応した『Box AI in Hubs』を活用し、顧客に必要な情報だけを抽出した企業独自の『AI活用ポートフォリオ』構築を目指す」としている。

Boxの製品ロードマップ

 「市場」については、6つのセグメント(大企業/中堅企業/中小企業/地方企業/金融/公共)ごとの独自課題に対応していく。「これまでは大企業が中心だったが、新年度からはセグメントごとに、営業を軸にPre/Post Sales関連部署が密に連携していく体制を整備した。これにより、特に地方企業、金融、公共セグメントの強化を図る。また、日本社会の成長を支えるため、社会貢献活動にも力を注いでいく」と説明した。

 「組織」については、シリコンバレー企業と日本企業のいいとこ取りを追求していく。「シリコンバレー企業の『迅速な意思決定』、『フラットな上下関係』、『ダイバーシティ』という特徴と、日本企業の『横連携を促すレポートライン』、『チャネル活用』、『Noリストラ経営』という特徴をうまく融合させることで、当事者意識を強く持った働きがいのある会社を目指していく」との方針を示した。

 最後に、Box Japan 専務執行役員の佐藤範之氏が、日本市場における導入状況について説明。「業界をリードするクラウドコンテンツプラットフォームが評価され、現在の有料契約企業数は1万7000社を突破した。日経225の利用企業は73%に達している」とし、昨年度「Enterprise Plus」を全社導入した最新の事例として、産業技術総合研究所、農林中央金庫、パーソル、マックスの4社を紹介した。

Box Japan 専務執行役員の佐藤範之氏