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Dell、未発表のAMD VeniceやIntel Diamond Rapids搭載製品を含む第18世代PowerEdgeサーバーを発表
Dell Technologies World 2026 2日目レポート
2026年5月20日 12:44
米Dell Technologies(以下、Dell)は、同社の年次イベント「Dell Technologies World 2026」(以下DTW 26)を、5月18日~5月20日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガス市の「The Venetian Expo」において開催している。5月19日の午前中(日本時間5月20日未明)には、2日目基調講演が行われ、データセンター向けのサーバー製品などが発表された。
発表されたのは、第18世代となるPowerEdge製品など。開発コード名「Venice」で知られる、最大256CPUコアだとDellが説明したAMDの第6世代EPYC、開発コード名「Diamond Rapids」で知られるIntelの次世代Xeonなど、未発表のCPUを搭載したx86サーバー製品群だ。
Google Cloud CEOやOpenClaw Foundation共同創業者などの注目のゲストが登壇
DTW 26の基調講演は、初日と2日目の午前中(現地時間10時から)と、2回開催されている。
初日の基調講演は、創業者・CEOのマイケル・デル氏が登壇したことからもわかるように、全体の方針などを説明する基調講演となっている。今回は、ゲストにNVIDIA 共同創業者・CEO ジェンスン・フアン氏が登壇したこともあり、NVIDIA GPUを活用したAIファクトリーのアップデートなどを中心に内容が構成されていた。
それに対して2日目の基調講演は、より詳細な製品説明などに当てられており、COOのジェフ・クラーク氏やインフラソリューション事業本部 事業本部長のアーサー・ルイス氏が登壇するなど、製品により近い幹部が登壇して説明を行う機会になっている。
今回の講演では、1人のビデオゲストと1人の対面参加ゲストが呼ばれた。
前者はGoogle Cloud CEO トーマス・クリアン氏。クリアン氏は、Google CloudとDellが昨日発表した、Google Distributed Cloud(GDC)のGemini 3 FlashがDellのPowerEdgeに搭載されるというアナウンスについて触れ、Dellがそのカスタマーゼロとなって採用が決まっていることなどが説明された。
対面のゲストは、Offline Ventures共同創業者で、OpenClaw Foundation共同創業者 兼 取締役のデーブ・モーリン氏。OpenClawは本年に入ってから急に注目を集めているエージェント型AI(またはフロンティア・エージェント)で、人間が行ってきたような業務を自動的に処理するAIエージェントだ。OpenClawそのものはオープンソース(MITライセンス)で、誰でも自由に、かつカスタマイズして自社ソフトウェアなどに組み込んで利用することが可能だ。
モーリン氏は「AIエージェントを大企業に持ち込む時の最大の課題は、セキュリティと可観測性だ。理解しないといけないのは、このAIエージェントは何をしているのかということだ。AIは、起動した瞬間は何も知らない。そのため、正しい文脈と重要なデータへのアクセス権を与え、かつAIエージェントが何をしているかを追跡できることが重要だ。ここ数カ月、われわれがOpenClawを構築していく中で学んだことは、エージェントには必要最小限のアクセスだけを与えることで、同時にエージェントの動きを観測できるレイヤーを構築しておくことだ」と述べ、OpenClawのようなエージェンティックAIは便利で、高い生産性向上を実現するが、その一方で、エンタープライズにとっては正しいアクセス権の設定や効率の良い監視体制の構築が重要だと説明した。
Dellのクラーク氏は、OpenClawやコード生成AIエージェントなどを利用しているプロフェッショナル向けに「今、エンジニアは1日に3400ドルものクラウドコストをかけて10以上のAIエージェントを走らせている。しかし、それをGB10やGB300のようなワークステーションに切り替えることで、コストはゼロにできる」と述べ、前日の基調講演でDellが発表したDell Deskside Agentic AIの仕組みとDell Pro Precisionワークステーションを利用すると、演算にかかるコストをイニシャルコストだけにできると強調。クラウドからワークステーションへの乗り換えをアピールした。
昨年から変わった10のこと、そしてAIネイティブな企業になるために必要な5つのこと
Dellのクラーク氏は、昨年のDell Technologies Worldからアップデートされたこととして、次の10のことを指摘した。
1)AIはアドバイザーから実行者に変化した
2)AIモデルの価格は80%下落した
3)トークンの消費は10倍に増えた
4)文脈を理解して行う処理は数百万のトークンを消費する
5)学習によるモデル構築の段階を終え、それに基づいて推論を走らせる段階に到達した
6)生成AIのソフトウェアコストは3倍になった
7)フィジカルAIは研究開発から実用の段階になった
8)PCはAIスタックの一部になった
9)性能に関する疑問が逆転した
10)AIに関する質問は大きく変わった
