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OutSystems、クラウドネイティブアプリ開発用のローコードソリューションを日本で提供開始

 OutSystemsジャパン株式会社は14日、クラウドネイティブアプリケーション開発用のローコードソリューション「OutSystems Developer Cloud(ODC)」を日本市場で提供開始したと発表した。2022年11月にグローバルで発表したソリューションで、4月第1週から日本リージョンで利用可能になったという。

 OutSystemsジャパン ソリューションアーキテクトマネージャーの廣瀬晃氏は、同社の提供するローコードソリューションの特徴について、「他社のソリューションは一般的な開発領域のみをカバーしていることが多いが、OutSystemsではプロの開発者やエンタープライズ開発者向けのハイパフォーマンスなローコードアプリケーションプラットフォームを提供している。フロントエンドからバックエンドまでフルスタックでの開発をサポートし、大規模環境でも安心して活用できる」と説明する。

OutSystemsジャパン ソリューションアーキテクトマネージャー 廣瀬晃氏
OutSystemsはほぼすべてのビジネスソフトウェア領域で活用できるという

 OutSystemsジャパン シニアソリューションアーキテクトの阿島哲夫氏は、「ODCで目指しているのは、より高い生産性と、ミッションクリティカルなシステムも含めあらゆるユースケースに対応すること、そして常に変化するシステムに対応することだ」と語る。

 「クラウドネイティブなインフラの構築や運用には、各分野に精通した人材が求められ、数千万円以上の費用と12カ月以上の時間がかかるといわれている。しかしODCを活用すれば、高度なクラウドネイティブインフラがフルマネージドで提供されるため、アーキテクチャがすべて用意された状態から開発をスタートできる」と、阿島氏はODC活用のメリットを強調した。

OutSystemsジャパン シニアソリューションアーキテクト 阿島哲夫氏
ODCは高度なクラウドネイティブインフラをフルマネージドで提供する

 ODCは、Kubernetes中心のアーキテクチャで、最新の認証方式に対応する。「OutSystemsのプラットフォームサービスと、アプリケーションのランタイムが分離されているのも大きな特徴だ」と阿島氏。また、ODCでのアプリケーション開発は、従来のOutSystems 11と基本的に同じであるため、OutSystems 11によるアプリケーション開発の経験があるエンジニアは、スキルをそのまま生かすことができるという。

OutSystems 11のユーザーは既存のスキルを活用できる

 ただし、アプリケーションの実行環境であるインフラは、ODCとOutSystems 11で異なり、「ODCではKubernetes、Linuxコンテナ、Amazon Aurora PostgreSQLといった環境でアプリケーションが実行され、作成されたアプリは.NET CoreとReact.jsでフィードされる。OutSystems 11では、AWSや顧客が管理するインフラ上での実行もサポートしていたが、ODCでは当面OutSystems Cloudのみで適用される」と阿島氏。将来的には、顧客が管理するAWSやAzureインフラ上に構築されるKubernetes環境もサポートする予定だとした。

OutSystems 11とODCのインフラ

 阿島氏は、今後提供予定の機能も複数紹介した。まずは、カスタムコードでの拡張だ。現在のODCでは、標準機能で足りない部分をプログラミング言語で拡張することはできないが、より幅広いユースケースに対応するためカスタムコードで対応できるようにする。この機能は、2023年前半には提供予定だという。

カスタムコードの拡張機能(2023年前半提供予定)

 同じく2023年前半には、外部データとの連携や、IPアドレスを制限する機能も提供する。外部データとの連携では、さまざまなデータソースからのマッシュアップをサポートし、データソースに関係なく統一されたデータ表現でアプリケーションの開発が可能になる。

外部データ接続機能(2023年前半提供予定)

 IPアドレスの制限機能では、アプリケーションに到達する前にネットワークレベルでトラフィックを制限する。新しいポータルにより、セルフサービスで設定が可能だ。

 また2023年中には、ODCの上位ライセンスにおける標準機能として、サイバーセキュリティコンプライアンスフレームワークのSOC2にも対応する。これにより、「金融機関の顧客など、より安全な環境が必要なユースケースにも対応できるようになる」と阿島氏は語る。

 このほかにも、時期は未定だが、企業ブランドに合わせてアプリケーションのURLをカスタマイズできる検索エンジン最適化機能や、OutSystems 11にはなかったエンタープライズネットワーク接続機能も提供する予定だという。

 エンタープライズネットワーク機能は、インバウンドリクエストが許可されていない、プライベートネットワーク内のデータベースやAPIエンドポイントに安全にアクセスするための機能で、データはSSH経由で転送中に暗号化される。ポータル上でセルフサービスにて構成できるという。

エンタープライズネットワーク接続機能(提供時期未定)

 さらに、今後はODCのインフラ上でOutSystems 11の実行環境が提供される予定だ。これにより、OutSystems 11上で開発したアプリケーションは、そのままODCインフラに移行できるようになる。OutSystems 11も引き続き提供していく予定で、最短でも2027年3月までは利用可能となっており、終了する場合は終了の2年以上前にアナウンスすると説明した。

ODCインフラ上にOutSystems 11の実行環境を提供予定