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営業DXサービス「Sansan」、新規顧客開拓を支援する新機能を順次提供へ

 Sansan株式会社は2日、名刺管理を中核とした営業DXサービス「Sansan」において、既存顧客ではない新規顧客を開拓する際に、受注確度の高い営業リストの作成から顧客へのアプローチまでを一貫して行える「新規顧客開拓ソリューション」を発表した。SansanのStandardプラン以上の中で提供され、新規顧客開拓ソリューションに含まれる機能は、順次リリースしていく予定。

sansan「新規顧客開拓ソリューション」

 新規顧客開拓ソリューションには3つの機能が含まれる。

 「拠点情報」は、9月中の実装を予定している。Sansanに標準搭載されている、100万件を超える企業情報や帝国データバンクとの提携による規模や業績などのデータに加えて、法人単位より細かい拠点単位の情報を追加する。これによって、より精緻な営業リストが作成できる。また、名刺データによる接点情報も拠点単位でひも付けることができる。

 「ターゲティングタグ」は、すでに実装済み。企業情報上でそれぞれの企業に95のタグでラベリングし、100万件の企業リストから絞り込むときに使える。タグには、「設立5年以内」「セミナー開催実績」「中途採用実施中」「増収増益」といったものがあり、Sansanが独自に付けている。

 「営業リストの作成・共有機能」は順次開発予定。Sansan上で簡単に営業リストを作成して保存し、組織内で共有ができる機能だ。

新規顧客開拓ソリューションの3つの機能
「拠点情報」の機能
「ターゲティングタグ」の機能

“名刺交換後の営業”の支援だけから、“未開拓企業への営業”の支援にも利用範囲を拡大

 Sansanが8月2日に開催した記者発表会では、Sansan株式会社 取締役/執行役員/COO 富岡圭氏と、Sansan株式会社 執行役員/Sansan事業部 事業部長 小川泰正氏が、事業戦略および新規顧客開拓ソリューションについて説明した。

 Sansanサービスはもともと企業のクラウド名刺管理サービスとして開始し、2022年6月に「営業DXサービス」へとかじを切った。それまでも、社内にある顧客との接点情報を営業に生かすサービスだったが、名刺情報だけでなく「営業を強くするデータベース」としてアップデートした、と富岡氏は説明。具体的には、名刺以外のメールや問い合わせなどのさまざまな接点情報を蓄積できるようにし、また、企業データベースも実装した。

 このように営業DXサービスに転換した結果、2023年6月単月で、Sansanに取り込まれた接点数は約980万と過去最高。解約率は過去最低水準の0.44%。売上はARRで200億円を突破したと富岡氏は報告した。

接点情報の拡充
企業データベースを実装
Sansan株式会社 取締役/執行役員/COO 富岡圭氏

 また小川氏は、これまでのSansanは「名刺交換などの接点を持った後に、営業を強くする」という既存顧客のためのものだったと分析。そして「これからのSansanは、未開拓の企業など、名刺交換の有無にかかわらず、営業を強くすることを支援する」として、新規顧客開拓ソリューションを発表した。

 小川氏は、新規顧客開拓における営業リストの課題として、企業データを購入するなどしかないという「もととなる企業リストの入手が大変」、規模や業種で絞り込むなどの「狙いたい条件での企業の抽出が困難」、代表電話番号や住所しか情報がないという「アプローチの手段が限定的」の3つを挙げた。

 これに対して、すでにSansanが提供している機能から、「企業データベース」「企業の抽出」については帝国データバンクとの提携による100万件を超える企業情報を、アプローチの手段としては、名刺やメールなどの接点管理情報と、企業情報に含まれる役職者情報を小川氏は挙げた。

 それに加えて新しく提供するのが、前述した、新規顧客開拓ソリューションに含まれる3つの機能だ。

名刺交換後の営業の支援から、未開拓の企業への営業も支援
新規顧客開拓における営業リストの課題
新規顧客開拓ソリューションの全体像
Sansan株式会社 執行役員/Sansan事業部 事業部長 小川泰正氏

大阪営業部を新設して営業先を探すデモ

 記者発表会では、新規顧客開拓ソリューションについてストーリー仕立てでデモも行われた。架空の関東のオフィス家具販売会社が、大阪に販路を拡大するために大阪営業部を新設したという設定だ。なお、画面は開発途中のもので、決定したものではないという。

 デモでは、まず営業部長がSansanにログインして企業DBにアクセス。100万件を超える企業情報から、ターゲティングタグにより、都道府県が大阪府で、従業員数が500人以上の企業に絞り込み。さらに、新規顧客開拓ということで、契約が「なし」、企業動向で「増収損益」、接点が「あり」という条件を追加して、33社に絞り込んだ。そしてこの営業リストを営業担当者と共有した。

企業リストからターゲティングタグで絞り込む
100万件から33社に絞り込んだ
営業リストを営業担当者と共有

 営業担当者がその営業リストを開くと、画面右にそのリストにある企業に関連したニュースが表示される。その中から、新しい拠点を開設したというニュースが出ていた企業をピックアップ。業績などの企業情報を表示した。

 さらに、相手企業の役職者リストから、過去に接点を持っている人と、そのときに接触した自社の人間の情報を調べた。経緯を見ると、相手企業から問い合わせがあったがお断りしていることがわかり、当時は大阪営業所がなかったから断ってしまったようにも見える。そこで、営業担当者は、その接触した自社に人間に、事情を尋ねるメッセージを送った。

営業担当者が受け取った営業リスト。右に関連ニュースが表示されている
業績などの企業情報を確認
役職者リストから過去の接点を調べる
過去の接触情報を見る
過去に接触した人に事情をメッセージで尋ねる