要するに、全体的なトレンドとして、AIモデルを重要視してそれにお金をかける段階は終わり、推論に使用するトークンの数が10倍になるなど爆発的に増え、そしてそれに合わせてAIにかかるコストは3倍になったということだ。
つまり、AIは開発段階から実用段階に入ったというのが、クラーク氏の言いたいことである。
クラーク氏はそうしたAIを巡る環境の変化の中で、「今後重要になるのは、大企業がAIネイティブになっていくことだ」と述べ、AIを当たり前のように使える企業になっていくことが他社との競争で生き残っていく上で重要なことだと述べた。
その上で、大企業がAIネイティブになるためには、5つの条件があると述べ、それは以下の通りであると指摘した。
1)AIレディなデータ基盤を構築すること
2)分散型のAIインフラを構築すること
3)安全な自動化システムを構築する
4)エンタープライズ・ソフトウェア基盤を統合する
5)エージェント型AIとトークン使用の構造を再構築すること
こうした5つの条件を満たすようなAI環境を作っていくことが、AI時代のIT環境構築に重要だという。
AMDやIntelからは未発表のCPUを搭載した第18世代のPowerEdgeが発表される
講演の後半では、Dell Technologies インフラソリューション事業本部 事業本部長 のアーサー・ルイス氏が、データセンター向けのサーバー製品など紹介した。
今回Dellは、データセンター向けのソリューションとして、x86サーバーであるPowerEdgeシリーズの新製品を発表した。具体的には、同社が第18世代と呼ぶ次世代の製品で、AMDやIntelの未発表CPUなどを採用している。なお、DellのPowerEdge製品では、4桁の製品番号の2桁目が世代を示しており、2桁目の数字が8になっている製品が第18世代であることを示している。
AMDの開発コード名「Venice(ベニス)」こと、第6世代EPYCとなる予定の製品を採用しているのが、液冷のPowerEdge M9825、空冷のPowerEdge R9825(デュアルソケット、3U)、PowerEdge R9815 (シングルソケット、2U)、PowerEdge R8815(デュアルソケット、1U)、PowerEdge R6815(デュアルソケット、1U)、PowerEdge R7815(デュアルソケット)、PowerEdge R7815xd(シングルソケット)の各製品だ。
Dellによれば、PowerEdge R9825とPowerEdge R9815は、最大で256コアの第6世代EPYCに対応するとされており、AMDからは未発表の第6世代EPYCには、最大256コアのCPUがラインアップされることが明らかになったわけだ。
一方で、IntelのPコア搭載次世代サーバー製品となる、開発コード名「Diamond Rapids」を採用しているのがPowerEdge R9810となる。シングルソケットの2Uサーバーで、コア数が50%増えるとDellは説明している。
Dellによれば、第18世代は第17世代に比べて性能が70%高まっており、対量子コンピューター耐性などの特徴を備えている。出荷は本年後半になる見通しだ。
フラッシュ・ストレージ製品となるPowerStoreにおいても、新製品PowerStore Eliteが発表されている。PowerStore製品としては第3世代となる製品で、第1世代と第2世代が同じハードウェアインフラを共有していたのに対して、第3世代では完全に新しいハードウェアインフラが導入され、今後何年にもわたって、この新しいインフラをシェアしていく方針が明らかにされている。
第3世代では、シャーシが2Uから3Uに拡張されて冷却系に余裕ができ、システム全体の性能が上がっているだけでなく、最大5.8PBのストレージを格納できる。さらに「データ削減率」(Data reduction guarantee)は6:1に強化されており、データの効率的な保存が可能になる。また、後述するDell Private Cloudにも対応している。
Dellによれば、第3世代のPowerStore Eliteは、本年7月から提供開始予定だ。
バックアップを強化するPowerProtect One、環境構築を簡単に行えるDell Automation Platformなどを発表
Dellはデータセンター向け製品のセキュリティ性や管理性の向上に関しても発表している。セキュリティ関連では、バックアップアプライアンスとして「Dell PowerProtect One」が発表されている。
PowerProtect Oneは、包括的なサイバー耐性プラットフォームとして、データ保護と迅速な復旧を一元化することが可能になる。1Uのバックアップ用サーバーと、2Uのストレージ用サーバーから構成されており、1つの製品でバックアップとその管理を行える。PowerProtect Oneを利用すると、セキュリティの集中管理が可能になり、管理負荷を50%削減しながら、データ削減効率と大規模環境でのリカバリ性能を実現するという。
もう1つのCyber Detectは、PowerStoreやPowerMaxにAIを活用したランサムウェア検知を導入し、99.99%の精度で攻撃を特定、迅速な復旧を支援するソフトウェア。
また、Dell Private Cloud(データセンター向け)、Dell Distributed Private Cloud(SOHOやエッジ向け)の機能強化が実現されている。その目玉と言えるのがDell Automation Platformで、サーバーが設置された後、運用開始(デプロイ)をソフトウェアから簡単に行えるという。























