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NTTドコモ、オープンRAN向けソリューション「OREX」のサービスラインアップを発表

 株式会社NTTドコモは27日、オープンRAN向けソリューション「OREX」について、海外通信事業者に提供するサービスラインアップ「OREX RAN」「OREX SMO」「OREX Services」を発表した。同サービスラインアップの発表により、OREXが提供するサービスを海外通信事業者へ明示することで、相互に理解を深め、OREXのさらなる拡大を図るとしている。

 OREXは、NTTドコモと多様なグローバルベンダーが連携して提供するオープンRANサービスブランドで、顧客一人一人の課題に寄り添い、最適なオープンRANを提供すると説明。OREXのオープンRANサービスの導入により、オープンRANを導入する際に必要となる初期費用や維持管理費などの総保有コスト(TCO)を最大30%削減し、ネットワーク設計稼働を最大50%削減するとともに、基地局における消費電力を最大50%削減するとしている。

「OREX」が提供するオープンRANサービス(OREX Packages)

 OREX RANでは、さまざまなベンダー製品を組み合わせることが可能となるオープンRANの特徴を生かした、コストパフォーマンスの高い基地局を提供する。具体的には、NTTドコモが4G時代から複数の通信機器ベンダーを組み合わせて通信ネットワークを構築してきた知見を生かし、OREX PARTNERS 13社の強みを融合した仮想化基地局(vRAN)、および各国の周波数に対応した無線装置(RU)を提供する。今回、新たにRUベンダーが7社加わることで、これまで以上に多くの顧客の要望に対応する。

 OREX SMOでは、無線アクセスネットワークの設計・設定・監視を効率化するために、自律的に最適な装置運用を実現できる、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が開発したソフトウェアを提供する。OREX SMOを導入することで、これまでは数週間を要する複雑なケースにおけるネットワークの設計業務を自動最適化し、設計稼働を最大50%削減する。さらに、通信エリアを確保する上で重要な、基地局のアンテナ角度を調整する運用業務を自動化することで、運用稼働も削減する。また、OREX SMOは、O-RAN ALLIANCEが規定する標準仕様に準拠している。

 OREX Servicesでは、OREX RANおよびOREX SMOの導入時に必要な調達やシステムインテグレーションなどのサービス、導入後の運用サポートやメンテナンスサービスなどを提供する。

 NTTドコモでは9月22日に、NTTドコモの5GネットワークにOREX RANとOREX SMOを先行導入し、運用を開始した。今回導入したのは、富士通株式会社の基地局ソフトウェア、Wind Riverのクラウド仮想化基盤、 NVIDIAのアクセラレーター、インテルのプロセッサを採用した汎用サーバーを組み合わせたもので、今後、NTTドコモのネットワークにおける運用実績を踏まえ、OREXのオープンRANサービスの改善や、OREX製品の組み合わせを拡大し、さらなるコストパフォーマンスと信頼性の向上を図るとしている。

 また、NTTドコモはOREXを通じて、世界の通信事業者のオープンRANの導入支援を行い、オープンRANの早期普及に向けて、今後も世界中のパートナーとの連携を強化し、活発なエコシステムの創出に貢献していくと説明。加えて、NTTグループが推進するIOWN構想におけるオールフォトニクスネットワークの伝送区間への適用、光電融合デバイスを搭載した低消費電力サーバーのネットワーク機器への活用、OREX SMOのコグニティブファウンデーションとの連携などを進めていくとしている。