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富士通、SAPジャパン・尾張陸運の協力により物流事業者の増収増益を図る仕組み「合い積みネット」の有効性を確認

 富士通株式会社は15日、物流事業者が所有するトラックの積載率を可視化する仕組み「合い積みネット」を、SAPジャパン株式会社および尾張陸運株式会社と共同で検討を重ね、有効性と実現性を確認したと発表した。

 国土交通省の統計によると、現在国内の営業用トラックの車両積載率は40%未満であると言われ、またトラックドライバー減少や2024年問題(トラックドライバーの法的な労働時間規制)が大きな物流業界の課題となっている。さらに2030年には、全国の35%の荷物が運べなくなるという「物流クライシス」の未来予測が、社会課題として認識されるようになり、荷主企業においても事業継続の重要な課題となっており、物流事業者は、限られた車両・ドライバーと労働時間で、トラック車両積載率を向上し、より多くの荷物を効率良く運ぶ必要に迫られている。

 こうした業界課題、社会課題を解決するため、富士通はSAPジャパンおよび尾張陸運と、物流事業者の増収増益のための仕組みを「合い積みネット」として検討を重ね、SaaS型配車支援システム「Logifit TM-配車」を活用し、有効性と実現性を確認した。

 「合い積みネット」は、物流事業者にとって、既存荷主のベースカーゴだけではドライバーの労働時間制約により、これ以上の収益向上が難しい、また積載率が低い事を認識しながらも、数値として可視化できていないため、施策が打てないといった課題に対する解決の仕組みとなる。

 ベースカーゴ積載率を可視化し、運行の隙間や帰り便にスポット貨物を合い積みすることにより積載率を向上させ、ドライバーの規定の労働時間内で既存車両による収益向上を劇的に向上させる事を意図している。この取り組みでは、運行中の積載率の可視化と配車計画の精緻化のために、富士通のSaaS型配車支援システム「Logifit TM-配車」を利用する。

 Logifit TM-配車は、配車担当者の配車業務をサポートし戦略的物流を支援するサービス。配車担当者による属人的な配車計画業務をデジタル化することで、積載率向上を図り、配送コスト適正化、計画業務効率化、輸送品質向上を実現致します。さまざまな物流情報(拠点位置、配送先、車両、荷物など)と制約条件をデータとして連携し、車両積載率、実車率を向上させる最適な配送計画を立案する。

 実証では、尾張陸運株式会社の物流拠点における配送貨物情報を元に、帰り便活用と複数荷主の荷物を合い積みする配車計画立案を実施した。通常配送時の売り上げ・営業利益・コストと比較・検証した結果、売り上げは約1.2倍であるのに対し利益は約4.0倍となるといった有効性と実現性が確認できたという。

 富士通は今後、合い積みネットを物流業界に対し認知拡大を行い、物流業務のデジタル化を促進し、ロジスティクス分野での社会課題解決に貢献していくとしている。