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NTTデータ、金融機関向けに業界横断でのAI活用を推進する共同利用型のAI基盤を構築

 株式会社NTTデータは19日、金融機関全体のAI活用を推進するため、金融機関向けに共同利用型のAI基盤の構築を開始すると発表した。提供開始は2026年度末を予定している。

 NTTデータは、金融機関では情報漏えいや誤出力などAIサービス導入に伴う新たなリスク管理の課題が顕在化していると説明する。さらに、勘定系・営業支援・文書管理といった複数の業務システムにデータが分散してAIが参照すべき情報が断片化する課題や、高度なAI知見を有する人材の確保が困難な課題にも直面しているという。これらに加えて、特定製品・技術に依存した場合に、将来的な移行コストや拡張性の低下を招く懸念なども生じている。

 NTTデータはこうした課題に対し、特定の部門や個別プロジェクトに限定せず、組織的かつ継続的にAIを活用していくため、複数の金融機関で共同利用できる基盤を提供する。

金融機関向け共同利用型AI基盤の構成イメージ

 AI基盤は、「金融機関に求められる信頼性を担保するAIガバナンス」「既存資産を最大限活用するデータ統合」「特定のAIモデルなどに依存しないマルチベンダーによる柔軟な技術選択」「業界横断で知見を共有する共創基盤」の4つの設計思想に基づいて構築する。

 金融機関に求められる信頼性を担保するAIガバナンスに向けては、AI基盤はAIの回答精度・公平性・根拠の透明性をリアルタイムで監視・評価する。各金融機関の内部監査部門や法令順守部門が入力、参照情報、出力、評価結果などの記録を追跡・検証できるしくみを備えることで判断根拠を可視化し、金融機関に求められるリスク管理指針にも対応した運用体制の確立を支援する。最終的な人の意思決定を支援することで、窓口担当者から経営層まで安心してAIを活用できる環境を整える。なお、AI基盤は金融庁が示す論点整理なども踏まえてNTTデータが設計する。

 既存資産を最大限活用するデータ統合に向けては、各金融機関が保有する顧客データや取引データ、非構造化データ(稟議書、議事録、提案書など)を一元的に統合・活用するデータ基盤を整備する。さらに、NTTデータが提供する勘定系システムやANSERなど既存プラットフォームとのシームレスな接続を実現し、既存資産・保有データを活用して、段階的にAI活用領域を拡大できる設計を採用する。

 特定のAIモデルなどに依存しないマルチベンダーによる柔軟な技術選択に向けては、AI基盤はNTTデータのAI関連サービスである「LITRON」を中核としつつ、特定のAIモデルやクラウド事業者に依存しないオープンかつマルチベンダーでの設計とする。基盤の各構成要素を機能ごとに分割した構造とすることで、将来に優れた新技術が登場した際にも、基盤全体の再構築を要さずに最適な構成への組み換えを可能とする。加えて、NTTデータの専門性の高い人材が、国内外の先進的なAI企業とのアライアンスを活用しながら、金融機関ごとのニーズに応じた最適な技術を提案する。

 業界横断で知見を共有する共創基盤に向けては、AI基盤は各金融機関が保有するAI活用ノウハウや技術要素を共有し、その利用実績・評価結果・改善知見を業界の知見として蓄積・活用できるしくみを備える。各金融機関が開発したユースケースや外部企業が提供するユースケースを、事前許諾のもと柔軟に再利用できる構造とすることで、各金融機関独自の取り組みを業界全体へ展開可能とする。こうした共創環境を整えることにより、AI基盤が金融機関の継続的なAI活用の進化を支えられるようにする。

 NTTデータは、金融機関が独自のユースケースを構築し競争力を高める「差別化領域」と、業界として共通化してコスト低減・ノウハウ流通をはかるべき「共存領域」を両立する基盤を提供する。これにより、各金融機関は自らの強みを発揮しながら、相互の知見を活用した発展が可能になると説明する。また、NTTデータがAI基盤に対し、継続的なセキュリティ強化や機能拡張を行うことで、金融機関が長期的に安心して利用できる運用環境を提供するとしている。