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米Intel、第5世代Xeon SPやXeon D-2800/D-1700、Xeon E-2800などサーバー向け新CPUを正式発表

 半導体メーカーの米Intelは、12月14日(現地時間)に米国ニューヨークで、第5世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサー(以下、第5世代Xeon SP 開発コード名:Emerald Rapids)、および同社のAI向け新製品となるインテルCore Ultraプロセッサーを発表した。

 第5世代Xeon SPは、Intelが2023年1月に発表・出荷を開始した、第4世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサー(以下、第4世代Xeon SP 開発コード名:Sapphire Rapids)と同じ製造プロセスノード、内部アーキテクチャを採用していながら、チップへの実装方法を見直すことで、性能や電力効率などを改善した製品となる。第4世代Xeon SPと比較して、AIで最大42%の性能向上、一般的な用途の処理で最大21%の性能向上を実現したほか、電力効率に関しては36%改善しているという。

 またIntelは同時に、ネットワークエッジ向け製品Xeon Dの最新版となる、Xeon D-2800/D-1700、エントリー向け製品Xeon Eの最新版Xeon E-2800も発表した。

発表された第5世代Xeon SP。1ソケットあたりのCPUコア数が60コアから64コアに増えている

ダイ構成が4ダイから2ダイに減るが、1チップあたりのコア数は増えてソケットあたりの最大コア数は64に増加

 Intelが発表した第5世代Xeon SPは、基本的には第4世代Xeon SPの延長線上にある製品となる。製造プロセスノードは、第4世代と同じIntel 7(従来の10nm Enhanced Superfin)を利用して製造されており、プロセスノード側での性能向上は基本的には微調整のレベルになっている。

Intelが発表した第5世代Xeon SPの、第4世代Xeon SPからのハイレベルの強化ポイント

 しかし、パッケージ内部のアーキテクチャは大きく変更されている、第4世代Xeon SPでは、2つのダイ構成(XCC、MCC)の種類があり、XCCは4つのダイを、Intelの2.5Dパッケージング技術となるEMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)を利用して1つのパッケージに封入している形である。XCCのダイ1つは15コアのCPUコアを内蔵しているため、最大60CPUコアを1パッケージで実現する形になっていた。なお、MCCは1つのパッケージに1つのダイで、最大32コアのCPUを1パッケージで実現可能になっている。

 今回発表された第5世代Xeon SPでは、MCCはそのまま継続(ただし、MCCには省電力に特化したEEMCCが用意される)され、XCCの構造が変更されている。XCCは1つのダイでCPUコアが32コアになるダイを2つ搭載する形になっている。それにより、1つのパッケージで最大64コア(32コア×2)のCPUが実現され、第4世代Xeon SPの最大60コアと比較して2倍になっていることが大きな違いになる。

ダイ構成が変わったことがもっとも大きな変化ポイント

 第4世代Xeon SPでは、各ダイには28.125MB(CPUコア1つあたり1.875MB)のLLC(L3キャッシュ)が搭載されており、パッケージ全体で112.5MBのLLCが実現されていた。今回の第5世代Xeon SPでは、各ダイに160MB(CPUコア1つあたり2.5MB)のLLCが実装されており、パッケージ全体で320MBのLLCが搭載されている。それにより第4世代Xeon SPと比較して約3倍のLLCが実現されていることになる。

 また、対応するメモリのデータレートも引き上げられている。第4世代Xeon SPではDDR5-4800(1DPC時)までの対応にとどまっていたが、第5世代Xeon SPではDDR5-5600にデータレートが引き上げられている。また、CPUパッケージ間を接続するUPIの転送速度も第4世代Xeon SP時の16GT/秒から20GT/秒へと引き上げられ、より広帯域になっている。

