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ピュア・ストレージ、サブスクモデル「Evergreen」のポートフォリオを拡充 データレジリエンスに注力した新ソリューション発表
2023年10月20日 13:00
ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は19日、ストレージのサブスクリプションモデル「Evergreen」のポートフォリオを拡充し、データレジリエンス(回復力)に注力した新ソリューションを発表した。同日には、今回発表した新ソリューションの概要について説明会が行われた。
ピュア・ストレージは、2015年にEvergreenアーキテクチャを発表し、ストレージの所有モデルに変革を起こして以来、ストレージのサブスクリプション・ポートフォリオを拡大して顧客のニーズに応えてきた。2018年には、業界初のエンタープライズSTaaS(Storage as a Service)として、独自のSLAおよび保証付きのサブスクリプションモデル「Evergreen//One」を発表。さらに、2022年には、機器購入とサブスクリプションのメリットを組み合わせた「Evergreen//Flex」を発表している。
今回のポートフォリオ拡充の狙いについて、ピュア・ストレージ・ジャパン アジア太平洋・日本地域担当 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏は、「現在、多くの企業では、データがさまざまな場所で生成され、分散し、断片化しており、これがデータ管理を複雑なものにしている。そして、データ管理の複雑化にともない、データ損失・サービス停止リスクの増大、不要な出費によるCAPEXの増大、人的負荷の増加によるOPEXの増大といった課題に直面している。これらの課題を解決するべく、今回、Evergreenのポートフォリオをさらに拡充し、データ・レジリエンスに重点を置いた新たなソリューションを提供する」と述べた。
新ソリューションの概要については、「サステナブル」「セキュア」「スマート」の3つのポイントを挙げて説明した。「サステナブル」では、業界初のコミットメントとして、「Evergreen//One」と「Evergreen//Flex」のサブスクリプションにおいて、顧客のSTaaSの運用に必要な電力とラックスペースのコストをピュア・ストレージが負担する。支払いは、現金またはサービス・クレジットでの一括前払いで、キロワット毎時(kWh)とラックユニット(RU)の固定レートに、顧客の地理的位置と契約の規模に応じた設定額を加えた金額となる。これにより、顧客の財務部門では電力とスペースのコスト削減というメリットを得ることができる。
また、SLA要件を拡大し、新たに「データ移行不要」と「データ損失ゼロ」の保証を追加した。これにより顧客は、アップグレード中も業務が継続できるだけでなく、データ損失のインシデントによる予期せぬコストを低減できる。ピュア・ストレージでは、「データ損失ゼロ」保証によって、ハードウェアまたはソフトウェア製品に関連するあらゆるインシデントに対して、高度なデータ・リカバリ・サービスを無償で提供し、データを確実に保護する。また、「データ移行不要」保証では、テクノロジーのアップグレードをシームレスに、データ移行をともなわずに提供し、顧客の総合的なリスク・エクスポージャーを軽減し、所有コストと電子廃棄物の削減を可能にする。
「セキュア」については、災害やサイバー障害発生時の複雑さ、コスト、復旧までの時間、ビジネスの中断リスクを大幅に低減するため、新たに消費ベースのDRaaS(Disaster Recovery as-a-Service)ソリューション「Pure Protect//DRaaS」を提供する。顧客は、オンプレミスのvSphereデータのクリーンなコピーを、ネイティブなAWS EC2環境にリカバリするためのリストア・ポイントを複数持つクリーンな環境を利用できるようになる。基盤となるストレージインフラの種類は問わず、調査が必要なデータセンターは隔離された状態を維持する。
また、Pure1データ保護アセスメントの一環として、データ・レジリエンス・スコアを表示する。このスコアは、基礎的な機能(スナップショット、SafeMode)と、高度な機能(ActiveDR)の活用状況を0~5で評価するもの。これにより、ピュア・ストレージとパートナーのデータ保護/バックアップ・テクノロジーの活用状況の透明性を確保することで、ピュア・ストレージの運用の信頼性を高め、リーディング・プラクティスに照らしたフリート構成全体の評価を可能にする。
「スマート」では、AIを活用した新たなサービス・エクスペリエンスで大規模な運用をサポートする。AI駆動型の資産・ライフサイクル管理サービスとポリシーベースの自動化により、場所・規模を問わず、顧客はオペレーショナル・エクセレンスを達成できる。
具体的には、アセットと系譜の管理では、顧客とピュア・ストレージの連携を通じた、ストレージ運用管理の人件費の最適化を可能にする。顧客がEvergreenのアセット、契約、サブスクリプション、ライフサイクルを管理するために必要な情報の透明性を高め、容量、エネルギー、ラックスペースの使用状況を可視化。さらに、ソフトウェアの更新、移行、拡張、契約更新など、各アセットやサブスクリプションが時間の経過とともにどのように進化してきたかを確認できる。また、EOL、アップグレード、契約満了など、今後のライフサイクル・イベントに関する情報も得ることができる。
サブスクリプション・ライフサイクルの管理を支援するサブスクリプション・ビューアでは、サブスクリプションに関して注意が必要なケースや更新のタイミングの把握、およびリザーブ・コミット対オンデマンド消費を最適化するための実用的なアラートによる容量利用率の予測追跡が可能となった。新しいサービス・レベル・インジケータによって、ピュア・ストレージが性能と効率のSLAをどの程度満たしているかを追跡できる。また、将来のニーズに備えたプランニングや、アプリ内のワークフローを利用した見積もり依頼も可能となった。
AIを活用したレコメンデーション機能については、「AIによる実用的なレコメンデーションを提示することで、容量・性能の不足を回避する。例えば、『アレイの使用量が96%に達していて、このまま使い続けると3か月以内に100%を超えてしまうが、37TBモデルに容量を増やすことで1年間延長できる』など、これまで社内のSEが行っていたことを、AIがストレージの稼働実績から自動で分析し、提案する。これにより、保守業務にかかっていた人的工数を、ビジネス業務に転換することが可能になる」(岩本氏)と説明した。