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チェック・ポイント新社長、「包括的、統合的、協働的な製品群で、最高のセキュリティを実現する」

 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(以下、チェック・ポイント)は13日、事業戦略説明会を開催し、5月に日本法人の新社長に就任した佐賀文宣氏が、複雑化する脅威に対する同社のアプローチについて語った。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ 日本法人社長 佐賀文宣氏

 佐賀氏は、同社の脅威インテリジェンス部門であるCheck Point Researchの調査から、「ロシアによる戦争の長期化の影響で、サイバー攻撃が世界的に急増し、過去最高の件数を記録している。特にアジア太平洋地域では、2023年第2四半期における企業と組織へのサイバー攻撃が、1組織あたりの週平均攻撃数で前年比22%も増加した」と指摘する。

増加するサイバー攻撃

 また、「顧客からは守るべき対象が増えたとの話をよく聞くようになり、ゼロトラストへの意識も高まっている」と佐賀氏。事実、Check Point Researchの調査でも、2019年には攻撃手法とその防御策を組み合わせた対策手段が416通りとなっていたが、2022年には1000通りを超え、3年で倍以上になったという。

 守るべき対象が増えたからといって、その都度新しいセキュリティアプライアンスやソフトウェアを追加すると管理しきれない。佐賀氏は、「複雑化・多様化する脅威に対応しようとポイントソリューションを導入しても、それぞれが連携できない状況では社会全体の安全確保も難しい」と話す。

 そこで、チェック・ポイントでは、「顧客企業の規模に関わらず、Comprehensive(包括的)、Consolidated(統合的)、Collaborative(協働的)という『3C』の要素を兼ね備えた製品群を提供することで、最高のセキュリティを実現する」という。

「3C」でベストセキュリティを実現

 「包括的とは、プログラムのコードからクラウド、ネットワーク、ユーザー、メール、IoTに至るまで、あらゆる攻撃ベクターを検知し、徹底的に防御すること。統合的とは、必要なセキュリティ対策がすべてそろった統合アーキテクチャを採用して運用コストを削減し、重要なセキュリティ課題に集中して対処することだ。協働的とは、さまざまなソリューションと製品を連携して脅威に対応すること。例えば、あるエンドポイントで見つかった攻撃情報を、クラウドやネットワークなど他のサービスを通じて共有し、リアルタイムのインテリジェンス情報によって防御する、といったようなことを指す。このように、包括的で統合され、連携して動くソリューションを、日本でも多くの顧客に知ってもらいたい」(佐賀氏)。

 そこで日本での戦略として、「まずは、当社と一部パートナーでしか提供できていないクラウドやエンドポイントなどの新ソリューションに対するサポート体制を、パートナーやディストリビューターと共同で強化する」という。また、「従業員500~2000人以下の中堅企業(SMB)への提案体制を強化して市場カバレージを拡充し、短期的な成長を図るほか、官公庁や地方公共団体、国が重要インフラと定義する業種への営業体制を強化することで長期的な成長を目指す」としている。

日本の戦略

 SMBへの提案に関しては、SMB向けに設計されたセキュリティ製品群として「Infinity Spark」というスイート製品を提供する。これは、セキュリティの専門人材が不足しているSMBでも導入や運用が容易になるよう最適化されたオールインワンプラットフォームで、次世代ファイアーウォールの「Check Point Quantum Spark 1500 Pro」や、クラウド型メールおよびファイル共有アプリなどを包括的に保護する「Check Point Harmony Email & Collaboration」などが含まれている。

Infinity Spark

 また、マネージドサービスセキュリティプロバイダー(MSSP)パートナーと連携し、SMB向けにマネージドサービスも提供しているという。

 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ サイバー・セキュリティ・エバンジェリスト Office of the CTO セキュリティエンジニアの高橋弘之氏は、「SMBでは、エンタープライズとは異なる特有の課題を抱えている。社内に専任の管理者がいないケースが多いことや、セキュリティ対策にコストをかけられないこと、また、セキュリティソリューションを導入しても運用ができず、パッチの適用やセキュリティポリシーの最適化が難しいといったことなどだ。こうした課題に対し、SMB向けの製品やマネージドサービスで支援していきたい」としている。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ サイバー・セキュリティ・エバンジェリスト Office of the CTO セキュリティエンジニア 高橋弘之氏
SMB特有の課題に対応

 今後のパートナー戦略について佐賀氏は、「これまでのパートナーとの関係を大切にしていくことはもちろんだが、新サービスも加えて市場を急激に伸ばすとなると、新しいパートナーの力も必要になる。特に、SMBに強いパートナーや、全国にディストリビューション機能を持つパートナーなどとの連携を強化していきたい」と述べた。