CXL 1.1 Type3に新たに対応しCXLでメモリを増設可能、TDXにも大規模対応

 機能面での特徴は大きく2つある。1つは、新しくCXL(Compute eXpress Link)1.1のType3に対応し、CXLのメモリモジュールを2つのモードで利用できるようになっていることだ。そのうちの1つは「2段階メモリサポート」と呼ばれるモードで、ティア1メモリをメインメモリのDRAM、ティア2メモリをCXLのメモリモジュールに設定する。それにより、低遅延のメモリアクセスはDRAMに行い、容量が必要な場合にはCXLメモリ側を使うような形になる。もう1つは「1段階メモリサポート」と呼ばれるモードで、CXLメモリを4チャンネルのメモリとして利用することで、メインメモリの8チャンネルと合わせた12チャンネルとして帯域幅重視で利用する形になる。

CXL 1.1 Type3に対応し、DRAMの8チャンネルと合わせてCXLの4チャンネルの合計12チャンネルメモリとして利用可能

 もう1つの機能面での拡張は、Intel TDX(Trust Domain eXtentions)により広範囲な製品で対応したことだ。すでにIntelは第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーの世代において、SGX(Software Guard eXtentions)を導入し、第4世代Xeon SPでも引き続きサポートしていたが、同時に第4世代Xeon SPでは限定的な条件下で、TDXの実装を開始していた。

 SGXがアプリケーションレベルでのデータの保護を実現するのに対して、TDXは仮想化されたゲストOSのレベルでデータの保護を実現することが大きな違いになる。第4世代Xeon SPでは、CSP(クラウドサービスプロバイダー)向けの特別なバージョンでのみTDXに対応していたが、今回の第5世代Xeon SPでは基本的に、すべてのSKUでTDXのサポートが実装される。

SGXに加えてTDXにも対応する。SGXがアプリケーションレベルでのエンクレーブ(メモリ暗号化空間)を実現するのに対して、TDXではVMレベルでのメモリ暗号化空間を実現

 性能に関しては、第4世代Xeon SPと比較してAIアプリケーションでは最大42%、一般的なアプリケーションでは最大21%、そして電力効率に関しては、SoC内部でのインターコネクト電力効率の改善、VRMの改良によるアイドル時電力効率の改善などにより、34%の改善を見せているという。なお、第5世代Xeon SPは第4世代Xeon SPとピン互換で、BIOSアップデートなどを行えば、CPUを入れ替えるだけでそのまま動作する。

第4世代Xeon SPと比較した性能向上幅
第4世代Xeon SPと比較した各アプリケーションの性能向上幅

 第5世代Xeon SPのSKU構成、および1000個ロット時の価格は下記のようになっている。第4世代Xeon SPでは、HBMメモリを搭載してHPC向けと位置づけられたXeon Maxがラインアップされていたが、第5世代Xeon SPの世代ではHBMメモリ搭載のSKUは用意されず、従来のXeon Maxがそのまま継続販売される。

SKU構成

Xeon D-2800/D-1800、Xeon E-2400も発表され、ネットワーク・エッジやエントリー向けのラインアップを強化

 Intelは第5世代Xeon SPの発表に合わせて、ネットワークエッジ向け、エントリー向けのXeon D/Xeon E シリーズも更新される。

Intelのサーバーロードマップ

 ネットワークエッジ向けのXeon D-2700/D-1700は、Xeon D-2800/D-1800へと強化される。CPUコアが最大20コアから最大22コアに強化され、D-1800には100Gigabit Ethernetが2つ追加されるなどの強化が行われる。こうした強化により、従来世代と比較してWebサービスでは1.15倍、セキュリティでは1.12倍の性能強化が実現されている。

Xeon D-2800/D-1800

 一方、エントリーサーバー向けのXeon Eシリーズは、Xeon E-2300がXeon E-2400へと強化される。CPUコアのアーキテクチャがクライアントPC向けの第13世代Coreで採用されていたRaptor Coveへと強化され、CPUソケットもLGA1700へと変更される。メモリがDDR4-3200からDDR5-4800へと強化され、メモリ帯域幅が上がっているほか、PCI Expressも、従来はGen 4が20レーンだったのが、Gen 5が16レーン、Gen 4が4レーンとなっている。こうした強化により、前世代と比較して一般的な処理で1.3倍、メモリ帯域幅が1.26倍、Wordpressで1.28倍という性能が実現されている。

Xeon E-2400